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コロナ禍の今だからこそ音楽家にチャレンジしてほしい12のこと
はじめまして、クラリネット奏者の吉田佐和子です。
今回からNPO法人ネクストステージ・プランニングのサイトで記事を執筆させていただくことになりました!音楽家の皆さんに役立つ情報をたくさんお届けしていきますので、どうぞお楽しみに。
現在、コロナウイルスが流行し、多くの音楽家や音大生の方々が『いま何をすればいいのか?』不安を感じたり、迷っておられることと思います。
今回はそんなみなさんに今だからこそ是非チャレンジしてほしい『未来につながるアクション』を12個まとめてみました。
1.動画編集を学ぶ
コロナウイルスの影響で多くの音楽家はいま家にいる時間が長くなっていますよね。
お家にいながら演奏を届ける方法として演奏動画をアップする人も多いのではないでしょうか?
演奏動画を作成する際に、スマホを利用するか、パソコンを利用するか?がまず分かれると思いますが、最近はスマホのアプリで簡単に動画を作成出来るようになりました。
例えば、わたしが過去にYouTubeにアップしたこの動画は撮影から編集まですべてVLLOというアプリで行っています。
他にもInShotというアプリも動画の色味を変えるフィルターがたくさんあるので、雰囲気が色々変えられて便利です。
また、アプリではなく本格的に動画編集にチャレンジしたい人には、次の2つのソフトウェアがおすすめです。
①Final Cut Pro X(ファイナルカット プロ テン)
②Premier Pro(プレミアプロ)
まずはMacユーザー向けのアプリ、Final Cut Pro Xです。
お値段は36,800円と安くはありませんが、買い切りタイプなので、一度購入するとずっと使うことができます。
当然ですが、スマホアプリよりも繊細な編集ができますし、スマホ画面で編集するよりもパソコン画面で編集する方がグッと見やすくなります。
編集する上で最低限必要な情報はYouTube上にたくさんあるので、当初は『独学で学べるかなぁ?』と思っていたんですが、必要な情報を集めるのにかなり時間がかかってしまったため、わたしは最低限必要な情報を知るためにビデオ講座を購入しました。
そのビデオ講座で扱われていたのがPremier Proだったため、現在はPremiere Proを使用して動画編集をしています。
Premiere ProはAdobeと契約すると利用することができます。
わたしはCreative Cloud コンプリートプランを契約していて、コンサートフライヤーの制作時にはIllustratorを、動画編集に関わる写真編集でPhotoshopを使用しています。
Premiere Proだけを使えるプランもあるので、詳しくはAdobeのサイトを見てみてください。
学生や教職員の方は通常より安く契約することが出来るので、ぜひチェックしてみてくださいね。
2.Twitterで文章や演奏動画を発信する
ツイッターに演奏をアップしている演奏家の人もたくさんおられますが、だからこそ今はツイッターを始めやすいのではないでしょうか?
こんな感じで過去の演奏をツイートするのも良いと思いますし、新しく短い動画を撮ってアップするのもいいですね。
ちなみに、わたしは呟く回数が少なくないので、写真付きのツイートや動画つきのツイートばかりが続かないようにしています。
タイムラインを見たときに文字だけのツイートと写真や動画つきのツイートが混在していた方が見やすいな、と感じるためです。
ただ、どんな呟きがその人の良さを引き出すことが出来るのかは本当に1人1人違うので、いろいろ呟いて試行錯誤してみてくださいね。
3.インスタグラムで演奏動画を発信する
Twitterのアカウントで動画を発信している人は、ぜひその動画をインスタグラムにも投稿してみてはいかがでしょうか?
海外のアーティストのインスタグラムを見ていると日本人よりも気軽にインスタで演奏動画を載せたり自撮り写真をアップしていると感じます。
もちろん日本と海外の文化の差もあるのですが、海外のアーティストから魅せ方を学ぶのも参考になると思います。
インスタグラムに動画を載せるときにちょっとお洒落な動きをつけたい!という人はCanvaを使うとこんな動画を簡単に作ることができますよ。
多重録音をしたい人はこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
>誰でも簡単に多重録音!Acapella(アカペラ)アプリで自分とアンサンブル!
