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音楽以外の能力を持ち合わせている/音楽が好きである、信念がある 『フリーランスで成功するための”10の秘訣”』Vol.7

これまでも「音楽以外」の能力について書いてきましたが、それらは主にマナーや考え方、意識の面でした。

僕はこの音楽家のサバイバル術を通して演奏技術だけでプロとしてやっていくのは難しいと訴え続けています。

とくにシリーズ「音大卒の音楽家が仕事を得る方法(全7回)」ではその点に具体的に触れているので、まずはそちらを読んでください。

  • デジタル技術を利用する
  • クラシックの人はジャズやポップスを勉強する
  • 教えるスキルを身につける

このような内容について書きましたが、今回は、音楽+アルファであるといいよといったお話です。

『音楽は”ビジネス”だ!』にも書きましたが、フリーランスというのは自分が社長であり、マネージャーであり、営業であり、広報でもあります

人を雇う経済力のないかたは、当然これらをすべて自分でやらなくてはいけません。

演奏のスキル以外に、事務的なスキルが必要なのは改めて言うまでもありませんよね。

今後日本はどうなっていくか

以前の日本は、新卒で会社に就職し、定年まで働き続けるのが正しい生き方のような社会でした。

ですが現在では、絶対安泰だと思っていた一流の会社が倒産したり、海外の会社に買収されたりする時代で「終身雇用」などという言葉はすでに死語になりつつあります。

転職する人に対してや、副業へのイメージも随分良くなりましたよね。

何が言いたいかというと、

ひとつの事を極めて、それだけで生きていける時代は終わりかけている

という事です。

音楽家にとっても他人事ではなく、デジタルテクノロジーの進歩などにより、生演奏の需要は確実に狭まっています。
参考:音大卒の演奏家が仕事を得る方法①~音楽業界の現状

そんな中でどうやって生き残っていけば良いのでしょうか?僕はそのひとつの方法が、

何か別のスキルを掛け合わせる事

ではないかと考えています。

「音楽 × カメラ」という掛け合わせ

例を挙げると、現在ネクストステージ・プロジェクトに、三田千晶さんという「サックス奏者兼カメラマン」のスタッフがいます。

もともと一眼レフカメラが趣味で、友人のプロフィール写真や、コンサートの写真を撮ったりしていたようです。

彼女は自分自身がプロのサックス奏者なので、音楽家をどのように撮影したら見映えが良いかを熟知しています。

昨年僕は、何人かのプロのカメラマンとお仕事をさせていただきましたが、カメラそのものの技術は高くても、コンサートの写真が平面的だったり、奏者を(楽器の構えなどの)良い角度から撮れていなかったりという人が正直多かったんですよね。

彼女の写真のほうが音楽家に喜ばれるし、一般の人が見てもその良さを引き出せていると感じました。

テクノロジーの進歩は決してマイナスではなく、デジカメやスマホの進歩は、カメラマンのプロとアマの差をなくしてしまいました。つまり、

「音楽 × カメラ」という2つのスキルを掛け合わせれば、(特定の分野では)カメラしか出来ないプロにでも勝てる時代になったのです!

《参考:三田千晶さんの場合》
・サックス奏者として → Green Ray Saxophone Quartet
・カメラマンとして → プロフィール、コンサート写真撮影のご案内

レアな人材になれ!

世の中で必要とされる人材は「便利な人」と「レアな人」です。

Vol.5にも書いたように、前者はコンビニエンスストア、後者は専門店のようなものですね。

当然ですが、高い報酬を得られるのは後者です。

仮に音大を卒業したクラシックのサックス奏者がプロになれる確率が1/100だとします。

その中でプロ並みの写真を撮れる人が100人に1人だったら、1/10000のレアな人になれます。

前述の三田さんは、ネクストステージ・プロジェクトで企画をしたジャズ&ポップスセミナーに参加した事でうちと関わり始め、いま、マネージメントも勉強しているのですが、1/10000の人がさらにマネージメントを勉強し、クラシック奏者が苦手なジャズなども勉強すれば、10万人に1人とか、100万人に1人のレアな人材になれるかもしれないですよね。

もちろん、ひとつの事を極めるというスタンスを否定するつもりはないですし、その能力がある人はやれば良いと思います。

ですが、あまりに演奏だけにとらわれ過ぎて、自分の可能性を狭めてしまっている人が多いのもまた事実です。

写真のような技術がなくても、誰でも音楽以外にもうひとつくらい好きな事、打ち込める事がありますよね。

文章を書くのが得意なら、ブログをたくさん書いて仕事に繋げる事も出来ます。

人と話すのが得意なら、音楽教室の先生に向いているかもわかりません。

演奏(練習)以外に時間を取られる事が苦にならなければ、気分転換にもなるうえに、自分の仕事の幅を広げられる可能性が高くなります。

また、違う世界で生きている人と接する機会が増えると、音大や音楽業界がいかに閉鎖的で、その中の狭い常識の範囲でどうにかなっているかに気付くでしょう

ひとつにこだわり、狭い世界で生きるのか、いろいろな要素を掛け合わせて広い世界で生きるのか。

あなたの人生がどちらのほうが幸せかをイメージしてみてください!(正解はあなたの中にあります)
参考:このブログに『正解』は書いていません!

10. 音楽が好きである、信念がある

最後になりますが、大切なのはやはり、音楽が好きだという事だと思います。

一見当たり前のような話ですが、世の中は自分のやりたい事を仕事に出来ていない人のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。

そういう意味では、早くから自分の好きな事、打ち込める事に出会えたのは素晴らしいですよね。

ですが、仕事としてやっていく以上は、すべてが思い通りにいくわけではありません

このシリーズで書いてきたいろいろな事に気を配りながら、常に向上心をもち、フリーランスで仕事を継続させるというのは並大抵ではなく、強力なメンタルも必要です。

そのメンタルを保つためには、ただ好きというレベルではなく、信念、情熱をもっている事が不可欠ではないかと僕は考えています。

「輝く7人の音楽家たち」のシリーズを読んでみてください。
特集『輝く7人の音楽家たち』(全7回):Vol.1 可能性が無限大の “ フリーランス ” という生き方 / 佐藤秀徳さん(トランペット)

彼らにはみな、「自分の音楽を人に伝え、感動させ、それで(音楽で人の役に立って)お金をもらって生活するんだ!」という信念、情熱、もっと言えば、覚悟、決意があります

結局はそれがあるから頑張れるんです。

逆に言えば、これまで辞めていった人もたくさん見ていますが、その人たちはそこまで音楽が好きではなかったり(打ち込めなかったり)、好きでも趣味のほうが良いと思ったりで、何がなんでもやり通すという、信念をもつレベルまではいかなかった人ではないでしょうか。

