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活動レポート

「デジタル動画絵本」第一弾が完成しました!

このたび、ついに「親子で作ろう!デジタル動画絵本の第一弾が完成しました!

まずはその映像を、ぜひご覧ください!
本プロジェクトでは、クラシック音楽に触れる機会をつくるため、使用楽曲を出演親子に選んでもらう事にしています。
一つ目の動画が、実際に親子に選んでもらったもの、二つ目は違う楽曲を使用したものです。

 

 

 
初回のテスト撮影が昨年11月。そこで出た課題をクリアすべく、今年5月に再撮影を行い、ようやくここまで辿り着きました。
企画段階から数えると、およそ1年以上かかった事になります。
 
初めての試みで難しい事が多かったのもありますが、言わずもがな、新型コロナウイルス感染拡大によって緊急事態宣言が発令された事もあり、なかなか予定通りには進みませんでした。
しかし裏を返せば、一つひとつの工程を丁寧に見直しながら、より良くするための試行錯誤が出来たと思っています。
 

今回のブログでは、企画当初から携わっているオープンポジションスタッフの富田真以子の目線で、テスト撮影後どんな課題が見つかり、どう乗り越えて完成に至ったかをお伝えしたいと思います!

グリーンバックの扱いの難しさ

いらすとふぁくとりーの鴨志田京子さんによる温かいタッチのイラスト。
 
明治屋さん、名曲喫茶カデンツァさんをお借りして、当NPO音楽ディレクター藤井さんが「株式会社マウントフジミュージックの機材を持ち込みレコーディングしてくださった生演奏による音楽
 
文化庁 文化芸術活動の継続支援事業」の補助金申請が採択され調達出来た資金。
 
そしてNSP事務所にて親子のテスト撮影を終え、「よし、これで役者は揃った!」という想いで、トロンボーン奏者でもある高井天音さんに映像編集を依頼したのが昨年12月―。
 
しかし、完成間近だ〜!と喜んでいたのも束の間、さまざまな課題が出てきました。
 
まずは、グリーンバックの扱いの難しさです。
 

大きな布を付属のスタンドや壁に張り付けて設置したのですが、どうしてもどこかにシワができてしまい、それが動画編集ソフトで「影」と認識されると、背景のイラストが上手く合成されないのです。

 
その部屋の照明も関係してきますし、小さな子どもが布の前や上で動くため、当然布も動き、シワが生まれます。
そしてカメラの位置や角度のちょっとした違いによっても見え方は変わってきます。
 
撮影専用スタジオのような、ひろ~い空間や明るい照明がない中でセッティングをするのには、とても苦労しました。
少しでも影が出来にくい位置や向きを考えて工夫し、撮影中も常に微調整を重ねて、なんとか全てのシーンできれいに背景を合成する事が出来ました。
 

撮影自体を楽しむ事の大切さ

そしてもう一つ、一番苦労したのが、小さな子どもに演技を続けてもらう事です。
 
ナレーションの長さによる条件や、音楽を聴いて欲しいという観点からも、各シーンである程度の時間、同じ動作を続けてもらう必要がありました。
また、せっかく“動画絵本”なので、極力ループ(繰り返し)を使わずにいきたい、というのが私たちの目標でした。
 
例えば長めのシーンだと30秒〜40秒くらい、その場で歩き続けてもらいたいのですが、途中で止まってしまったり、カメラから外れてしまったり…。
子どもの体力と集中力に限界があるのはもちろんですが、その事自体が面白くなかったら、やってくれません。
ましてや、今やっている事が結果どうなるのかわからない状態だと尚更難しいのでは、と気がつきました。
 
そこで、ナレーションの長さを出来る限り短くするのに加えて、再撮影では、まず背景のイラストを子どもに見せて、「こういうシーンを今から撮影するよ!」と説明する事に。
「冷たい風がピューーって吹いてきたら、どうなるかなあ?」など、物語を想像し、こんなのどうかな?と提案もしながら、一緒に考えました。
 
 
それから「歩く」ときに、「トトロのさんぽ」の音楽を流してみる事にしました。
音楽があるとそこに合わせて歩きやすく、楽しい気持ちにもなってきます。
そして歌詞もあるので、例えば「1番を歌いきるまで!」というゴールがある事で、集中力も持続出来ました。
 
 
これは大人にとっても同じで(笑)、音が何もない、シーーンとした緊張感の中で時間を心配しながらやるよりも、楽しく、かつスムーズに取り組む事が出来て、大きな発見でした。
 
完成形の事だけを考えるのではなく、撮影自体を楽しめるような小さな仕掛けを作っていく事が大切だと学びました。
 

動画編集での気配りがクオリティを上げる!

