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演奏会をゼロから創る!楽しんでもらえるステージとは?

皆さんこんにちは!NSP奨学生、ヴァイオリンの郡司菜月です。

この記事を読んでくださっている音大生、音楽を学んでいる学生の皆さんの中に、「演奏会を自分たちで企画してみたい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「一生懸命練習した自信のある曲でプログラムを組んでお客さんに聴いてほしい!」

本気で演奏家を目指している学生であれば、きっと一度は考えたことがあると思います。

しかし、お客さんに楽しんでもらえるステージを創るためには、演奏すること “以外” にも目を向けなければいけません。

今回の記事では、先日私が出演させていただいた「Sunshine City ミュージックウィーク」での経験をもとに、このコロナ禍でもお客さんに「来てよかった!」と思ってもらえるような楽しい演奏会の創り方についてお話ししていきたいと思います!

オンラインを最大限に活用

先日918日に、同じ第2NSP奨学生の村松海渡さん(ピアノ)谷菜々子さん(ソプラノ)3名で、池袋・サンシャインシティ噴水広場にて計3回のコンサートをさせていただきました。

お話をいただいた時に伝えられたのは、プログラムを含めコンサートの内容は全て自分たちで企画する、ということ…

コロナウイルス感染拡大防止のため簡単に集まれず、顔合わせ(出演者は3人とも今回が初対面でした!)、リハーサルは前日の4時間のみ。

本当にコンサートができるの?と思ってしまうような難しい問題がありました。

そこで私たちが活用したのが、Zoomです。

コロナの感染拡大により、世界中でデジタル化が急速に進みました。
Zoomもその一つ。学校の授業でも多く取り入れられていますよね。

私たち3人はこのツールを使って、今回の難しい条件をクリアし、コンサートを実現させました。

私はドイツ(福岡に帰省中)、村松さんは東京、谷さんは大阪と、普段は3人とも離れた場所に住んでいますが、リモートワークなら離れていても問題ありません。

オンラインを活用することで、感染の心配もなく、移動に時間をとられることもありませんよね。
むしろ、それぞれの時間を有効に使うことによって練習時間も確保でき、より質の高い演奏を目指すことに集中できるという良い点も。

ではここからは、オンラインでどんなことを打ち合わせしたのか、についてお話ししていきます!

1.プログラムを決める

今回のコンサートは、小さなお子さんからお年寄りまで行き交う大きなショッピングモールの一角。どんなプログラムがお客さんに喜んでもらえるだろうかと、まずは3人で「演奏会のテーマ」を共有することにしました。

・お買い物中の幅広い世代の方に足を止めて楽しんでもらいたい
・若手ならではのフレッシュな演奏を届けたい
・音楽を聴いている時だけでも、コロナを忘れてホッとできる時間を過ごしてほしい

そんな3人の想いをもとに、3人でのアンサンブルや、それぞれのソロのコーナーも取り入れ、ジャズ、クラシック、日本の童謡、と様々なジャンルから全8曲のプログラムを準備しました。

また今回は、公演時間も自由に決められるとのことで、足を止めてくださった方に最後まで楽しんでいただける時間を340分と想定し、人通りの多い午後以降に1時間半おきに同じプログラムを3公演行うことも、3人で話し合って決定しました。

 

2.編曲する 

プログラムは決まったものの、私たちは今回のコンサートのために、各曲をヴァイオリン・ピアノ・歌の編成用に編曲する必要がありました。
(※この時、著作権の問題で編曲が可能かどうかも確認が必要です。)

それぞれ担当する曲を振り分け、各自楽譜を作成。その後Chatworkというビジネスチャットアプリを使って楽譜を共有し、それぞれの楽器の個性が生きるよう3人で意見交換をしながら編曲作業を行いました。

ちなみに
編曲や楽譜制作の際には、Flatというソフトがおすすめです。
数人で楽譜を共有することもでき、私も愛用しています!

 

3.「演奏する」以外のことに目を向ける

演奏会準備に必要なことは、まず大前提として「演奏の練習をすること」。

しかしそれ以外にも、TPO(Time 時間、Place 場所、Occasion 場合)を考慮した衣装を決める、MCの内容を考える、立ち位置やマイクの位置を確認する

どうしても演奏することばかりに気を取られて忘れてしまいがちですが、演奏会準備に必要な工程は結構たくさんあります。

これらのほとんどはオンラインで話し合うことが可能です。
事前に
打ち合わせ出来ることを全て終わらせていた甲斐もあり、前日リハーサルや本番当日の確認作業を円滑に進めることができました!