いろいろなノウハウを書いてきましたが、

  • 演奏だけじゃ食えないからカメラをやろう、レッスンもやろう
  • クラシックだけじゃ食えないからジャズやポップスもやろう

このような考えかたはネガティブで、絶対に良くないです。本当に好きで、信念をもって仕事にしている先生やジャズミュージシャンに失礼ですよね。

好きでやっていないのは生徒さんやお客さんには必ずバレます。結局は必要とされる人材にはなりません。

食わず嫌いはもったいないので、まずはいろいろな事に挑戦したら良いと思いますが、好きになれない、信念をもち続けられないと思ったらやめ、打ち込めるものを探すと良いでしょう。

若いうちならいくらでも挑戦出来るし、やり直しもききますよね。

音楽以外の能力を身に付ける努力

さて、最後にもう一度、10の秘訣をおさらいしてみましょう。

フリーランスで成功するための『10の秘訣』
  1. 謙虚さ、感謝がある、謝罪ができる
  2. 自己管理が出来ている
  3. 時間、期限を守っている
  4. 電話、メールなどできちんと連絡が取れる
  5. コミュニケーション能力がある
  6. 自分の価値が分かっている
  7. お金の価値が分かっている
  8. 自己投資が出来る
  9. 音楽以外の能力を持ち合わせている
  10. 音楽が好きである、信念がある

ここに書いた内容のほとんどが、音楽の才能は関係ない事にお気付きでしょうか?

ほぼすべて努力でどうにかなります

言い換えれば、フリーランスで生き残るためには、それくらい音楽以外の能力を身に付ける必要があるし、才能より努力が大切だという事ですね。

オーケストラに入団出来ていたり、大手の楽器店講師などをやっていると安泰のように感じ、そんな人たちを羨ましく思うかもしれませんが、これからの社会では、それらがずっと続く保証はありません。

あくまで僕個人の感覚としては、フリーランスで、ここに書いたような能力が高い人のほうが有利な時代が来るのではないかと思っています

仮に音楽家としては成功出来なくても、社会人として自立出来る可能性は確実に上がるでしょう。

10の秘訣のすべてをいきなり完璧に実践するのは難しいと思います。僕自身も20年のプロ生活、社会生活で少しずつ出来るようになってきた事だし、今でも完璧ではないと思います。

皆さんもぜひ、少しずつで構わないので、自分のものにしていってください。
必ず可能性が広がっていくと信じています!

次回記事:『A or B/あなたが選択すべき人生の分かれ道』 Vol.1 実家に住む? or 一人暮らしをする?
前回記事:Vol.7 音楽以外の能力を持ち合わせている/音楽が好きである、信念がある

マネージャー募集中!

ネクストステージ・プロジェクトでは、「演奏家としての成功」という狭い視野ではなく、一人ひとりの個性を尊重し、若い音楽家の自立の支援を行っています。

音大では学ばなかった事をたくさん経験し、可能性を広げたいというかたは、マネージャーやスタッフも募集していますので、積極的に関わってきてください。

8. 自己投資が出来る

皆さん、「投資」という言葉を聞くと何をイメージしますか?

もしかしたら、お金持ちの人が株や不動産を買い、さらに儲けるというようなイメージで、自分には縁のない世界だと思っている人も多いかもわかりませんね。

ですが、この投資というものは、本来音楽家にとってはとても身近なものではないかと思います。

投資をもっとわかりやすく言い換えると、

能力や収入を上げるために、お金や時間を使う事

ではないでしょうか。

親御さんはあなたにいくら投資してくれたか

そろそろ気付いた方も多いと思いますが、皆さんは既に莫大な投資をしてきているんです。

  • 楽器
  • 音大に入るためのレッスン料
  • 音大の学費
  • 勉強のために買ったCDや、通ったコンサートの料金
  • 練習に費やした時間

ざっと挙げてもこれくらいあります。もちろん、レッスンや音大に通うための交通費や、実家暮らしではない人は家賃などもですね。

若い人の多くは、その投資を親御さんがやってくれていたはずです。

一度冷静に、現在まで親御さんがあなたにいくら投資してくれたかを計算してみてください。

前回の記事で、お金の価値を理解する大切さを書きましたが、たとえばバイトをしている人は、自分の時給で考えた場合、どれだけ働かなければいけないかを計算してみましょう。

既に音楽で仕事をしている人も、単発の演奏料や月収で考えてみると良いと思います。

仮に自分に子どもがいた場合、同じだけのお金を子どものために投資出来ますか?

これを実感出来れば、もっと親御さんに感謝したり、今以上に頑張ろうと思えるのではないでしょうか。

卒業後によくある失敗例

投資は音大を卒業したら終わりではありません。やり続ける必要があります。

よほど恵まれた人以外は、卒業後は自分自身でやらないといけないはずです。

さらなるスキルアップのために通うレッスン料、コンサートやライブに通うお金、楽譜代、楽器の買い替えや、持ち換え楽器の買い足しにかかるお金、音楽制作ソフトの購入、パソコン代、一人暮らしの家賃、生活費など、挙げたらキリがないですよね。

学生時代に親御さんに頼りきっていた人は特に、投資の必要性への理解や計画性が甘すぎるため、卒業して援助がなくなった瞬間にどうして良いかわからなくなり、自滅していきます。

学生時代は練習時間が十分にあってうまかったけど、卒業して、上記のようなお金を自分で払わないといけなくなり、バイトを始めたら生活するだけで精一杯になり、練習も出来ずに下手になり、レッスンやコンサートなどにも行けないので、人との縁が切れ、結果、仕事もこなくなり、音楽家をあきらめる。

このような負のスパイラルに入ってしまった人を、僕はこれまでたくさん見てきました。

共通しているのは、このシリーズで書いてきた要素の何かが欠けている人なんですが、あえてひと言で言うと、周囲への依存度が高く、自立出来ていない人、正しいお金の使い道を知らない人です。

投資を成功させるための2つの絶対条件

僕は、投資の成功には2つの大きな法則と言うか、絶対条件があると考えています。

1、投資をする以上は、絶対元を取る意識で行動する

株にしても、不動産にしても、投資をする会社や物件の将来性などを見極め、伸びると思うから投資しますよね。むしろ元を取るのは当たり前で、それより儲けようと思うからこその投資です。

もちろん、必ず成功するとは限りませんが、最初から儲からないと思うものに投資する人はいません。儲からないものに投資するのは趣味です(浪費とも言います)。

若い音楽家の多くは、これまで親御さんがあなたに投資をしてくれていたという意識がないので(自分でお金を払っていないので)、絶対に元を取ってやろうという貪欲な想いが足りないように思いますね。