4.YouTubeで新しい表現を始める
YouTubeに対していろいろな先入観を持っていた人がいると思いますが、そういうのはこのコロナウイルスの影響による事態で本当に変わりましたよね。
YouTubeチャンネルを持っている=多くの人が利用するプラットホームを通じて表現を届けようとしていることになったのです。
ツイッターやインスタグラムをしてるのと同じ感覚で、みんなYouTubeを始めていますし、これからは『YouTubeチャンネル持ってないの?』という会話が普通になってくるはずです。
わたし自身、いろんな投稿をしてみました。
例えば、過去におこなったコンサート(全編1時間40分)をのせてみたり。
ポップスをカバーしてみたり。
クラリネットに関するお話動画を出してみたり。
いろいろ投稿してみると、その中でも予想以上に再生されるもの、頑張ってつくっても再生回数が多くないものなど色々あるんですが、そういうのも含めてトライ&エラーを繰り返すのが楽しいです。
これからYouTubeを始める人は、まずいろんなYouTubeを見てみてほしいんですが、自分がやりたいものがすぐに評価されるとは限らないんですよね。
ちなみに、ピアニスト&作曲家の林正樹さんがアップされた動画はとてもお洒落で、演奏・映像ともに動画としてのクオリティーが高く、魅了されました。
また、林さんはTVアニメ『ユーリ!!! on ICE』の劇中歌「Yuri on ICE」の動画もアップされたのですが、このブログを執筆している現在、公開されて4日で4万8千回を超える再生数となっています。
林さんの映像は独自のロゴを作っておられたり、演奏シーンを使っていなくても映像に動きがあり、視聴者を飽きさせない工夫がされていて、これからYouTubeを始める人にも参考にしてほしい点がたくさんあります。
自分が評価してほしい動画があると思いますが、視聴者が望んでいるものと自分がやりたいことの間を狙うような動画をアップすることも必要ですね。
さらに、今は下記のような高音質&高画質でのライブ配信も楽しめるようになってきました。
わたしも配信中にお邪魔したのですが、お2人の素晴らしい演奏を堪能しただけではなく、ウェブ配信=音質や画質が悪くなりやすいという概念が覆された高音質&高画質で楽しめる素晴らしいコンサートでした。
こちらのライブ配信ではスーパーチャットといわれる投げ銭も行われていたんですが、本当に気持ちよく投げ銭させていただきました。
実は今回初めてスーパーチャットをしたんですが『団体に対する寄付もいいけど、やっぱりこういう風に頑張っておられる方にちゃんとお金が届いてほしいな』と、改めて思いました。
5.話すのが好きな人は配信を始めてみよう
人と話すのが好き!という人にはリアルタイムでリアクションをもらえる配信がおすすめです。
わたしは以前、SHOWROOMというサービスを利用していたのですが、現在はツイキャスを使って気ままに配信しています。
Twitter、インスタグラム、YouTubeでも配信は出来るのですが、SHOWROOMや17LIVE(イチナナライブ)などの配信サービスを使ってみるのもいいでしょう。
本格的にやってみたい人は、配信時間を決めて取り組むと視聴者の方も予定が把握しやすく、集まりやすくなりますね。
6.ブログであなたの思いを綴る
演奏動画を気軽にたくさん見られるようになった一方で、動画を見ることに疲れてきた人もいるのでは?
そんなあなたには、是非ブログであなたが楽器と出会った理由、大好きな音楽家、そして今の気持ちなどいろいろな出来事や感情を文章で表現してみて欲しいです。
ブログを始める際に一番お手軽なのはAmebaブログです。
最近は音楽家でnoteを始める人も多いのですが、文章が書きやすく課金システムがある部分は魅力的なのですが、記事が多くなってきたときに回遊性が悪いなと感じています。
もし自分の名前をウェブで検索しても何も出てこない!というウェブでの発信を始めて間もない人や上手くいっていない人は、AmebaブログもnoteもSEO対策(ウェブで検索した際にあなたのウェブサイトを上位表示させたりする対策のこと)がしっかりしているので、どちらかをやってみると良いですよ。
ただ、人によってどのサービスが合うかどうかは分からないと思うので、まずはそれぞれ触ってみて何か書いてみるのがおすすめです。
ちなみに下記のわたしのブログはワードプレスというソフトウェアを使って作っています。
そもそもワードプレスって何?という方もいると思うので、そんな人は下記のブログをご覧ください。
>WordPressとは?初心者でも分かるように仕組みを図解
7.映画を観賞し、本を読み見聞を広める
映画を観たり本を読むことを通して、これからの人生の可能性や、自分が大切にしたい価値観にも気づくことが出来るのではないでしょうか?
例えばNetflixやAmazonビデオに加入すれば数多くの映画を見ることができます。
特にAmazonビデオは月額500円というお手頃な価格で楽しめるのでオススメです。
ちなみに現在のコロナウイルスの流行を予見していたとも言われている、ウイルスによるパンデミックを描いた映画「コンティジョン」はNetflixで配信されているので、気になる方は是非チェックしてみてくださいね。
8.お金について学ぶ
コロナウイルスによって収入が減った皆さんに対しての給付金を受け取るために、前年度の収入証明が必要・・なのに、確定申告をしていなくて収入を証明するものがない!という人も少なからずいるようです。
以下におすすめの本を挙げておきますので、ぜひ今こそ確定申告やお金についても学んでみてはいかがでしょうか?
本は苦手!という人にはマンガ形式でスルスル学べるこちらの本がおすすめです。
お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!
本を読むのがつらい、というあなたは上記の本の著者である税理士YouTuberの大河内さんのYouTube動画をご覧になってみてはいかがでしょうか?
