音楽家のサバイバル術A way for musicians to survive

フリーランスで成功するための”10の秘訣”(全7回)

自己管理が出来ている『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.2

フリーランスで成功するための”10の秘訣”をお送りしていますが、今回は2つ目『自己管理が出来ている』についてです。

自己管理の最も基本となるのが、「健康管理」です。

健康第一、身体が資本というのは当たり前の事ですよね。

サラリーマンが健康管理を怠って良いという話ではありませんが、有給休暇があったり、休んでもすぐに職を失うリスクがないという点で、やはり恵まれていると感じます。

あなたが休んだら、周りはどうなるか?

フリーランスの場合はどうでしょうか?

当然の事ながら、休むと共演者、関係者に迷惑がかかります(これはサラリーマンも同じですが)。

具合が悪いまま現場に来て、その後インフルエンザで帰らされた人を見た事があります。

劇場やツアーなど、何日にもわたって本番が続いている場合、それが元で公演中止にもなりかねないので、本当に迷惑ですよね。

既にリハーサルも終了している仕事で本番直前に病気になり、大慌てで現場のマネージャーさんが代役(トラ)を探しているという光景も何度かありました。

あなたが休んだら、「次」はあるか?

あなたが休んだ結果どうなるか言ううと、リハなしでもこなせるような優秀な奏者が必ず来るんですよね。

言い換えれば、代わりはいくらでもいるという事です。

僕が関わった案件では、病気になった奏者はクビになりませんでしたが(実績、信頼もあったので)、ほかに優秀な奏者が見付かってしまうわけですから、もしも2,3度同じような事が続けば、次は呼ばれない可能性も十分にあります。

たとえさほど重症でない風邪であっても、その状態でベストのパフォーマンスは出来ません。

若手のうちで、まだ実績も信頼もない場合、やっとの事で呼ばれた仕事で病気になったら、仮に穴を空けなくても印象は良くないですよね。

マネージャーの立場から見ても、代役探しは本来やらなくても良い仕事で、言わばサービス残業です。
同じレベルなら、健康な人を仕事に呼びたいというのが雇う側の心理ではないでしょうか。

僕が肝を冷やした経験

他人の事を偉そうに書いていますが、僕自身も20代前半の時、テーマパークのショーで1日穴を空けた経験があります。

不摂生による夏風邪で、高熱を出してしまいました。

当時のテーマパークの仕事はダブルキャストではありませんでした。そして当然の事ながら、テーマパークは暗譜で振り付けなどの演出付きです。

どんなに優秀な奏者でも、そう簡単に代わりは出来ません。

しかも僕は1st(トップ)を吹いていました。さらにその日は、夜に都内でライブの仕事も入っていたのです。

テーマパークのほうは、一緒にプレイしていた3rdトロンボーンの方が東京藝大卒の超優秀な人で、耳がめちゃくちゃ良く、1stの音を全部即興で吹けるという事で、その方が1stに繰り上がり、代役を務めてくださいました。

ライブのほうは既に事前のリハーサルも済んでいて、譜面も自分で預かっていたうえ、難曲ばかりだったので、薬で熱を下げて参加し、何とか2ステージを乗り切りました(翌朝にはもうテーマパークのショーに復帰しました)。

テーマパークは年間契約だったので、それが元でクビになったりはしませんでしたが、単発の仕事ではなく、ポジションが保証されている現場で良かったなと感じましたね。

とは言え、共演者に迷惑をかけてしまったのには変わりないし、実際僕より優秀な奏者が代役を務めてくれたわけで、これが単発の仕事だったら、この方に仕事を取られていたかもわかりません。

食事と睡眠 ~ 若くても身体のメンテナンスは大切に

それ以降、気持ちが引き締まり穴を空けた事はないですが、若いころは収入が少なくて、ファストフードやラーメンなどで食事を済ませたり、アレンジの仕事で徹夜をしたりで風邪を引く事もたびたびありました。

今は年齢的に無理がきかなくなってきているのもありますが、収入も安定してきているので、外食でもなるべく栄養バランスに気を付けたり、サプリメントをとったり、仕事が残っていても徹夜をしない、睡眠は十分にとるなど、さまざまな事に気を使っています。

若いうちは収入も少なく、偏食になってしまうのもある程度仕方がないし、実際多少の睡眠不足でも頑張れてしまうのですが、僕の場合は当時の無理がたたり、今、身体のメンテナンスなどにお金がかかったりしているので、もう少し気を付けておけば良かったと後悔しています。

フリーランスに有給休暇はありません。

音楽家というのは、メンタルもフィジカルもとても繊細な仕事だと思うので、一つしかない自分の身体を大切にしてくださいね。

「商品」としての自己管理

自己管理は健康管理だけではありません。

人を物に例えるのは良くないですが、あなたはある意味「商品」なので、服装や髪型などの身だしなみも大切です。

どんなに美味しい食材を使っていても、お皿が汚れていたり、盛り付けが汚い飲食店には行きたくないですよね(どんなに楽器がうまくても、身だしなみがきちんとしていないとお金を払ってもらえません)。
これも立派な自己管理です。

それから、これは

3. 時間、期限を守る
4. 電話、メールなどできちんと連絡が取れる

ともリンクしているので、次回に触れますが、時間やスケジュール管理(タイムマネージメント)もフリーランスには重要な自己管理のスキルです。

では、今回はここまで。

次回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.3 時間、期限を守る/電話、メールなどできちんと連絡が取れる
前回記事:『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.1 謙虚さ、感謝がある、謝罪が出来る

カウンセリング受付中

NPO法人ネクストステージ・プランニングでは若い音楽家向けに、本記事著者の藤井裕樹によるカウンセリングを受け付けております。詳しくはこちら

シェアのお願い

この記事が参考になった!勉強になった!という方は、ぜひお友達にもこの記事を教えてあげてください!

記事を書いた人

藤井裕樹
藤井裕樹(フジイヒロキ)

NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター。中学でトロンボーンを始め、大学には行かず19歳でプロになる。ジャズやポピュラー音楽を中心に、某人気テーマパークでの演奏や、有名ミュージシャンとの共演多数。詳しくは「ネクストステージ」へ羽ばたく若い音楽家の皆さんへ

HP: https://mtfujimusic.com/

音楽家のサバイバル術トップへ

Reccomend