音楽を仕事にしていくためには、それくらいの覚悟が必要だと僕は考えます。

2、投資をケチると元は取れない

宝くじで高額当選をしている人って、3,000円で10枚とかではなく、何十万円、何百万円のお金を使っている人が多いですよね。

これに限らずですが、元を取っている人ってそれなりに大きい投資をしているんです。

たとえばサックス奏者は、アルトしか吹けない(持っていない)よりは、バリトンもあったほうが仕事になるかもしれません。

実際、ミュージカルやスタジオミュージシャンは(特にポピュラー系)、フルート(ピッコロも)、クラリネット(バスクラも)、ソプラノからバリトンまで全部出来たりします(ハリウッドのスタジオミュージシャンに至っては、オーボエ、ファゴットなどのダブルリードまでこなす人がいます)。

移動は電車は不可能なので、車も持っています。

なかなかの金額ですが、それだけ投資し、スキルも備わっているからこそ高い報酬が得られているのは明白ですよね。

経験という投資もある

僕の場合は日本で音大には行っていませんが、その分レッスン料やCD、ライブに通うお金にはずいぶん投資しました。そういう努力もあり、高卒、10代でプロになれたと思います。

22歳から2年間、千葉県の有名テーマパークでレギュラーをやらせていただきましたが、最初から一生続けるつもりはありませんでした。

若いうちにしか出来ない「経験という投資」をし、さらにこの2年間で貯めたお金は、その翌年のアメリカ留学にほぼすべて投資しました。

テーマパークの仕事をずっと続けるという選択肢もありましたが、僕は常にキャリアアップを考え、今もさまざまな投資を続けています。

僕に限らず、結局はそれを続けられている人が(フリーランスの)音楽家として残り、伸びていっているのではないでしょうか。

正しい投資をするためには、自分はまだまだ、もっとレベルを上げたいという謙虚な想い(Vol.1)、投資に充てるための時間を確保するタイムマネージメント(Vol.3)、効率良くバイトなどをするためのお金への理解、必要なところにピンポイントで投資するための「自分は何が出来て、何を補うべきなのか」を知る自分を見る目(Vol.5)、こういった事が必要になります。

やみくもに大金を使えば良いというものでもないですね。

決して簡単ではないですが、効果的な投資によって、将来の可能性を広げてください!

次回記事:Vol.7 音楽以外の能力をもち合わせている/音楽が好きである、信念がある
前回記事:Vol.5 自分の価値がわかっている/お金の価値がわかっている

6. 自分の価値がわかっている

いきなりですが、「プロの音楽家としての自分の価値は何なのか(どこにあるのか)」について考えた事はありますか?
音楽に限らず、プロというのは、自分がもっている能力を他人に評価してもらい、その対価(報酬)を得られる人の事を言います。

たとえば高級レストランの場合、一流シェフがいて、美味しい料理を出し、スタッフのサービスも行き届いているからこそ高いお金を取る事が出来ます。

ハンバーガーや牛丼など、ファストフードチェーンの場合は、アルバイトが作っても、どこで食べても味やサービスが均一で、高級レストランと比べて特別美味しくはないけど、値段が安く、すぐに提供されるからこそ需要がありますよね。

自分の得意な事、不得意な事を把握する能力

話を音楽に戻しますが、プロの音楽家と言っても十人十色で、(報酬を得る)手段はいろいろあります。

ストレートな表現をすれば、「自分のどの能力でお金を取れるか」ですね。

初回のブログで「自分は凡人です」と書きましたが、僕よりトロンボーンがうまい人はいくらでもいます。

・僕はクラシックよりもジャズやポップスが好きで、そちらのほうが向いていたので、今はそれを仕事にしています。

・トロンボーンを吹くだけでなく、作編曲にも興味があり、それも仕事になっています(そのための譜面作成ソフトなどの使い方も勉強しました)。

・レッスンの仕事もたくさんやっていますが、僕はプロを目指すためのレッスンより、アマチュアが趣味として楽しむためのノウハウを提供するレッスンに特化しています。

これらは僕の活動の一部ですが、自分は何が得意で、何が不得意なのかを自己判断出来ているほうなのかもわかりません。

得意なら、その部分を伸ばす事も出来るし、不得意な部分を補う努力も出来ますよね。
そしてこの能力は、次回「8. 自己投資が出来る」での「適切な投資」にも関係してくると思います。

※自分は何が出来るのかをわかってもらう必要性は、「7人の輝く音楽家たち」の中で、サックスの福井さんも語ってくれていますので、参考にしてみてください。

参考:Vol.7 「好きこそものの上手なれ」好きならどんな苦労も乗り越えられる! / 福井健太さん(サックス)

7. お金の価値がわかっている

自分の価値に値段をつける能力

次に必要なのは、自分の価値に値段をつける能力です。フリーランスでは、特に重要だと思います。

日本はお金の話を前面に出すのはタブーとも言える国民性なので、決して簡単ではないかもしれません。

ですが、ビジネスで成功している人や企業では、実に当たり前にやっているのではないでしょうか。

たとえば、前述の高級レストランの場合、せっかく価値のあるものを提供しているのに、ファストフードのような安い値段で売ってしまったら、当然食材や人件費のほうが高くて、商売にはなりません。

逆に、ファストフードチェーンが高級レストランのような高い金額設定をしたら、当然お客さんはいなくなってしまいますよね。

また、料金が明確に書かれていないお寿司屋さんなんて、一般人は気軽に入れないですよね。

これと同じ考え方を、あなたは音楽の中でやらないと適正な報酬を得る事は出来ません。

おそらく音大ではこんな事を習わないでしょう。

でも、だからこそチャンスなんです!

大学の実技試験で1位を取っても、プロとして稼げない人もいれば、(僕のように)飛び抜けて楽器がうまくなくても、きちんと自立出来る可能性は十分にあります。

以下はほんの一例ですが、

①一つの商品に特化し、誰にも負けないレベルのものを高額で提供している

こちらは専門店の発想で、音楽で言えば、高い楽器の技術、才能があり、それだけで生活出来る人です。

②品数が豊富で、身近にあり、24時間いつでも欲しいものが手頃な値段で手に入る

こちらはコンビニエンスストアや、最近ではアマゾンのようなネット通販もこれに近いでしょう。

僕の場合の商品戦略

僕は業界最安値のような料金設定にしているつもりはありませんが、トロンボーンの演奏のほか、作編曲、レッスンなど、いろいろ取り揃えているという点では②に近いビジネスをやっています。

なおかつ、コンビニやファストフードのチェーン店のように、どこにでもある店ではなく、(個人として)1ヶ所でしか営業をしない専門店だけど、富裕層にしか手が届かないような金額ではなく、比較的リーズナブルな料金設定にしているという売り方(戦略)だと思います。

実は、僕は高校1年生くらいまでオーケストラに入りたいと思っていたのですが、もしも自分の好きな事、能力、価値を判断出来ずにずっとオケを目指していたら、当然今の自分はないでしょう。

