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NSP奨学生執筆記事

ロックダウンになったイタリア!生活はどうなったの?

こんにちは。NSP奨学生の、原あいらと申します。

今回は連載・第3回目としてイタリア現地からロックダウンになった後について詳しくお話していきますね。

 

ロックダウンで音楽院が閉鎖

(ロックダウン時の街の風景。国旗が飾られています)

                                                                  

2020年の2月末から、イタリアはロックダウンになりました。

音楽院も閉鎖され、授業はオンラインに。主にSkypeか、ZOOMを使用しました。

初めはオンラインの歌の授業に慣れず、細かなトラブルがありましたが、回数をこなす毎にさほど問題なく歌えるようになりました。

画面越しの声と実際の声とでは、やはり少し異なりますが、口の形がよく分かったり良い点もありました。

コレペティトール* の先生は、事前にピアノ伴奏の録音を送ってくださり、レッスン中には画像共有で楽譜を表示し、注意点は画像にチェックを入れてくださったので、スムーズに授業を受けることができました。

(*「歌劇場などでオペラ歌手やバレエダンサーピアノを弾きがら音楽稽古をつけるコーチを言う。」Wikipediaより引用))

残念なのは、オペラの重唱など、アンサンブルができないこと。

アンサンブルはお互いの呼吸や、ごく僅かなタイミングを合わせることが必要なので、時差のあるオンラインの中リアルタイムで合わせるのは、どうしても難しいのです。

そのためアンサンブルや重唱の授業は、オンラインでは行われませんでした。

ただ、座学に関しては、オンライン授業でも問題はなく、みんなで討論する際にはグループルームに移行してお話したり、授業内容はプリント代わりにファイルが送ってもらえたので、予習復習ができました。

前回のブログでも触れましたが、決定していたコンサートやイベントは、全てキャンセルになりました。

ロックダウンは延期が続いたので、演奏会決行か延期・中止かは様子見。しかし日が近づくと、やはりキャンセルになるという流れでした。

もちろん本番に向けて準備もしますし、スケジュールも空けたままにしておくため、いざ中止になった時の残念な気持ち、精神的な負担はかなりのもので、辛かったです。

街の様子も閑散としていました。

外出許可が降りるのは、銀行、郵便局、スーパー、薬局といった最低限生活に必要な場合のみ。

ほかのお店は全て閉まっていましたし、自分の住所と外出理由、目的地の住所、時間を書いた外出許可証を持ち歩く必要があり、外にいる警察官に声を掛けられた場合は、身分証などと一緒に見せる必要がありました。

外に出ている人は本当に少なく、私もこの頃は外出は2週間に一度だけ、それも人混みを避けるため早朝のスーパーに足早に出かけ、必要な物だけを買ってすぐに帰る、という生活でしたので、季節の移り変わりも分からない程でした。

そんな中、イタリアではバルコニーで行うフラッシュモブのイベントの情報がSNSやニュースサイトから回ってくるようになりました。

 

隣人歌手とデュエット!

(バルコニー越しのデュエットの様子)

 

バルコニーでのフラッシュモブというのは何かというと、ロックダウン下で自由に外出できない人達を励ます意図で、ある日の決まった時間帯(18時や20時などが多かったです)になると、バルコニーから外へ顔を出して、お互い声を掛け合ったり、演奏をしたり、ダンスをしたりするという企画でした。

時には、夜にスマートフォンのライトをバルコニーから振って灯りで挨拶したりも。

私もこのようなフラッシュモブの企画を知り、参加してみようと思いました。

きっかけは、ある日すぐ近所の窓からオペラの歌声が聴こえ、近所にオペラ歌手がいるのだと知ったこと。私だけでなく、たくさんの人がバルコニーに出て耳をすませていました。

その次の日、今度は私がオペラを窓から歌ってみました。

すると奇跡的に相手の歌手と連絡を取り合う事が出来、次の日にバルコニー越しに、デュエットをしようということになりました。

デュエットは無事に演奏することができ、窓から聴いていたたくさんの人から、拍手やお声掛けをいただきました。

「Forza Italia! (頑張ろうイタリア!)」と、国旗を振りながら出てきてくれた人のことを忘れられません。

当時、コロナの影響が大きかったイタリアで、外国人である私が人前で歌うのは勇気がいりましたが、この様子をSNSで伝えたところ、ありがたいことにテレビ番組『トクダネ!』、ヤフーニュース、ラジオ番組『文化放送 斉藤一美 ニュースワイドSAKIDORI』など、多くのメディアが取り上げてくださいました。

当時のツイートはこちら

 

この出来事は私の中で、音楽で誰かを応援できるかもしれない、音楽には元気をお裾分けしたり、励ましたりする力があるんだと知った、大きな体験になりました。

 

ロックダウンが解除になって・・・

(音楽院の様子)

 

ロックダウンが解除された後は、ゾーン別の措置が取られるようになりました。

ゾーンはカラー分けしてあり、レッド(規制強)→オレンジ→イエロー→ホワイト(規制無)の順で規制が緩かになります。

レッドゾーンは、ほぼロックダウンと同じ措置。学校等は閉鎖になります。イエローゾーンは通学可能で、カフェやレストラン、観光施設も開く、という感じです。

演奏会は、無事行われたものもありますし、キャンセルとなってしまったもの、様々でした。やはり屋外での演奏会が増えたように感じます。

そんな中でこの夏に行われた、ロンバルディア州でミラノに次ぐ第二の都市、ブレーシャでの国際音楽祭に参加し、数日間に渡り演奏させていただけたのはとても幸いなことでした。

私達は、自分たちのできる範囲で、できるタイミングで、全力を出せるように努めています。たとえ本番直前にキャンセルを伝えられたとしても、最高のパフォーマンスができるように準備しておくことが、コロナ関係なく大切なことだと考えています。

これから社会がどのように変化していくか、不安な部分もありますが、できるだけ前向きに対応し、活動を続けていきたいと思います。

3回に渡って連載を行って参りましたが、いかがでしたか?

もしも、進路に悩んでいる中高生の方がこの記事を読む事で、留学や今の状況に対して、少しでも疑問が解決されて具体的なイメージを持つ助けになっていれば幸いです。

コロナ禍で大変な世の中ですが、希望を忘れず頑張ろうと思ってくれたら嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。                                

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