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デジタル動画絵本が出来るまで vol.2
こんにちは! 音楽ディレクターの藤井です。
2回に渡り、NSPがコロナ禍で企画した『親子で作ろう!デジタル動画絵本』のメイキングブログをお送りしています。 先週公開の「vol.1」では、イラスト制作と、補助金、助成金申請についてレポートしましたが、今回は「音楽の部分」。
なんと、収録した音源を全曲公開しちゃいますよ!!
なぜ生演奏なのか?
BGMには、すべてこの作品のために収録したオリジナルの音源を使用予定です(曲は既存のクラシック音楽)。
最近は誰でも簡単に動画サイトに投稿出来る時代となり、世の中には膨大なコンテンツが溢れています。とは言え、そのすべてが良い音ではなく、デジタルでチープな音(録音状態が悪いもの、演奏技術が低いもの)も少なくありません。
前回紹介させていただいたソニー音楽財団の「子ども音楽基金」の目的でもある「音楽を通した子どもへの教育」は、NSPの目的とも一致していて、「たとえYouTubeなどの動画であっても、子どものころから上質な音楽に触れてほしい」という想いがあります。
このコロナ禍ではコンサートに行く事も難しくなっていますので、より意義のあるコンテンツになると考えています。
「自分たちが学んできた音楽を使って社会に貢献する事を学んでほしい」という意図もあり、NSPのスタッフや、登録している音大生、若い音楽家の皆さんに収録に参加していただきました。
明治屋ホールでの収録
ちょうどこの企画の進行中の8月ごろ、東京中央区京橋にある老舗の明治屋さんが、「音大生や若い音楽家のために、うちのホールを活用してください」というオファーをくださいました!
実は昨年3月、明治屋さんグループの広尾にあるレストラン「シェ・モルチェ」で行われる結婚披露宴に、NSPの奏者を提供させていただく予定でした。残念ながらコロナウイルス感染拡大の影響で中止になってしまったのですが、オーナーさんが我々の事を覚えてくださっていて、明治屋さんの担当者に紹介してくださったようです。本当にありがたい事です。
一度ホールを見させていただくために現地に行き、打ち合わせをさせていただいたのですが、「コンサートはまだ当分出来そうにないですね」という話になり、ちょうど進行中だったこの企画の収録に使わせていただける事になりました。
この日(2020年9月25日)は絵本のオープニングと途中に使用する、モーツァルト作曲の「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を収録。
現場には、僕が代表を務める「株式会社マウントフジミュージック」の機材を持ち込んでいます。実はこの機材の一部は、昨年の「持続化給付金」や「文化庁の補助金」を活用して揃えたものです。これらをフル活用し、経済を回していかないといけませんね!
この日の収録の様子は当社のブログでも「機材による音、映像の違い」という形で紹介していますので、ぜひご覧ください(収録のご依頼や相談も承ります)。
イラスト:鴨志田京子(いらすとふぁくとりー)
♪「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
ネクストステージ・ストリングカルテット(ヴァイオリン:郡司菜月、ヴァイオリン:廣田真理衣、ヴィオラ:本田梨紗、チェロ:覚本あかり)
天井の高い、広々としたホールで、とても良い音で収録する事が出来ました。
改めまして、明治屋さん、このたびはありがとうございました!
そして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします(コロナ収束後には、ぜひこちらの会場でコンサートも企画させていただきたいと思っています)。
名曲喫茶カデンツァでの収録
企画が進行し、シーンごとのイラストが仕上がるなかで、それに合わせた楽曲のイメージも固まってきました。
この『親子で作ろう!デジタル動画絵本』第1段の「きたかぜとたいよう」では、「きたかぜ」が目立つシーン、「たいよう」が目立つシーンのそれぞれで、複数の曲の中から親子で好きなものを選んでいただけるようになっています。
大人が聴けば「ああ、これはきたかぜの場面だな、たいようの場面だな」と、なんとなく先入観で決まってしまうかもしれないのですが、あえてそこは指定せず、たとえば、「きたかぜっぽい曲をたいようのシーンに選んでもいい」ようになっています。これは「子どもの柔軟なセンスを大切にしたい」という想いからです。
通常、ドラマや映画で使われるBGMは必要な曲しか収録しません(予算や時間に制限があるため)。
「お子さんのチョイスによって違った作品が出来上がる」というのも、この企画の大きな特徴だと思います!
収録には現役音大生のNSPのスタッフが何人か参加したのですが、学生が休みの土日で会場を探し始めてみると、この時期はコロナウイルスが落ち着いていた事もあって、公共施設などがほぼ空いていませんでした。
そんななか、当NPOの情報誌「オン活」vol.4の「ここから・みゅーじっく」に出てくださった銀座アンクさんのオーナー、東ケ崎さんに相談したところ、経営されている別の店舗「名曲喫茶カデンツァ」さんを使用させていただける事に!(東ケ崎さん、ありがとうございます!)
では、収録した楽曲を公開していきます!
♪「展覧会の絵」より“バーバ・ヤーガの小屋” ピアノ:源口りさ
♪「アルルの女」より“メヌエット” フルート:清水雪乃 ピアノ:源口りさ
♪「ペールギュント」より“朝の気分”
フルート:八重樫春奈、山本萌絵、桶澤美優、清水雪乃
♪「魔法使いの弟子」(編曲:門田和崚)
フルート:八重樫春奈、クラリネット:山本裕子、グロッケン:富田真以子、ピアノ:降旗真理子
♪「クラリネット・ポルカ」(エンディングで使用します)
クラリネット:山本裕子、パーカッション:富田真以子、ピアノ:源口りさ
いかがでしたか?
特にNSPの音大生スタッフたちは、大学ではこのようなレコーディング実習がないそうで、「貴重な経験が出来た!」と口を揃えていましたね。また、すでに現場で活躍している先輩奏者とも共演出来、演奏技術の高さや仕事への向き合い方、マナーなどからも学びがあったようです。こういった「音大では教わらない現場での経験が出来る」のもNSPの活動意義だと感じています。
興味のある音大生は、ぜひ「早い段階から」関わってきてくださいね!
まとめ
こうして昨年の約半年をかけ、クリエイターや音楽家の皆さん、スタッフが一丸となり、クリエイティブな作品を手がけてきました。
これまでの活動の積み重ね、ご縁から新たなご縁が生まれ、それらが一本と線となってつながり、こうして新たな作品が生まれます。関わってくださった皆さんには感謝しかありません。地道に、信念をもって活動をする重要性を改めて学ばせていただきました。
デジタル機器で絵を描き、レコーディングを行い、動画編集を行い、最終的にDVDやYouTubeになるという事は、結果デジタルになってしまうわけで、実際のコンサートとは別物です。
だからこそ「ライブ演奏」に価値があります(コロナが収束したら、たくさん企画していきます!)。
その一方で、最終的にデジタルになるコンテンツであっても、こうして「人が精魂込めて作ったもの」には、必ず「人に伝わるエネルギー」が宿っていると信じています。
「デジタルを受け入れ、上手にアナログと共存していく事」が、これからの時代、より一層求められるのではないでしょうか。
この作品に触れたお子さんが、もしかしたら将来、音楽家となり、ステージに立っているかもしれません!
そんな未来の「ネクストステージ」のためにも、NSPは活動を続けていきたいと思っています。
今後とも、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
※現時点では「緊急事態宣言」の再発令により、先日のテスト撮影をふまえた本番撮影が行えず、あと一歩のところで止まってしまっています。完成を楽しみにしていてください!