自分の適正な価値と釣り合う仕事を選ぶ

お金に関しても目を背けず、(特にレッスンにおいては)料金体系も明確にしているので、適正な評価をしてくれないお客さんを断る事も出来ます。

先ほど、プロとしての価値は他人の評価によるものと書きましたが、必ずしも相手の評価を鵜呑みにしろという意味ではなく、自分を適正に評価してくれる人やクライアントさんと上手に付き合いましょうという話です。

受けた評価を真摯(しんし)に受け止め、「自分はまだまだこんなもの、さらに精進しよう」という謙虚さも必要だし、1時間3000円の価値があるレッスンに対し、「君のレッスンは1000円の価値だ」と言われたら、断ったほうが良い場合もありますね。

ボランティアでもそうです。僕は震災の復興支援や海外の貧困支援なども音楽でやっていますが、意義を感じないものは絶対にやりません。

たとえば、さほど親しくもない知人から「プロなんでしょ?今度オレの結婚式で(タダで)演奏してよ!」と言われたら、間違いなく断ります。

これは、知り合いの美容師さんに、「プロなんでしょ?オレの髪切ってよ!」とか、料理人に「ちょっと何か作ってよ!」と言っているのと同じで、プロというものに対しての理解、配慮がない、とても失礼な行為ですよね。

出版社に就職している編集者に「ちょっと原稿書いてよ」とか、システムエンジニアとして就職している人に「ちょっとパソコン作ってよ」は聞いた事がないのですが、フリーランスで音楽をやっていると、趣味でやっていると思われるのか、こういう事を言ってくる人が一定数存在します。

若いころは経験として場数を踏むのは大切なので、タダでもやるものに意義がある場合も多々ありますが(もちろん今の僕にもあります)、自分の価値を考えず、値段の設定が出来ない人は、結果、投資にもならない内容を引き受け、断る事も出来ず、そこに大切な時間を割かれ、スキルアップ、キャリアアップ出来ずに消えていきます。

お金の価値、自分の価値を知るには

お金の価値を知るための最も簡単な方法は、アルバイトの経験ではないでしょうか。
1時間に1000円稼ぐのがどれだけ大変かを理解出来るようになれば、たとえばそれと音楽の仕事を比較する事で、自分の音楽家としての価値が見えてきます。

それから、音楽以外でもいろいろなサービスを受け、その都度自分の仕事に照らし合わせて考えてみる事ですね。
前述の美容院でも飲食店でも良いです。店Aと店Bはなぜ料金が違うのか、どんなサービスが行われているのか、比較してみれば良いのです。
経済を勉強する素材はそこらじゅうにあふれていますよ!(これも以前ブログに書いた、「変換力」の使い方です)

参考:夢を実現させるために、最も大切な行動とは? Vol.2

ぜひお金の価値を理解し、適正な報酬を得られるようになってください!

※自分の価値を評価してくれる仕事でないと受けない、業界の相場を下げない(自分のレッスン料を下げない)点については、トランペットの佐藤君、ユーフォニアムの円能寺さんも語ってくれていますので、参考にしてみてください。

参考:Vol.1 可能性が無限大の “フリーランス” という生き方 / 佐藤秀徳さん(トランペット)
参考:Vol.3 演奏機会が少ない楽器だから、自分のポジションは自分で作る / 円能寺博行さん(ユーフォニアム)

次回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』Vol.6 自己投資が出来る
前回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』Vol.4 コミュニケーション能力がある

5. コミュニケーション能力がある

コミュニケーション能力= 対人関係の能力

今回は「コミュニケーション能力について」です。

最近は一般の就職活動でも、高学歴よりもコミュニケーション能力を重視している企業も多いと聞いた事があります。

コミュニケーションというのは一人では成立しませんよね。つまり、「対人関係」の能力だという事です。

では、どうやって対人関係を築いていくか、それはズバリ会話力ではないでしょうか。

皆さんには楽器が演奏出来るという強力なコミュニケーションツールがあります。

ピアノのようなソロ楽器はともかく、ほとんどの楽器はオーケストラ、吹奏楽、小編成の室内楽、ジャズではビッグバンドなどで、言葉はなくても、音楽の中でコミュニケーションを取っています(ピアノも伴奏の場合はやっていますよね)。

僕はジャズ、ポップス系の仕事がメインですが、たとえばビッグバンドの2ndトロンボーンで仕事に呼ばれたとします。仮に「自分だったらこう吹きたい」という主張があったとしても、セクションワークにおいてはリード(1st)トロンボーンの人に合わせるのが鉄則です。

じゃあ、リードトロンボーンの人は何をやっても良いかと言うと、そうではなく、リズムセクション(特にドラムやベース)やリードトランペット、リードアルト(サックス)などがどう吹きたいのかを察知し、そこに合わせるという作業をしています。

ジャズの場合は指揮者がいない場合もありますが、オーケストラや吹奏楽では、当然、指揮者の主導権は強いですよね。

自分の与えられた役割を考え、出るところは出る、引くところは引くを自然にやっているのではないでしょうか。

音楽というのは、まさに会話ですよね。
オーケストラは社会の縮図と言っても過言ではありません。

音大などでアンサンブルをきちんと勉強していれば、ある程度自然に身に付いているとも言えるので、基本はそれを応用すれば良いと思います。

対人関係のコミュニケーションは難しい

ただ、「楽器を使って音楽の中でコミュニケーションをとるのは苦じゃないんだけど、相手が人となるとちょっと」という人も少なくないのではないでしょうか。

学生のころであれば、基本は同級生か、せいぜい上下3年程度の年の差の人とうまくやれれば問題ないと思いますが、現場に出たらもっと年の離れた先輩とも一緒になるし、違う学歴やキャリア、スキルを持った人たちと仕事をします。

音楽教室の先生などの場合、小さい子どもからお年寄りまで相手にする可能性もあります。

コミュニケーション能力をおろそかにすると、練習をサボるのと同じか、それ以上損をするかも分かりません。
苦手な人は、やはり意識的に訓練する必要があると思います。

昨年ネクストステージ・プロジェクトでは、大変光栄な事に、50名の吹奏楽でのイベント演奏の機会をいただきました。
参考:学校法人持田学園 有馬白百合幼稚園様ご依頼 | 祝50周年大運動会にて50名吹奏楽団による生演奏

当事務所では、ふだんは四重奏くらいの依頼が多く、50名の奏者を集められる機会は本当に稀です。

僕自身が高卒で、音大の先輩などから仕事をいただくというチャンスがない状況で、国籍や年齢、ジャンルを問わず、いろいろなタイプの素晴らしい先輩方に助けていただいて今があるので、若い音楽家の皆さんには同じような体験をしてもらいたいと思いました。

音大の1年生から、『7人の輝く音楽家たち』で紹介させていただいたような多種多様な才能が集まり、とても面白いイベントになったと自負しています。

挨拶は基本中の基本!

