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知らなきゃ損する!コンサートの自主企画のポイントって…?

あなたは将来、自分でコンサートを企画してみたいと思いますか?
やってみたいなあと思っている曲をプログラムに入れたり、照明や衣裳といった演出も考えたりして、自分ならではのコンサートが実現出来たら…。
考えるだけで、ワクワクしませんか?
そして、こだわって作ったコンサートを、たくさんのお客様に喜んでもらいたいですよね!
そのためには、演奏技術のほかに何が必要でしょうか?

実は私自身、今でも苦労しているのですが、経験を重ねるごとに大切なポイントが少しずつわかってきました。
この記事では、私が学んできた事を5つの要素に分けてご紹介します!

申し遅れましたが、私は富田真以子と言います。
フリーランスの打楽器奏者で、親子向けコンサートに出演したり、自身が主宰しているアンサンブルグループでライブやワークショップを企画・開催したりと、さまざまな活動をしています。

その中で、私が所属している「inc.(インク)」というプロジェクトを例にしながら、知らなきゃ損する自主企画ノウハウをお伝えしたいと思います!

コンサートに必要な要素①コンセプト

まず一番大切なのが、「何を伝えたくて、どんなコンサートにするのか」です。
明確なコンセプトがあるとコンサート自体に説得力が出て、お客様にもより伝わるものになると思います。

高音質で知られる英国スコットランドの世界的レーベル、リン・レコーズからCDを出す唯一の日本人アーティストで、数々のアルバムが文化庁芸術祭音楽部門優秀賞を受賞したり、レコード・アカデミー賞現代曲部門および特別部門(録音)にダブルノミネートされたりするなど、世界で高く評価されている打楽器奏者である加藤訓子さんが、2015年に次世代人材育成プロジェクト「inc.(インク)」を立ち上げました。

そこで継続的な課題として取り組んできたのが、「18人のプレイアデス」という企画で、ギリシャの偉大な作曲家ヤニス・クセナキスによる「6人の打楽器奏者のためのプレイアデス」というアンサンブル作品を、18人で演奏しよう!というものです。

このクセナキスという人物は少しユニークで、作曲家でありながら、数学者、建築家でもありました。
クセナキスは作曲においても数学や建築の理論を使い、いわゆる西洋音楽(クラシック)の伝統的な作曲方法では生まれ得ない、新しい音楽を目指していました。音楽だけを学んだ人には出来ない事をやってのけたという点で、音楽史上に残る存在と言えます。
常識にとらわれない発想と創造力で作られた彼の音楽は、人知を超えた自然のエネルギー、宇宙のような壮大さをもっています。

「6人の打楽器奏者のためのプレイアデス」も、芸術的価値が高いと言える魅力的な作品なのですが、膨大な量の打楽器と広い練習場が必要なうえ、演奏が困難で体力や精神力も要るので、コンサートで取り上げる事が難しく、滅多に演奏されません。
そこで、この作品を実現したい若手打楽器奏者が集まり、楽章ごとに6人ずつを配置し、総勢18人で挑む事にしました。

『価値がありながらも、あまり人に知られておらず、演奏機会も少ない作品を実演し、ひとりでも多くの方に知って欲しい!その響きを体感して欲しい!』というのが、私たちのコンセプトです。

あなたなら、どんなコンセプトでコンサートをしたいですか?

コンサートに必要な要素②会場

コンサート会場をどこにするか、というのは常に課題となります。

まずは、内容に適した場所選びが必要です。
クラシックの場合はコンサートホールやサロン(編成の大小により箱の大きさも決まってくると思います)、バンド編成などでカジュアルな内容の場合は、お酒を飲みながら楽しめるようなライブハウス、カフェなどを選ぶのが一般的かと思います。
また、アクセスの良さは集客を左右する要素ではありますし(いっぽうで、遠くても来てくださるような方を大切にしましょう!)、知名度(ブランド力)は、アーティストへの印象を左右する要素でもあります(たとえば、サントリーホールのブルーローズでソロリサイタルをしていると箔がつくなど)。

「inc.」では、趣旨に賛同してくださるホールやシアターのご協力(会場提供)を得て、私を含む、およそ30人の若手奏者がソロリサイタルを行ったほか、一般公開のランチタイムコンサートやワークショップも多数、企画・開催してきましたが、借りるのには通常お金がかかりますし、ホールの場合、半年~1年以上前から予約をしなければならないケースがほとんどです。
つまり、早い段階で先々の予定を計画しておく必要があります。
候補とする会場がいくらで借りられるのか(半日か全日か、平日か土日かなどでも変わります)、予約がいつから始まるのかを、あらかじめ調べましょう!