 

リハーサルで時間をかけたのは

前にも述べたように、リハーサルは本番前日の4時間のみ。短い時間を有効に使うべく、私たちはリハーサルで何をするべきなのかも事前に話し合っていました。

曲のテンポなど事前に伝えられることをZoomやChatworkで共有しておくことも、限られた時間のリハーサルを円滑に進めるためのポイントです。

そしてようやく対面した実際のリハーサル。
曲の合わせはもちろんですが、実は私たちが特に時間をかけたのが、MCの練習でした。

「演奏は自信を持って出来るけど、人前で話すのは苦手で

そう思っている学生の方も少なくないのではないでしょうか?

しかし今回のようなエンタメステージとなると、やはりMCは欠かせません。

MCは、ステージと客席という距離感をなくし、奏者と聴衆が一つになって音楽を創り上げる大切な時間だと思います。

不特定多数のお客さんに興味を持って足を止めてもらい、そしてぜひ最後まで楽しんでほしい。そのためには、どんなトークを、どのくらいの時間話すのがベストなのか。短すぎても伝わらないし、長すぎると飽きられてしまう

自分たちが何者で、どんな想いでこの選曲をしたのか。私たちが伝えたいことは何なのか。
そんなことを盛り込んだトーク内容を作りました。

MCこそ、その演奏会の魅力を最大限に引き出すカギだと、今回のコンサートを通してとても実感しています。

またMCの練習中、音楽ディレクターの藤井さんから目線についてのアドバイスをいただきました。

手元にトーク内容が書かれた紙を置いておくと、どうしても目線が下がり、暗い印象に見えてしまいますよね。

全ての文をメモ書きするのではなく、最初の単語のみにするなど、ポイントだけに絞ってメモをすることで、文字を読むために目線が下がることもなく、自然とお客さんの方を真っ直ぐ見て話すことができます。

MCをやる際にはぜひ試してみてください!

 

エンタメステージで意識したことは?

私は普段、コンサートホールでの演奏ばかりで、今回のようなショッピングモール、エンタメのステージは初めてでした。

まず最初に戸惑ってしまったのが「マイクの存在」です。今回の演奏会ではそれぞれの楽器の前にマイクが置かれ、それらの音がミックスされてステージ上のスピーカーからお客さんに音が届くようになっています。

ステージが広いことから3人の距離も遠く、実際に自分の耳から聞こえている音が、必ずしもお客さんにそのまま聞こえているわけではありません。

当日のサウンドチェックでは、音響スタッフさんや同行していただいたNSPスタッフの方にも何度も確認と調整にご協力いただきました。もちろんそれだけでなく、出演者それぞれが音量を調節したり、アイコンタクトを増やすなど、弾き方を改める場面も。

このようにエンタメステージは、コンサートホールでの演奏会と比べて、現場での迅速な対応力が求められます。そのためにはやはり、経験を多く積み、瞬時に対応できる引き出しを早いうちから持っておく必要があると今回痛感いたしました。

そしてエンタメステージの醍醐味は、お客さんと一緒にステージを創ることではないでしょうか?

私が今回の演奏会で最も意識したのは、お客さんと対話しながら演奏することです。

今回演奏した噴水広場は360度お客さんに囲まれ、天井は吹き抜けとなっており、上からも見下ろせるステージ。

遠くから見てくださっている方一人ひとりにも楽しんでもらえるよう、演奏しながらできる限り景色を見渡し、音を届けられるよう心がけました。

すると意外にも、最初は「自分たちがお客さんを楽しませよう」という想いだったものが、お客さん一人ひとりに目を向けることによって、音に合わせて体を揺らす方、手拍子をしてくださっている方、リズムに乗って飛び跳ねる子供たち

音楽を純粋に楽しみながら聴いてくださっているお客さんを目にし、私も心からその場の空気感を楽しむことができ、お客さんと一緒になって素晴らしいステージを創り上げることができました。

 

 
 
 
 
 
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Natsuki Gunji | 郡司菜月(@natsuki_gunji)がシェアした投稿

 

こちらのInstagramのアカウントにて、演奏会の様子を少しご紹介しています。ぜひご覧ください!)

 

おわりに

コロナウイルス感染拡大以降、多くの演奏会が中止や延期を強いられました。

音楽は、不要不急なのでしょうか?

私は今回久しぶりに大勢の方々の前で演奏する機会をいただき、純粋に音楽を楽しむ喜びを心から感じ、音楽は人々の心の栄養であることを再確認しました。

私たち音楽家の使命(役割)は、音楽を絶えず届け続けること

今回の私たちの演奏が少しでも、聴いてくださった方々の栄養や安らぎとなっていたら嬉しいなと願ってやみません。

大変な状況の中、開催にご尽力くださったサンシャインシティ関係者の皆さま、私たちのポテンシャルを信じ、最後まで多くのアドバイスをくださった音楽ディレクターの藤井さん、NSP関係者の皆さま、この度は素敵なご機会をいただき本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

〈全3公演終演後に、出演者3名と、音楽ディレクターの藤井さんと〉

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