演奏以外のコミュニケーションも学んでほしかったので、リハーサル初日の後には、いわゆるお酒の席での親睦会も企画しました。

決して愚痴ではないんですけど、このイベント以前にも小編成でうちの仕事をお願いした若い奏者も何人かいたのですが、指揮者、ディレクターだった僕に、「先日はありがとうございました、今回もよろしくお願いします」と挨拶してきた人と、何もなく、当然のように座っていた人がいました(リハでも親睦会でも)。

同じように、明らかに初対面で、きちんと自己紹介をしてきた人もいれば、何もない人もいました(最初にきちんと挨拶をする人は、イベント終了後もお礼を言って帰る人が多かったです)。

単純に考えて、どちらが印象が良いかは一目瞭然ですよね。

やはり挨拶というのは、社会人にとって基本と言える気がします。

僕が言いたいのは、「こんにちは、さようなら」というレベルの挨拶ではなく、このシリーズの1回目に書いたような、本質的な謙虚さや感謝を伴った挨拶の話です。

このイベントでは、それ以前からの知り合いも何人か仕事に呼んでいて、FacebookやLINEで後日挨拶してきた人もいますが、本当に感謝をしているかは文面を読めばだいたいわかるものです(怒られないようにやっているか、本当の目的を理解しているかは、会話でもメールでも伝わるものです)。

コミュニケーションで単発の仕事の価値を倍増させるには?

こういった事はどうしても感情が入る部分なので、正解はなく、絶対こうあるべきだという内容を具体的に書く事は出来ません。

出来るアドバイスはあくまで個人的な感覚としてですが、僕の場合、ご一緒させていただく先輩方から(共演者のすべてから)少しでも多くの事を学ぼう、盗もう、吸収しようという気持ちでコミュニケーションを取る意識はもっていると思います。

最近では、自分が若手と言える歳でもなくなってきてしまったので(笑)、若い人に対しては、ややおこがましいかもしれませんが、自分と関わる事によって、何かを学んでほしいという想いもあると思います(上から目線という意味ではなく、先輩として、利用出来るなら利用してください、という意味です)。

先輩、後輩に関係なく、自分にはないスキルをもっている人や、価値観をもっている人には、積極的に質問したりしますね。

この吹奏楽イベントの中では、同じ専門学校の同級生同士でバンドを組んでいる何人かと、その後輩にも声をかけていましたが、リハーサル、本番を通じて、ほとんどそのメンバー、つまり仲間内でつるんでいました。僕だったら、「そのメンバーとはいつでも会える、だから、せっかく普段ご一緒する機会のない経験豊富なプレイヤーと接点を増やして、何か一つでも多く学ぼう」とか、「同世代でも、違う価値観をもった人や、うまい人とたくさん友達になって、自分の可能性を広げよう」とか考えるんですが……。もったいないなと思ってしまいます。

この専門学校メンバーは、言葉は悪いですが、「コミュニケーションが下手な人たち」です。「井の中の蛙大海を知らず」とはまさにこの事です。自分の専門学校の身内の中だけでライブ活動などをしているだけではスキルアップは出来ません。

自分自身で目の前にある成長や次の仕事のチャンスを失っている事に気付いていないんですね。

このイベントの報酬の金額を将来100倍の価値にする人もいるかもしれないし、逆に、その場の額面どおりの仕事として終わる人もいるでしょう。もちろん報酬というのは金額だけの問題ではないです。その場で1円にもならなかったり、打ち上げで数千円払って聞いた先輩のお話が財産になる事もあります。

この辺りは、次回以降の

6. 自分の価値がわかっている
7. お金の価値がわかっている
8. 自己投資が出来る

にもつながってくる話だと思います。

コミュニケーション能力を磨く事は、自分の価値を知り(何が出来ていて、何が足りないかを知り)、お金の価値を理解し(目先の報酬を優先するのか、将来をプラスにするのか)、的確な投資が出来る能力と言えるかもわかりませんね。

次回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.5 自分の価値がわかっている/お金の価値がわかっている
前回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.4 コミュニケーション能力がある

前回は主に「健康管理」について書きました。

今回は、

3. 時間、期限を守る
4. 電話、メールなどできちんと連絡が取れる

の部分。スケジュールや、それを管理するための(演奏以外の)事務処理のお話です。

3. 時間、期限を守る

時間を管理する(守る)というのは、健康管理並みに当たり前だし、ここでミスると必ず損をします。

日本は時間に厳しい社会

ご存じのとおり、日本の鉄道は世界から見ても時間に正確なのは有名な話ですよね。

良くも悪くもですが、それだけ日本は時間に厳しい社会なんです。

僕は、アメリカの田舎では、鉄道が2時間遅れて来て、さらに到着も数時間遅れるとか、年越しライブが何となく始まり、ステージ上でカウントダウンが始まった時にはもう0時を過ぎていたなんて経験もしましたが(笑)、日本ではまず考えられません。

やはり遅刻の印象は悪いです。
演奏以前に損をする典型ではないでしょうか。

演奏以外でも仕事は評価される

仕事というのは、「労働の対価として金銭をいただく」行為です。

音楽家はここが曖昧になりやすいのですが、決して音を出している時だけ金銭が発生しているのではなく、拘束されている時間のすべてが仕事だという意識をもたなくてはいけません。

僕が過去に経験した年間契約のレギュラーの仕事でも、本番に穴を空けていなくても、入り時間に何度も遅刻している人は、翌年解雇になりました。

あとは、拘束時間うんぬん以前に、印象の問題ですね。

とあるツアーの仕事で、早朝の新幹線や飛行機の待ち合わせで、2度ほど乗り遅れた奏者がいましたが、僕の中では演奏より、「遅刻をする人」という印象が強く残っています(仮にこのツアーが15本あったとして、残り13本は遅刻していなくても、周囲には遅刻の印象が強く残ります)。

地方に行くと、メンバーで美味しい物を食べに行ったり、お酒を飲む機会も増えますが、この奏者は夜遅くまで盛り上がり、翌朝のホテルのロビー集合にもよく遅れていました。

地方公演の際の東京駅や羽田空港の集合時刻や、終演後の飲み会が拘束時間の中かと言われると微妙なところではありますし、演奏以外を楽しむなと言っているつもりはありませんが、最低限のプロ意識は必要ですよね。

