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吉田佐和子執筆記事

音楽との歩み方を考える〜コロナ禍で見つけたスキルの生かし方

みなさんこんにちは。クラリネット奏者の吉田佐和子です。

このコロナ禍において、これから音楽とどんな風に歩んでいけばいいのか、迷いを抱えている人も多いのではないでしょうか?

わたし自身、3月中旬にパリから日本に帰国したもののの仕事が次々となくなり、帰国前に決まっていたすべての予定がなくなりました。

同時に、体調も優れず、何か作業をしたりするとすぐに疲れるような状態だったので、帰国後1ヶ月間はベットで寝ている時間の方が多いような状況でした。

もちろん、その間は収入もゼロです。

しかし、あのときから5ヶ月たった今、わたしは音楽以外のお仕事で収入を得ることができています。

また、9月からは帰国前からやろうと決めていたもののずっと止まっていた音楽プロジェクトをようやく始動できることになりました。

コロナ禍で分かった自分の価値観

3月中旬に日本に帰国したときは、まだ4月のお仕事やコンサートの予定は残っていて、新型コロナウイルスの流行状況を見て判断しようという状況でした。

ただ、4月に入ると緊急事態宣言も発表され、次々とイベントが中止に。夏の予定までキャンセルになりました。

誰が悪いわけでもない、どうしようもないことだと分かっていても、4月の時点で夏の予定が飛んでしまったことはもちろん、楽器の演奏ができるような体調でない日が続き、これからどうしていけばいいのだろう・・?とすごく不安になりました。

そして、体調がいつ良くなるか分からないことから、決まった時間に現場に行かなければならず、体調を崩せば仕事ができなくなる演奏のお仕事を増やせるようにするのではなく、今は体調が良いときに家でできる仕事を増やそうと決めたのです。

このとき、大切にしたのは自分の価値観です。

音楽家としての将来を考えるなら『価値観』を大切にしよう
https://nextstage-p.org/archives/10567

昔は、プライドが変に高く、音楽以外の仕事はしたくない!と思うこともありましたが、音楽の仕事も音楽以外の仕事も「わたしが誰かを喜ばせている」ことに変わりありません。

また、音楽活動ができない状況にあっても、生活をしていく上でお金はかかります。

ある程度お金がないと不測の事態に対応することができないし、不安にならないだけのお金はきちんと稼ぎたいという価値観を改めて認識したのです。

音楽で身につけた様々なスキルを生かす

わたしはこれまで音楽活動をする中でさまざまなスキルを身につけてきました。

例えば、HP制作・管理、SNS運用、企画提案、チラシやリーフレットのデザインです。

これらは全て音楽家として活動する中で得たものですが、音楽に関わらず、あらゆる業種のお手伝いに役立つスキルです。

ただ、他業種でその力を活かしたこともなければ実績もなかったので、最初は以前から交流のあった知人にお仕事の提案をしました。

その後、順調に結果を出すことができ、結果が後押しとなりお仕事の金額を上げていただき、8月は生活費だけでなく、自分の勉強や貯金に回せる収入を得られるようになりました。

音楽で身につけたスキルは、他業種でも活かすことが出来るということを実感した瞬間でもありました。

相手のために全力で働いたあとについてくるものがお金である

仲の良い知人と一緒にお仕事を始めたとき、わたしは全力で取り組みました。

知人の素敵な人柄や、商品の良さをどうやったら伝えられるのか?

魅力が伝わる写真や文章、発信方法など、さまざまな角度から検証を行い、実践していきました。

同時に、新しく本を買って必要な情報をインプットしたり、競合となるお店のリサーチなど、頼まれていないことも片っ端から行いました。

結果的にこれまでの売り上げ記録を更新し、数字で明確な変化を感じてもらえたこともあり、わたしのお給料も上がったのですが、一番嬉しかったのは『佐和子さんと仕事をしていると、すごく気持ちがいい』と言ってもらえたことでした。