ちなみに、「inc.」がこれまで会場として提供していただいたのは、「相模湖交流センター(神奈川県相模原市)」、「くにたち市民芸術小ホール(東京都国立市)」、「サイスタジオ(東京都板橋区)」などで、正直、アクセスがすごく良い場所とは言えません。
しかし、こういう場所は、熱意のあるアーティストに対してはとても協力的であったり、その地域に根付いていたりする(ホールが地域住民に愛されていて集客力を持っている)メリットもあります。
今後、積極的に自主企画をしたい!というあなたは、協力してもらえそうなホールと出会えてつながりが持てると、気持ち良く活動出来ると思います。

コンサートに必要な要素③演奏者と楽器

これまた言うまでもないのですが、演奏者と楽器が揃わないとコンサートが出来ませんね。
ここでお伝えしたいのが、「人脈」はとっても大切という事です!

打楽器の場合は特殊で、練習するにも音量やスペースの問題があったり、使う楽器をそろえるのが困難であったりするのですが、18人もいれば(笑)、それぞれに部屋を持っている人、楽器を持っている人などがいて、互いに協力し合い環境を作る事が出来ます。(ときには雑誌やバケツなど、楽器でないもので練習する事も…。)
ここぞというときのリハーサルや本番は、楽器メーカーや楽器レンタル会社にお願いして借りています。

上記は打楽器特有の話ではありますが、やりたい内容(プログラム)によって、共演してもらえる演奏者・音楽家や、必要な楽器や機材を持っている人などとつながりを持っておく事は大切だと思います。

将来、活動の幅を広げていきたいのであれば、学校の同級生だけではなく、早いうちから他大学に友人をつくったり、先輩や先生など年上の方ともつながりをもったりするなど、どんどん外へ出ましょう!

コンサートに必要な要素④演奏者を支えてくれる人

コンサートにおいてとても重要なのが、ステージを裏で支えてくれる人の存在です。

ホールのスタッフさん(舞台監督(ステージマネージャー)さん、音響さん、照明さんなどなど)の力がなくては、公演は成り立ちません。

こうした方々に、しっかり挨拶をする(当たり前ですが…!)、わからない事があるときや、お借りしたいものがあるときなどは勝手に行動せずにまずは聞く、といったマナー、そして感謝の気持ちを忘れない、というのが大切です。

正直な話、これをしているかしていないかで、スタッフさんの対応も変わってくると思っています。実際、もしもあなたがスタッフさんの立場だったら、気持ちよく挨拶してくれるような人からのお願いであれば、「ここは一肌脱いで期待に応えてあげるか~」ってなりますよね?(その反対だと、どうでしょう?)

「inc.」では、リサイタルやイベントの制作や裏方全般を、メンバーみんなでやっています。
誰かがリサイタルをやる、となったとき、受付や会場整理、ときには照明や音響の操作までも(!)誰かが担当しサポートしています。
こうした経験を踏む事で、コンサート開催に必要なあらゆる要素を、実践を通して学べるとともに、そうして支えてくれる人のありがたさを、心から実感出来ています。

あなたも、もしもこうした裏方を経験出来るチャンスがあれば、ぜひ積極的にやってみてくださいね!

コンサートに必要な要素⑤お客様

お客様に聴いてもらってこそのコンサートであるにも関わらず、宣伝が後回しになってしまい、集客が難航している…というケースはよく目にします。
私自身も、演奏の準備と並行して広報活動をするのはなかなか大変だなあといつも感じています。

自主企画の場合、出演料、会場費(リハ、本番)、楽器のレンタル代、スタッフの人件費、チラシデザイン・印刷費…などがかかり、これらをチケット収入で賄おうとするケースがほとんどですが、チケット収入が十分に得られなければ、プラスになるどころか赤字になってしまう事もあります(例外として、助成金や補助金を活用するという手はありますが!)。

先程、「inc.」では制作や裏方もみんなでやっていると言いましたが、広報活動も全員の連携プレイで協力して行っています!