ちなみに、前回の記事に書いたインフルエンザの人は同一人物です。

僕は今、一応プロデューサー、ディレクターという立場で奏者を仕事に呼ぶ側のポジションでもありますが、演奏がうまくても、こういう人に声をかけるのはためらいますよね。

病気で休むかもしれない、遅刻するかもしれない人より、そうでない(普通の)人を呼ぼうと思うのは、ごく自然な心理だと思います。

期限については自分の能力相応の判断を

自分は遅刻なんてしない、大丈夫だという方も多いでしょうけど、たとえば奏者に慣れないアレンジ(PCでの譜面作成を含む)の仕事を頼んで期限に間に合わなかったとか、もっと現実的な話では、スケジュール調整のメールなどですぐに返信がこない事は、若い音楽家だけでなく、30代前半くらいで比較的経験豊富な人たちと仕事をしていても、よくあるなという印象です。

クライアントさんなど、相手が締め切りを指定してきた場合、

①自分がその範囲で出来ると思ったら引き受ける

②無理だと思ったら、「その仕事量をこの期間でやるのは無理です、納期を延ばしてください」と打診する

③絶対に無理、迷惑をかける可能性があるならお断りする

基本はこの三択だと思います。

僕の過去の経験では、自分の能力、キャパシティーを理解せず、割と簡単に①の条件で受けてしまい、結果、間に合わなくて墓穴を掘っている人を多く見かけました。

状況に応じて、②③のように、出来ませんと伝える事はとても大切なんですよね。

ただ、若手の場合、大きなチャンスが巡ってくる機会はそんなに多くないし、いわゆる無茶振りをされて、それを乗り切る事で評価される可能性も高いので、この①②③、どれを選択するかはある意味運命のわかれ道かも分かりません。

どれが正解かはケースバイケースですが、一つ確実に言えるのは、自分が約束した納期、締め切りを守らないのは、非常に印象が悪い、これは間違いないでしょう。受けたなら、何が何でもやりきる事!(守っていてもクオリティーが低い仕事はダメですよ!)

4. 電話、メールなどできちんと連絡が取れる

もちろんこれはアレンジなどの制作の仕事だけでなく、「いついつ返信をします」と先方に伝えたメールなども同じ事です。

メールの返事が遅い人はなぜダメなのか?

このシリーズの1回目にも少し書きましたが、本番は事前におさえてあり、集まったメンバーで後日リハーサルの日程を調整するなんて事はよくありますよね。

自分がリーダーをやってみるとわかりますが、この状況でメールの返信がこない人が一人でもいると、日時を決定出来ないんです。

傾向としては、忙しい人ほど返信が早く、暇な人ほど遅いです。

前者をAさん、後者をBさんとした場合ですが、仮にBさんがAさんよりも3日遅く返信をしてきたとすると、忙しいAさんが出してくれた候補日を3日間ずっと仮でおさえてしまう事になるし、忙しい=売れっ子なので、3日前に出してくれた候補日にも新たに仕事が入り、結果、リハーサルに全員がそろわなくなる可能性もあります。

このBさんのようなタイプは、ほかの忙しいAさんのようなフリーランスの人や、スケジュール調整をしているリーダーやマネージャーの時間を奪っているという自覚がありません。

僕の感覚では、ビジネスの現場では、遅くても24時間以内の返信が一般的な気がしますね。

メールで損をする人のよくあるパターン

Bさんタイプの言い訳ベスト3は、

①迷惑メールのフォルダーに入ってしまった

②メインのアドレスでなかったのでチェックしていなかった

③候補日に別件が入っていて、調整中だった

です。

①迷惑メールとの兼ね合いをどうするか

迷惑メールは確かにわずらわしいですが、フリーランスの場合、大事なメールを見逃すリスクがあるなら、すべてを受信にし、いらないメールをマメに削除する、これしかないと思います。

②連絡手段は複数もつべきか

いまの時代、スマホのアドレス、PCのアドレス、LINE、Twitter、FacebookのMessengerなど、複数のアカウントを使っている人がほとんどだと思います。

一つしか見ていませんでした、は言い訳になりません。

わずらわしいなら、相手に一つしか教えないという手もありますが、フリーランスの場合、窓口がたくさんあるほうが有利なのもまた事実です。

実際、僕の世代だと、FacebookのMessengerでしか仕事の連絡がこないなんて人もいるし、僕自身、相手の連絡先をFacebookしか知らない(携帯の電話番号も知らない)なんて事もよくあります。

若い世代の方はLINEやTwitterがメインかもしれませんが、あなたに仕事をくれるのはFacebook世代の人かもしれません。

見ていませんでした、で損をするのはあなたのほうですよね。複数の連絡手段をもっている人は、毎日すべてをチェックする習慣を付けましょう!

③調整中なら調整中と返すこと

現在調整中の予定が入っているのなら、「ちょっと別件があって調整したいので、いついつまで待っていただけますか?」と、1本返信しておけば良いだけの話です。

それを受け入れるかどうかはあなたの事情ではなく、雇い主が判断する内容です。

調整してくれているなら少し待とうという場合もあるし、日程が迫っているので、すぐに予定を調整して参加を表明してくれる人に切り替える場合もあります。

「スケジュール管理」というスキル

こういったやりとりが、時間の管理だけでない、「スケジュール管理」というもので、いつどこに仕事が入るかわからないフリーランスにとって、とても大切なスキルなんです。

何ヶ月も先の安い仕事を受けるかどうか

前回シリーズの『輝く7人の音楽家たち』のインタビューで、ホルンの中澤さんもおっしゃっていましたが、後から良い仕事が入ったからと言って、前に受けた仕事をキャンセルすると、単発の仕事としては後から入ったほうがオイシイと思っても、信用を失い、その後の収入を減らしてしまう可能性もあります。

トランペットの佐藤君ユーフォニアムの円能寺さんも、「自分の価値、相場を下げない」とおっしゃっていましたが、彼らとは逆に、ずいぶん先の安い仕事を受けてしまっているがために、後から良い仕事が入っても受けられなくて損をしている人もいます。

彼ら三人のような優秀なフリーランスは、決してお金を優先しているのではなく、時には安い仕事でも、人間関係ややりがい、将来への投資になるかを考え、的確にスケジュール調整をしています。楽器がうまい、そのうえこのようなマナーがきちんと出来ているからこそ、仕事がくる、続くんですよね。

電話の着信にはすぐ返信する

電話で仕事がくる事はずいぶん減りました。なので、あまり多くは書きませんが、先輩ミュージャンや事務所から着信があったら、留守電が入っていなくてもなるべく早く折り返すなど、自分がやりたいと思う人や事務所だったら、とにかく迅速に対応する事ですね。

若いうちは特に、あなたに声をかけているのではなく、あなたに「も」声をかけている場合が多いでしょう。

メールでも電話でも、連絡が早い人が有利なのは言うまでもありません。

何気ないやりとりに表れる「謙虚さや感謝」

最初は「いつでも空いています、何でもやります、たくさん経験させてください!」から始まり、スキルアップ出来た人は、同じ日に仕事が重なり、どちらかを選ばないといけない状況が必ず増えてきます。