具体的には、自分の得意な部分や苦手な部分を認識できるようになり、自己肯定感が以前より持てるようになったと。

そして、考え方がすごく前向きになったことを挙げてくれました。

誰かと一緒にお仕事をするとき、相手の良さを大切にすること、相手の利益を一番に考えること、お金はそのあとについてくるものだということを実感した瞬間でした。

思えば、以前『わたしは毎月これくらいの金額を稼がなきゃダメだ』と思っていたときは、こんな考え方ではありませんでした。

働き方の土台となる考えの主語がズレていたなと今なら思います。

まずは、相手に喜んでもらったり、得してもらったり、今までとは違う経験をしてもらう。そのあとで、お金がついてくるのです。

周りの人と丁寧に関係を築くことの大切さ

順調に福知山でのお仕事を増やしていくことができたのですが、わたしにお仕事を頼んでくださっていた方には一つの共通点があります。

それは「わたしの音楽活動を応援してくださっていた」という点です。

例えば、コンサート会場のロビーでスイーツを販売してくださっていたお店だったり、わたしのコンサートに来てくださっていた農家さんだったり・・

クライアントさんとわたしを繋いでくれていたのは、音楽だったのです。

また、あるクライアントさんからは『佐和ちゃんはうちの商品をよく知ってくれてるから、頼みたいと思った』と言っていただけました。

知らない会社に頼むよりも、知っている人に頼みたい、色んなことを気軽に相談できる相手に頼みたいという思いは多くの人が抱いているのではないでしょうか?

どれだけ素晴らしいスキルを持っていてもお仕事は待っていてもくるものではないですし、普段交流のない人からお仕事を提案されるよりも、何か交流がある人の方が話を聞いてもらいやすいはずです。

音楽の仕事がない自分=ダメではない

わたしは一時期、音楽以外の仕事をする自分がすごく嫌なときがありました。

音楽の仕事だけで生きている人になりたいし、そうでないと周りから認めてもらえない、これまでたくさんのお金をかけて音楽を学んできたんだから少しでも早く音楽だけで収入を得られる人にならないと・・!

そんな風に、気持ちばかりが焦っていたのです。

でも、コロナ禍で収入がなくなったとき、そんな変なプライド、持ってても仕方ないなと心底思ったのです。

このピンチをどういう気持ちで切り抜けるのか?

変にプライドを高く持つよりも、自分自身が納得して進んでいくことが、何よりも大切です。

特に新型コロナウイルスによる影響はいつまで続くのか分かりません。長期的な視点で、いまの生き方を選択するようにしましょう。

何を対価に働くのか?

このコロナ禍で音楽と関係ないアルバイトを始めたという人もいるでしょう。

また、アルバイトをしようかどうか迷っている人もいるかもしれません。

『アルバイトをする? or しない?』A or B/あなたが選択すべき人生の分かれ道 Vol.2
https://nextstage-p.org/?member_contents=crossroads-in-your-life_2

わたしはこれまで飲食店やアパレルなど色んなアルバイトをしてきました。

特に現在のようにコロナ禍で音楽の仕事が減っている状況では、アルバイトで収入を安定させることが心の安定に繋がるという人もいるでしょう。

そのときに、あなたは何を対価に働いているのか?はっきり認識することが大切です。

例えば、初めてカフェでアルバイトをするとき。あなたにはおそらく何のスキルもありませんよね。

それでもお店はあなたを採用して育ててくれます。それは、あなたの時間を対価に採用されているからです。

一定の採用基準があるとはいえ、猫の手も借りたいほど忙しい、誰でもいいから来てほしい。そんな採用側の状況があるからこそ、何もスキルがない状態でも採用されます。

ただ、アルバイトで得た収入を生活費だけに使うのではなく、本当に一部だけでもいいので自分自身への将来の投資に使って欲しいのです。

例えば、何かスキルを身に付けるために学ぶのもいいですし、YouTubeなどウェブでの発信に使う機材などへの投資でもいいでしょう。

アルバイトをするとなるとまとまった時間を拘束されがちですが、働きながら何らかのスキルを磨き、自分自身の時間をより自由に使えるようになれば、音楽の仕事が日常に戻ってきたときに音楽活動と並行しながら続けられるはずです。

何から始めていいか分からないという人はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

コロナ禍の今だからこそ音楽家にチャレンジしてほしい12のこと
https://nextstage-p.org/archives/9221

さいごに


正直、わたしがいま演奏以外のスキルを何も持っていなかったら、生活するお金を得るためにアルバイトをするしかなかったかもしれません。

でも、体調に不安もあるので、普通のアルバイトをすることは少し難しいのが現状です。

そして、いま生活を支えてくれているのは、過去に時間をかけて音楽活動をする中で身につけたスキルであり、そのスキルを生かして得たお金を使って、音楽のことにもチャレンジすることができています。

音楽との歩み方には、正解も不正解もありません。

他の誰でもない、あなた自身が納得して歩める距離感があるだけです。

その時々にあった、他の誰でもない『あなた』が心地よいと感じる生き方が必ずあるはず。

周りのいろんな声に惑わされず、あなたに合ったペースで、音楽との距離感を探していくことを大切にしてくださいね。

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