ニュースNews

吉田佐和子執筆記事

音楽活動をする中で身につけたスキルは必ず役立つ!

こんにちは、クラリネット奏者の吉田佐和子です。

4月から始まった連載も7回目を迎え、その間スタッフとしてNPO法人ネクストステージ・プランニング(以下NSP)の業務にあたる音大生スタッフや社会人スタッフがさまざまなスキルを身につけ、成長しているのを感じられる出来事がたくさんありました。

そして、わたし自身、今年は過去に身につけたスキルに自分自身を助けられることになり、一度しっかりと身につけたスキルは生かす場所が変わっても必ず役立つということを実感しました。

NSPスタッフの成長を感じた瞬間

先日開催されたNSP主催のオンライン座談会のイベントを企画する際に、学生スタッフが告知に使用する画像の制作に取り組むことになり、わたしはデザインのアドバイスを担当しました。

イベントの告知画像を作るのは初めて、というスタッフが最初に提出してくれた画像はこちら。

カラフルで楽しい雰囲気が伝わってくるものの、多くの色が使われていることでこのイベントの対象者にどの部分を一番伝えたいことなのかが分かりにくくなっています。

また、このオンライン座談会は参加費が無料だったのですが、そのことが記載されていません。参加費が無料であることをしっかりPRした方が、参加しようかどうか迷っている人も参加を決断しやすくなりますよね。

その後、何度も修正を重ねて最終的にこちらの画像が完成しました。

使う色を決め、重要度が高い言葉の文字サイズを大きくし、見やすいように配置しました。また、ゲスト2人の写真の顔のサイズもバラバラだったものを揃えたり、参加無料の文言が目立つようアドバイスしました。

誰から見てもこの変化は伝わると思います。

わたし自身、デザインの修正をお願いするときに、既に意識せずにやっていることを言語化・可視化することで、日頃どんなことを大事にしているのかを改めて実感することができる良い機会になりました。

そのあと、同じスタッフは来年の年始にNSPからお届けする年賀状のデザインにチャレンジしたのですが、そこでさっそくアドバイスしたことを生かして制作している姿を見て、とても嬉しい気持ちになりました。

イベント告知用の画像でも、年賀状でも、デザインする上で基本となる部分は同じです。『何に気をつけてデザインすればいいのか?』という基本的な部分をしっかり身につければ、色々なところでデザインのスキルを生かすことができるのだと実感しました。

過去に身につけたスキルに救われた1年

わたしは今年の3月に3年間に及ぶパリ生活を終えて日本に帰国しましたが、新型コロナウイルスの影響もあり演奏活動がほとんど出来ない1年となりました。

しかし、そんな中でこれまで音楽活動をするなかで培ってきたデザインスキルと執筆スキル、そしてプロデュース力を生かしたお仕事をたくさんいただくことができました。

例えば、デザインスキルを活かして故郷である京都府福知山市にあるアップルパイのシャルムのチラシをデザインしました。

このチラシが好評で、その後ロゴ、カタログ、名刺、インスタグラム、FaceBook、ホームページといった店舗全体のリブランディングに携わりました。

リニューアル後、チラシを見たお客さまからも「ロゴが可愛くなったね!」「チラシがわかりやすいから注文しやすくなった!」というお褒めの言葉をいただき、さまざまな変化に気付いた新聞社の方から取材依頼がきたそうです。

また、コロナ禍で通販の利用者が増加した状況に対応するために、福知山の明智茶屋のオンラインショップのリニューアルにも携わりました。

私は自分のブログも作っているのですが、以前からホームページやオンラインショップを作っていたので、そのスキルを生かして作成しました。

こうしてプロデュース事業が増えてきたことから、自分だけで仕事を行うのではなく、最近は福知山やその周辺地域で活動するクリエイターさんと一緒に仕事をすることになりました。

先月は、京都府綾部市に新しくオープンした鍼と整体 ふくろうの森綾部西町のホームページと外観写真に使っていただくための写真撮影を行いました。


このときは撮影はカメラマンに任せ、わたしは事前にカメラマンとの打ち合わせに同行し、依頼の内容を確認したり、当日は撮影された写真のチェックや、モデルとして来てくださった女性のメイクや服装の確認などを行い、撮影が円滑に進むよう全体のディレクションを担当しました。

また、今ご覧いただいているこの連載もコロナ禍で始まりましたが、そのきっかけは私のブログツイッターでの発信でした。

日頃からウェブで文章や写真を使って音楽活動に対する想いを綴り、推敲を繰り返しながら文章を書いていたことが仕事につながったのです。

音楽活動をする中で身につけられるスキルとは?