クラリネットの太田さんも、同じ日に引き受けたい仕事が重なってしまった時は悔しい思いをするとおっしゃっていましたが、フリーランスには付き物だし、必要とされている証拠でもありますよね。

そんな時に、前々回にも触れた「謙虚さや感謝」があり、「お声がけくださってありがとうございます。今回は申し訳ありません、また次回よろしくお願いいたします」と言える人と、そうでない人では、その後の人生が変わってくるのではないでしょうか。

実際うちの事務所でも、緊急で人を集める必要があった案件で、やむを得ず複数の同じ楽器の奏者にメールをした事がありますが、返信が遅いうえに、こちらが「今回はすみません、決まってしまいました。またよろしくお願いします」とメールを返しているのに、それに対し「こちらこそ申し訳ありません、また次回よろしくお願いします」というような返信がなかった人は、おそらく次に声をかける事はないですね(このブログを読んでいたら、自分の事だと気付いてほしいのですが)。

やがて何かを手放す決断を迫られる段階が訪れる

駆け出しのころに何でも受けていた状態から、先ほども触れた人間関係、やりがい、将来への投資になるかどうか、報酬が適正かなどを考えた時に、不必要なものを手放す決断を迫られるのもまた、成長の証だと思います。

そうやって自分にスペースを作らないと、新たに何かを受け入れるキャパシティーは生まれず、スキルアップ出来ないですよね。

音大ではあまり教わらないかもしれない、このようなマナーを身に付け、若い皆さんには仕事の幅を広げていってほしいと思います。

次回記事:Vol.4 コミュニケーション能力がある
前回記事:Vol.2 自己管理が出来ている

今回は

2. 自己管理が出来ている

についてです。

自己管理の最も基本となるのが、「健康管理」です。
健康第一、身体が資本というのは当たり前の事ですよね。

サラリーマンが健康管理を怠って良いという話ではありませんが、有給休暇があったり、休んでもすぐに職を失うリスクがないという点で、やはり恵まれていると感じます。

あなたが休んだら、周りはどうなるか?

フリーランスの場合はどうでしょうか?
当然の事ながら、休むと共演者、関係者に迷惑がかかります(これはサラリーマンも同じですが)。

具合が悪いまま現場に来て、その後インフルエンザで帰らされた人を見た事があります。
劇場やツアーなど、何日にもわたって本番が続いている場合、それが元で公演中止にもなりかねないので、本当に迷惑ですよね。

既にリハーサルも終了している仕事で本番直前に病気になり、大慌てで現場のマネージャーさんが代役(トラ)を探しているという光景も何度かありました。

あなたが休んだら、「次」はあるか?

その結果どうなるか言ううと、リハなしでもこなせるような優秀な奏者が必ず来るんですよね。
言い換えれば、代わりはいくらでもいるという事です。

僕が関わった案件では、病気になった奏者はクビになりませんでしたが(実績、信頼もあったので)、ほかに優秀な奏者が見付かってしまうわけですから、もしも2,3度同じような事が続けば、次は呼ばれない可能性も十分にあります。

たとえさほど重症でない風邪であっても、その状態でベストのパフォーマンスは出来ません。

若手のうちで、まだ実績も信頼もない場合、やっとの事で呼ばれた仕事で病気になったら、仮に穴を空けなくても印象は良くないですよね。

マネージャーの立場から見ても、代役探しは本来やらなくても良い仕事で、言わばサービス残業です。
同じレベルなら、健康な人を仕事に呼びたいというのが雇う側の心理ではないでしょうか。

僕が肝を冷やした経験

他人の事を偉そうに書いていますが、僕自身も20代前半の時、テーマパークのショーで1日穴を空けた経験があります。

不摂生による夏風邪で、高熱を出してしまいました。

当時のテーマパークの仕事はダブルキャストではありませんでした。
そして当然の事ながら、テーマパークは暗譜で振り付けなどの演出付きです。
どんなに優秀な奏者でも、そう簡単に代わりは出来ません。
しかも僕は1st(トップ)を吹いていました。
さらにその日は、夜に都内でライブの仕事も入っていたのです。

テーマパークのほうは、一緒にプレイしていた3rdトロンボーンの方が東京藝大卒の超優秀な人で、耳がめちゃくちゃ良く、1stの音を全部即興で吹けるという事で、その方が1stに繰り上がり、代役を務めてくださいました。

ライブのほうは既に事前のリハーサルも済んでいて、譜面も自分で預かっていたうえ、難曲ばかりだったので、薬で熱を下げて参加し、何とか2ステージを乗り切りました(翌朝にはもうテーマパークのショーに復帰しました)。

テーマパークは年間契約だったので、それが元でクビになったりはしませんでしたが、単発の仕事ではなく、ポジションが保証されている現場で良かったなと感じましたね。

とは言え、共演者に迷惑をかけてしまったのには変わりないし、実際僕より優秀な奏者が代役を務めてくれたわけで、これが単発の仕事だったら、この方に仕事を取られていたかもわかりません。

食事と睡眠 ~ 若くても身体のメンテナンスは大切に

それ以降、気持ちが引き締まり穴を空けた事はないですが、若いころは収入が少なくて、ファストフードやラーメンなどで食事を済ませたり、アレンジの仕事で徹夜をしたりで風邪を引く事もたびたびありました。

今は年齢的に無理がきかなくなってきているのもありますが、収入も安定してきているので、外食でもなるべく栄養バランスに気を付けたり、サプリメントをとったり、仕事が残っていても徹夜をしない、睡眠は十分にとるなど、さまざまな事に気を使っています。

若いうちは収入も少なく、偏食になってしまうのもある程度仕方がないし、実際多少の睡眠不足でも頑張れてしまうのですが、僕の場合は当時の無理がたたり、今、身体のメンテナンスなどにお金がかかったりしているので、もう少し気を付けておけば良かったと後悔しています。

フリーランスに有給休暇はありません。
音楽家というのは、メンタルもフィジカルもとても繊細な仕事だと思うので、一つしかない自分の身体を大切にしてくださいね。

「商品」としての自己管理

自己管理は健康管理だけではありません。

人を物に例えるのは良くないですが、あなたはある意味「商品」なので、服装や髪型などの身だしなみも大切です。

どんなに美味しい食材を使っていても、お皿が汚れていたり、盛り付けが汚い飲食店には行きたくないですよね(どんなに楽器がうまくても、身だしなみがきちんとしていないとお金を払ってもらえません)。
これも立派な自己管理です。

それから、これは

 3. 時間、期限を守る
 4. 電話、メールなどできちんと連絡が取れる

ともリンクしているので、次回に触れますが、時間やスケジュール管理(タイムマネージメント)もフリーランスには重要な自己管理のスキルです。

では、今回はここまで。

次回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.3 時間、期限を守る/電話、メールなどできちんと連絡が取れる
前回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.1 謙虚さ、感謝がある、謝罪が出来る