日本ではお金についての教育が十分にされていないのが現状です。
一生ついてまわるお金に関する知識はしっかりつけておいて損はありません。
9.専門とは違うジャンルの音楽について学ぶ
現在クラシックを学んでいる人は、この機会にジャズを学んでみるのはどうでしょうか?
最近、日本を代表するジャズクラリネット奏者・谷口英治さんがYouTubeを始められたのですが、ジャズスの知識や奏法をとても分かりやすくレクチャーしておられるので、ジャズについて何も知らない方でも理解しやすいでしょう。
10.編曲・作曲について学ぶ
コンサートをするときに、希望の編成の楽譜がない・・ということもありますよね。
そんなとき、編曲スキルを持っていると便利です。
わたしは27歳のときに独学で作曲を始めましたが、もし音大にいた頃からはじめていれば、和声の授業などはとても為になっていたんだろうなぁ、と思うことがあります。
今すぐ使う機会が思い浮かばない人も、自分で編曲または作曲した作品を録音してみるのもいいでしょう。
アレンジを行い、楽譜を作成して、将来的に販売するという方法もありますね。
11.セルフブランディングについて考える
自分の持っている力をどのようにして形にすればいいのか?迷っている人も多いはずです。
みなさんは、最近池田ハッピーバースデーとして活動を始めたバリトン歌手の池田真己さんをご存知でしょうか?
下記のようにお馴染みのバースデーソングに合わせてその日お誕生日の人の紹介をしながら、誕生日をお祝いしておられます。
先日はさっそく企業PRもゲットしておられて、今ものすごいスピードで注目を集めておられます。
コロナの影響でどれだけ実力があってもそれを活かす場を創ることができていない音楽家がたくさんいます。
そんな中、ご自身の力を発揮し『池田ハッピーバースデー』として誰もを笑顔にする企画を行っておられる池田さん。
池田真己さんがバリトン歌手として素晴らしい実力をお持ちであることは動画を見てもらえば分かるのですが、このように今持っている力を活かしながら新たなポジションを築くことがとても重要です。
この機会に、自分自身が立つ位置を見直し、ブランディングについて考えることはすごく大切ですね。
12.複業について考える
わたしはクラリネット奏者として演奏をしますが、コンサートを企画したり、音楽家のSNS発信をサポート&プロデュースしたり、チラシ制作やHP制作も行います。
つまり、収入源が演奏だけではないのです。
今回のコロナウイルスによる影響を受け、収入源を失ってしまった多くの音楽家の方はもちろん音大に所属している人たちも今後の働き方について色々と考えておられるはずです。
日本は自然災害が多い国でもあるので、今後また地震や台風などによって音楽の仕事が現在のように停止することがあるはずです。
一般的に安定していると言われるオーケストラや音大の教職員の仕事でさえ、今回のようなことがあると一概に「安定している」とは言えないのは事実です。
実は、このネクストステージ・プランニングのサイトには、これからの生き方について考えることが出来る記事がたくさんあるので、参考になる記事を紹介します。
現在音大生の方に読んでほしいのはこちら。
将来フリーランスとして活動したいと考えている人は、フリーランスとして成功するための方法が丁寧に書かれた連載が大変参考になるはずです。
『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』
Vol.1 謙虚さ、感謝がある、謝罪が出来る
Vol.2 自己管理が出来ている
Vol.3 時間、期限を守る/電話、メールなどできちんと連絡が取れる
Vol.4 コミュニケーション能力がある
Vol.5 自分の価値がわかっている/お金の価値がわかっている
Vol.6 自己投資が出来る
Vol.7 音楽以外の能力をもち合わせている/音楽が好きである、信念がある
まとめ
終わりの見えないコロナウイルスの流行による打撃に希望が見出せない人も多いと思いますが、こんなときこそ音楽家が持っている想像力を働かせて欲しいなと思います。
あなたが持っている演奏力だけでなく、思考力、アイデアをうまくミックスして、この状況を切り抜ける力をつけることが大切です。
ウェブでの発信に、一つの正解はありません。
演奏と同じように、一人ひとりにあった形があるのです。
それが見出せるまで反応がなかったり、試行錯誤を増やすこともあるかもしれません。
でも、決して諦めないでください。
経験したことのない状況を前に気持ちが弱くなってしまいがちな今だからこそ、数を決めて決めたことに取り組み、失敗することを恐れず、チャレンジすることにワクワクする癖をつけてくださいね。
みなさんがウェブでの発信を通して新たな自分を発見したり、あなたの個性を面白いと感じてくれる人との新たな出会いがあることを楽しみにしています!
次回のお知らせ
数年前から『吉田佐和子=ウェブを使って発信している音楽家』と言っていただくことも多くなり、実際にこれまでウェブを通じて沢山の人と出会い、お仕事の機会もいただきました。
わたしの連載では、これまでの経験から学んだことや現在ウェブを使って活躍している音楽家の方へのインタビューをお届けしていきます。
それではまた、次回の連載でお会いしましょう。