音楽家のサバイバル術A way for musicians to survive
“仕事が来る”音楽家のプロフィールの魅せ方
前回のブログ(YouTube動画の審査ポイント)では、当社がどのような基準でYouTube動画審査をしているかについて解説させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
これを読んで、自分はもっと良いアピールが出来ると思った方、当社は一度送ったらおしまいではなく、いつでもアップデートを受け付けていますので、ぜひ、より良い動画を送っていただきたいと思っています。
よくあるプロフィールに魅力を感じるか
さて、今回はタイトルのとおり、「プロフィールの魅せ方」についてです。
僭越ながらこうして動画審査をさせていただく音楽ディレクターの立場で感じるのは、
音大出身のクラシック奏者のプロフィールは皆ほとんど同じ
だという事です。
- ◯◯県◯◯市出身(もしくは◯◯高校卒業)→ここがない人も多いです
- ◯◯音大◯◯科卒業
- (人によって)留学歴
- ◯◯コンクール◯位入賞
- ◯◯氏に師事
だいたいこんな感じです。
もちろん嘘は書いてはいけないですし、とりあえず書くのはこういう内容になるのかもしれませんが、このような「どんぐりの背比べ」状態で、あなたに仕事を依頼してもらえる可能性が高いと感じますか?
ほとんどの方が「皆そういうふうに書いているから、しきたりだから」というレベルでプロフィールを書いているような気がします。
前回のブログに書いた「同じレベルの人が2人いたら、どちらが採用されやすいのか」の部分をもう一度読んでみてください。
実際には、ライバルは2人どころではないのです。
少しでも自分に注目してもらうためには、ほかの人にはない何かが必要です。
あなたは誰にプロフィールを見てもらいたいのか?
そもそも、プロフィールは「何のため」に書くのでしょうか?
僕は「仕事を取るための自己アピール」で、一般企業で言えば「履歴書」の役割だと思っています。
それが、上記のたった5項目で採用してもらえるでしょうか?
履歴書のような形式的なものでも、志望動機や特技くらいは書きますよね。
「卒業」「師事」は一般の方にとって決定要因になるのか
以前、とある大型ショッピングモールに行った際、大手楽器店の教室がそこに入っていました。
僕と同じトロンボーン教室があったので、どんな人がやっているのかな?と思い、プロフィールを見てみると、そこには、
◯◯音大◯◯科卒業
◯◯氏に師事
だけが書いてありました。
このご時世、音大を出て音楽教室の講師をやっている人なんて珍しくもありません。
さらに、◯◯氏に師事という文言ですが、これ、町の音楽教室に必要でしょうか?
僕はトロンボーン奏者なので、その方の名前は存じ上げています。ですが、一般の方は誰も知らないと思います。
この音楽教室の先生、担当者は、何をアピールすれば生徒さんが集まるのかわかっていないのです。
一般の方から見たら、はっきり言ってどこの大学を出ていても大差はないです。
国立(芸大)はちょっと例外かもですが、私立の学校で、どこの学校がハイレベルで、どこがそうでないかは知らないし、ほとんど気にしていないと思います。
ましてや音大やオーケストラで権威のある◯◯氏に師事と書いたところで、一般の方にはなんの効果もありません(仮に有名オケの方なら、◯◯交響楽団の◯◯氏に師事と書けば多少効果はあるかもわかりませんが)。
仕事がくるプロフィールに必要なもの
このケースのポイントは、
- 一般のお客様が、どういう先生だったら習いたいと感じるか?
- (あなたが)ほかの先生とどう違うのか?
この2点ではないでしょうか?
一般の方に響く言葉を
もちろん前述のプロフィールを書いてはいけません、という話ではありません。
ですが、この場合、自分自身の言葉で、生徒さんを惹きつけるような内容を書いたほうが、より効果がある気がします。
たとえば、
「私も初めてトロンボーンを吹いた時には、ちゃんと音が出なくて苦労しました。でも、今は本当に大好きな楽器です。皆さんが少しでも早く上達出来るよう、近道を伝授したいと思います!」
とかですね。
このほうが、先生の人間性も感じるし、共感から「この先生に習ってみようかな」って感じませんか?(自分の経験談、楽器、音楽への想い、何を提供したいかが短い文章の中に含まれています)
演奏の仕事を請けたい場合も同じです。
たとえば、当社の動画審査を通過し、仕事を取るためには、「誰に対して、何を」アピールしたら良いのでしょうか?
生演奏の事例でも紹介していますが、当社のクライアント様のほとんどは「一般企業」です。
音楽関係者ではありません。
「私の出身音大くらい知ってるよね?」
「◯◯コンクール入賞はすごいのよ!」
「◯◯先生はすごいのよ!」
「私の演奏技術はとても高いのよ!」
こういった考え方はいっさい通用しません。
実際このように思ってはいなくても、多くの方が「音楽家目線」のプロフィールになっています。
ちなみに僕は、どこに出すかによってプロフィールの書き方を変えています。
理由はここに書いてきたとおり、自分目線ではなく、あくまでクライアント様目線で書くようにしている、ただそれだけです。
参考:https://mtfujimusic.com/about/#modal
僕は音大は出ていませんが、アメリカ留学経験、テーマパークでの演奏経験、有名Jポップアーティストさんとの共演歴、ヤマハ音楽教室の講師歴など、一般の方が見てわかりやすい経験をたくさんしてきたので、プロフィール上は比較的有利だと思います。
もちろんその先は実力勝負だとは思いますが、まず最初の段階で、自分に注目してもらう事は絶対に必要です(でないと、最初の1回目の仕事が来ません)。
ライバルとの差別化を
今の時代は、ブログ、Facebook、Twitter、YouTubeなどもあり、自分の人となりを発信する事は以前よりも簡単になりました。
僕のような目立つプロフィールがなくても、あなたにもっと注目してもらう方法、ライバルと差別化を図る方法はいくらでもあると思います。
今回のタイトルはあえて「プロフィールの見せ方」ではなく、「魅せ方」という字を使いました。
ただ「見せる」のではなく、もっと「魅力のあるプロフィール」を作成してみてはいかがでしょうか?
次回記事:劣等感で悩むあなたに贈る、自分らしく生きる為の考え方
前回記事:『夢を実現させるために、最も大切な行動とは?』 Vol.1