前回までの特集、「輝く7人の音楽家たち」はいかがでしたか?
僕自身も同世代の尊敬する音楽家の皆さんの生き方を伺ってみて、さらに価値観を広げることができました。

この7人のほか、今まで出会ったさまざまな音楽家を思い返してみて、生き残っている人には多くの共通点がある事に気付きました。

今回から10項目に分け、職業音楽家として、特にフリーランスで成功するための秘訣をお伝えしていこうと思います。

フリーランスで成功するための“10の秘訣”
  1. 謙虚さ、感謝がある、謝罪が出来る
  2. 自己管理が出来ている
  3. 時間、期限を守っている
  4. 電話、メールなどできちんと連絡が取れる
  5. コミュニケーション能力がある
  6. 自分の価値がわかっている
  7. お金の価値がわかっている
  8. 自己投資が出来る
  9. 音楽以外の能力をもち合わせている
  10. 音楽が好きである、信念がある

1. 謙虚さ、感謝がある、謝罪が出来る

我々は音楽家である以前に一人の人間ですよね。
人として魅力のない人には仕事は来ない(続かない)のではないでしょうか。

その基本が「謙虚さ」と「感謝」ではないかと思います。

謙虚さが現状に甘んじない向上心を生む

中澤さんの記事の際にも書きましたが、フリーランスは特に現状維持をしようと思っているだけでは生き残れないと思っています。
つまり「向上心」をもつ事。

では、その向上心はどこから来るのかと言えば、それは「謙虚さ」からだと思うのです。

「自分はまだまだ」は、もっと「頑張らないといけない」(成長)につながっていきますよね。

似たような言葉に「謙遜」(けんそん)というのがありますが、日本人はこちらが強い、強すぎる人が多いと感じます。
手みやげを持って行った際に「つまらないものですが……」という、アレですね。

6. 自分の価値がわかっている」でも触れますが、自分を下げすぎる必要はありません。

日本は特に「能ある鷹は爪を隠す」文化があり、「出る杭は打たれる」社会環境があります。

その問題に触れると論点がずれてしまうので、ここでは控えますが、場合によってはこの文化、環境を利用し、自分の能力のなさを「謙遜」という殻をかぶって自己防衛している人を多く見かけるんですよね。

これは「謙虚」とは別物なので、「謙虚さ」→「向上心」にはつながらないと僕は考えています(むしろ「逃げ」→「成長を止める」につながると思います)。

感謝を行動で示せる人、示せない人

次に「感謝」

「ありがとうございます」という言葉が素直に使えるかどうかです。
これは、前述の「謙虚さ」がない人には出てこない言葉ですよね。

若手のころは特に、本当は実力が不十分であっても、先輩方が勉強、経験のために仕事に呼んでくれたりします。
その際に、「(こんな未熟な自分を使ってくださって)ありがとうございます」と思えるか、それを態度に示せるか(言葉に出せるか)ですね。

うちの事務所では、たくさんの若手に演奏の機会を提供していますが、1~2ヶ月前に仕事をお願いし、再度お願いした場合や、どこか別の場所で会った時に「先日はありがとうございました」とか「お世話になりました」という言葉が使える人と使えない人がいます。

どちらの印象が良いと感じますか?

「仕事をもらって当然」というような意識でいる人は、まさに謙虚さがない人で、そういう人からは感謝の言葉が出てこないのです。

心からの謝罪、形だけの謝罪

また、謙虚、感謝がない人の特徴として、「謝罪」も出来ない人が多いですね。

日本人は欧米人と比べると、自分が本当は悪くない時や、本心では悪いと思っていない時に簡単に謝ります。
ですが、あまりに謝り慣れていて、心がこもっていないケースがよくあります。

4. 電話、メールなどできちんと連絡が取れる」でも書こうと思っていますが、たとえば、仕事に関係のあるメールの返信が遅くなってしまった時、「連絡が遅れました」と書いてくる人と、「連絡が遅くなって申し訳ありません」と書いてくる人がいます。

何気なくやっている人もいますが、これもどちらが印象が良いかは一目瞭然ですよね。
後者であっても、「心がこもっていないな」と感じる事もあります。

状況によっては、なぜ連絡が遅くなったかを説明したほうが良い場合もあるし、次からどうするのか、自分の変化を伝える必要もあります(例:毎日メールチェックをして、必ずすぐに返信するようにしますとか)。

個人的なやりとりではなく、複数の人間が関わっている内容だった場合(例:音楽家の場合、リハーサル日程の調整etc.)、一人の連絡が遅いために、プロジェクトが止まってしまう場合があります。

こういう状況において、周囲に迷惑をかけている意識があるかどうか。
それがないのに、いくら形式的に「すみません」「申し訳ありません」などの言葉を使っていても、本質的に謝っているかどうかは、見る人が見ればすぐわかってしまうのです。

早いうちに気づいたほうが得

感謝については、「輝く7人の音楽家たち」でも黒田さんが語ってくれていました。

Vol.5 音楽家として自立するには「信念・情熱・感謝」が大切! / 黒田慎一郎さん(ドラム)

僕自身も若いころは黒田さんと同様に、「俺が俺が」なところはありました。
当時の僕を知る人は、「お前が何を偉そうに書いているんだ!」と思っているかもわかりません(笑)。

言い訳をすれば、「若気の至り」や「勢い」も大切だと思います。
ですが、それが許されるのは本当に若い時だけです。

いろいろな人と出会い、頭を打ち(例:素晴らしい先輩と共演させていただき、自分の実力のなさを痛感したり)、成長していかないと自然にこの業界からは淘汰されていきます。

早いうちに気づいたほうが間違いなく得です。

人からの不当に低い評価とどう向き合うか

また、これも「6. 自分の価値がわかっている」で触れますが、僕は若いころから基本的に「謙遜」の習慣はないので、自分を必要以上に低く見られていると思った場合、決して謝罪はしません。

そこでわかり合えなかった人とは当然今、付き合いはないわけで、そういう人から見れば、僕は謙虚さのかけらもない人です。

ただ、事実として、僕はこうして生き残っています。
敵が多い自覚は多少ありますが(必要以上に作っているつもりはないですが)、その反面、強力な味方が多いので、その方々が僕の生活を支えてくれています。

人が自分をどう感じるか、それは相手次第なので(本質的に相手の心は変えられないので)、結局は「自分をしっかりもつこと」なんだと思っています。

では、今回はこの辺で。

次回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.2 自己管理が出来ている
前回記事:Vol.7 「好きこそものの上手なれ」好きならどんな苦労も乗り越えられる! / 福井健太さん(サックス)

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