音楽活動を続けていくためには、ただ良い演奏をするだけでなく、自己分析力・自己プロデュース力・デザイン力・コミュニケーション能力・マーケティング力などさまざまなスキルが必要です。

今年音楽以外の仕事で役に立ったスキルはすべて音楽活動を行う上で身につけたものです。

■自己分析力・自己プロデュース力
自己分析を行ない、これまでの人生で何を大切にしてきたのか?今後どんなことをやっていきたいのか?なぜそれをやりたいのか?ということを文章に書き出して、どんな風に自分自身を魅せていくのかを明確にしましょう。

それが明確になると、日頃どんな発信をすればいいのかがクリアになりますし、その視点を養っていたことが、店舗プロデュースの際にとても役立ちました。

■デザイン力
どんなコンサートチラシをデザインすればコンセプトが伝わるのか?お客さまの目に留まるのか?そんなことを考えてわたしはチラシをデザインしています。

今月行った自主コンサートのチラシもわたしが作成しました。


チラシをつくるときも写真をどう生かすか?考えながらデザインしますし、色んな人のチラシをデザインするなかでどのようなプロフィール写真を撮れば人の目を惹きつけることができるのか?ということを考えるようになりました。

もしデザインが出来ない人でも、どんなデザインで自分を魅せれば伝えたいことが伝わるのか?という視点は持って置く必要があるでしょう。

■コミュニケーション能力
メールや電話でのやりとりはもちろん、直接会ってお話をするときにも必ず必要になるのがコミュニケーション能力です。

自分が思っていることを的確に相手に伝えたり、相手が求めているものを理解するためにもWho(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)という5W1Hを意識して文章にしたり、話すようにしましょう。

自分が伝えたいことは的確に伝わっているのか?相手が何を望んでいるのかを意識するようにするといいですね。

■マーケティング力
あなたがどれだけやりたいことがあっても、それが誰からも求められていなかったら、形にすることは出来ても続かないですよね?

例えば、世の中にはわたしの他にもクラリネット奏者はたくさんいます。何が他の人と違うのか?武器になるものや得意なことは何か?説明できる必要があります。

わたしの場合、2010年から福知山市厚生会館で『音楽で福知山(まち)を元気に!』をキャッチコピーにフレッシュコンサートの企画・プロデュースを行っており、その取り組みを見た方から「ふるさとを想い活動しておられることに共感しました」とお仕事をいただくことが多いです。

誰かと全く同じことをしても意味がないし、他の音楽家の「良いな」と思ったことを真似る際にも自分なりのエッセンスを入れる必要があります。そのエッセンスがセンスの良いものになるかどうかは、日頃どんなインプットをしているかが重要になります。

相手の求めていることを追求する力ーそれこそがマーケティングです。

自分はどんな力があって、相手から求めているものに対して何ができるのかを考えてみましょう。

これらのスキルを音楽活動をする中で身につけていなかったら、一体どんな1年を過ごしていたのか?正直まったく想像がつきません。

もちろん、ここで紹介したスキルを全て1人で持つ必要はなく、自分だけでできないことは誰かに頼めばいいのです。

憧れや目標としているアーティストをじっくり観察してみると、どのスキルもバランスよく良い人もいれば、何かのスキルだけ突出している人もいるはずです。

色んな人の力を借りて『チーム』で動くことで自分1人ではできなかったことができるようになったり、さらに自分の世界観を広げることができるので、自分の強みとなるスキルを伸ばしながら、色んな人と協力して音楽活動をしていくのがおすすめです。

さいごに

今年は新型コロナウイルスの影響で多くの音楽家が演奏の場を失いました。

もしかしたら、この記事を読んでくれている人の中には今後音楽活動をしていくことに不安を持っている人や、音楽活動を続けることを迷っている人もいるかもしれません。

わたしの周りにも、実際に音楽活動をやめて一般の職業に就いた人がいます。

ただ、もし一度活動をお休みしたとしても『今後一切やらない』と決める必要はまったくありません。

必ず、近い将来、音楽が日常に溢れる日々が必ず帰ってきます。

そのときまで『音楽活動を少しお休みする』、もしくは安定的に収入が入る仕事をしながら音楽活動をする方が心が安定してより良い音楽を生むことができるかもしれません。

わたしは、これからも音楽活動とそれ以外の活動をどちらも両立して続けていきたいと強く思った一年になりました。

みなさんにとって今年はどんな一年でしたか?

ぜひ一度ゆっくりと時間をとって振り返ってみてくださいね。

ニュース一覧へ

Reccomend