広報にはさまざまな方法があり、たとえばチラシの挟み込み(コンサートパンフレットに折り込んで配ってもらう事)や置きチラシ(施設のラックなどにチラシを置いてもらう事)を依頼する事が出来ます。
まずは身近な音楽家仲間に協力してもらったり、ネットなどで公演情報を集めたうえで知り合いや問い合わせ窓口を通して依頼したりしてみましょう!
置きチラシは、自分のよく行く楽器店やギャラリー、カフェなどにお願いしてみると、快く置いてくれる場合も結構あります。
とにかくチラシはいつでも持ち歩き、隙あれば勇気を持って渡す!というのが鉄則です!

そして今はSNSでの宣伝も主流ですね。定期的に情報を発信し、それらを人に共有、拡散してもらう事で、幅広い人たちにあなたの情報を届ける事が出来ます。
こうした事を、仲間や応援してくれる人(ファン)に協力してもらえるような関係性作りも大切です。
加えて、あなたがして欲しい事は人にもしてみましょう!(Twitterの「いいね」など)

また、「inc.」ではクラウドファンディングにも挑戦しました!
テキスト作りなど、精査も入りなかなか大変ではありましたが、私たちの活動を広く知ってもらうきっかけになったと思います。

『ヤニス・クセナキス作曲の世界的大作「プレイアデス」を総勢18人の若手打楽器奏者で演奏するパフォーマンスを成功させたい!』
(朝日新聞社のクラウドファンディングサイト「A-port」)

https://a-port.asahi.com/projects/play-pleiades/


最後に


コンサートを自主企画するうえで大切なポイントを5つ挙げてお伝えしましたが、何においても大切なのは、やはり「人とのつながり」ではないでしょうか。

自分の協力者をひとりでも多く増やす事、そして協力してくださる方のために自分も協力するというWIN-WINの気持ち良い関係を築いていく事が、自分のやりたい事の実現につながります。

「実はやってみたい事がある!」「自分でイベントを企画してみたい!」というあなたは、プランニングや、それに必要な情報収集に加えて、ぜひ周りの人と良い関係を築くようにしてみてください。

新型コロナウイルス感染拡大により、今なお文化芸術業界でもさまざまな制約があり、やるせない状況が続いていますが、私たちは2021年6月5日(土)めぐろパーシモン大ホールでの公演を目標に、今も一歩ずつ進んでいます!

この一年、無観客公演やライブ配信にも挑戦してきて、それぞれの良さも知りましたが、やはり生演奏による空気の振動、響きに勝るものはありません。コロナ禍が、この事を改めて強く実感させてくれた気がします。

もしも私たちのプロジェクトにご興味をもっていただけましたら、ぜひ会場へお越しいただき、壮大な作品の豊かな響きを体感していただけたら嬉しいです!

【公演情報】
『Xenakis et le Japon―クセナキスと日本 「18人のプレイアデス」』

日時:2021年6月5日(土) 16:00~/19:00~
会場:めぐろパーシモン大ホール

チケット:全席指定 3,000円(税込)

*電子チケットサイト「teket」にて発売中です!
16:00~ご覧になりたい方はこちら↓
https://teket.jp/314/1031

19:00~ご覧になりたい方はこちら↓
https://teket.jp/314/3355

出演者:
篠崎陽子、新野将之、高口かれん、原順子、三神絵里子、富田真以子、中野志保、齋藤綾乃、藤本亮平、悪原至、細野幸一、東廉悟、眞鍋華子、佐藤直斗、伊藤すみれ、戸崎可梨、古屋千尋、谷本麻実、横内奏 他

芸術監督:加藤訓子

お問い合わせ:
特定非営利活動法人 芸術文化ワークス
電話:08050755038
e-mail:info@npo-artsworks.org

「18人のプレイアデス」公式ブログ
https://ameblo.jp/xenakis-et-le-japon/

「inc.」 webサイト
https://npo-artsworks.org/ja/incubation

 

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