テスト撮影後に高井さんに作ってみていただいた映像を客観的に見た事で、更に改善点が見えてきました。

例えば、テロップを入れる事。
この動画は、参加してくれた親子(家族)だけでなく、一般公開して多くの方に楽しんでいただく事を目的にしているので、字幕を付けて見やすくしました。
テレビや、最近ではYouTubeの動画でもテロップはよく入っていて当たり前に見ていましたが、作る側に立った事でその重要性を知りました。
 
それから映像の明るさの統一感も必要でした。
撮影場所に窓があった事もあり、撮った複数の映像の明るさが完全には一致しておらず、続けて見ると違和感が出てしまったのです。それぞれ単体で見ればさほど気にならなくても、続けて見ると色合いも異なり、こんなに違うものかと思いました。
高井さんに明るさを調整していただいた事で、とても見やすくなりました!
 
そして子どもの衣装についても、画面上だと衣服の面積が案外狭くなり、例えば細かい柄や模様があってもいまいち生きない事に気がつきました。
形がはっきりしていて、色も全体が鮮やかなもののほうが見栄えがしそうだという事になり、「レインコート」を用意。
子どもも喜んで着てくれて、見え方もばっちり!映像も明るくなりました。
 
このように、動画であるからこそ必要な要素がある事、そして動画編集は、いかに視聴者目線に立って細やかに気配りをするかが大切で、そのひと手間によってクオリティはグッと上がるのだと実感しました。
親身になって私たちからの相談に乗っていただき、スピーディー&丁寧に編集作業をしてくださった高井さん、ありがとうございました!
 
この企画を実現出来たのは、本当にたくさんの方々とのご縁があり、支えていただいたからこそです。
ご協力いただいた皆さま、そしてご支援いただいている皆さまに、改めまして感謝を申し上げます。
 
詳しい経緯は、藤井さんが2回に分けて記事にしてくださっているので、こちらもぜひお読みください!
 
 
 

最後に

再撮影時に強く感じたのが、幼い子どもの成長は目覚ましいという事でした。
この時、前回お会いしてから約半年が経っていて、身長が伸びたのはもちろん、以前より顔つきも振る舞いもお姉さんになっていました。
ご協力いただいたお子さま(4歳の女の子)と親御さま、ありがとうございました!
 
コロナ禍は、大人だけでなく、子どももたくさんたくさん我慢していると思います。
良くも悪くも、この難しい状況が子どもたちをより成長させている(成長せざるを得ない状況に追い込まれている?)とも言える気がしてなりません。
 
ただ、成長した部分と共に、変わらない無邪気さも見せてくれて、未来あるこの子たちが、これからものびのびと成長して欲しいと心から思いました。
こんな時こそ、音楽、芸術は子どもの豊かな感性を育み、心の成長にとても良い働きをしてくれるのではないかと思っています。大人にとっても、心の栄養となるはずです。
 
今回の第一期は文化庁の「文化芸術活動の継続支援事業」の補助を受けて実施しましたが、この後は「ソニー音楽財団 子ども音楽基金 第2回」の助成を受けて、いよいよ第二期に入ります!
現在、新たな物語の題材を鋭意準備中で、来月には参加者公募もスタートする予定です!
 
あっという間に成長してしまう子どもたちにとって大切な幼少期に、音楽、芸術に触れてもらえるように、そして今しか出来ない体験を親子で楽しんでもらえるよう、第一期の学びを生かしながら、これからも前向きに取り組んでいきますので、今後ともご支援の程、どうぞよろしくお願いいたします!
 
★ご賛同いただける方は、ぜひご寄付へのご協力もお願いいたします!

富田 真以子(NSPオープンポジションスタッフ)
洗足学園音楽大学卒業
フリーランス打楽器奏者/どやどや楽団

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