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NSP奨学生執筆記事

メリットしかない?パリへの音楽留学を語る!

普通の理系学生が一転、音楽の道を志したワケ

こんにちは。2020年の秋からパリにてクラリネットを勉強しております、鈴置 紘一朗(すずおき こういちろう)と申します。この4月から新たにNSP奨学生に選出していただき、また同時にこちらのウェブサイトにて私の留学経験を記事として発信する機会をいただきました。

記事の具体的な内容についてですが、私がフランス留学を決めた理由、そして実際に渡仏し、現地で生活し始めてみて感じた実直な感想などを、全3編に渡って書いていきたいと思います。そして1本目となる今回は、「普通の理系学生が一転、音楽の道を志したワケ」と題しまして、まず私が何者であるのかについてや、フランスへの留学を決意するに至った経緯などについて、詳しくお話ししていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

クラリネットが、音楽が大好きでした

大学では植物細胞内で遺伝子の修復に関わる酵素の研究で学位(農学士)を取得。

私は中学の吹奏楽部への入部をきっかけにクラリネットを始めました。そして高校の吹奏楽部を経て、一般の大学に進学後は植物の細胞や遺伝子について専門的に勉強するかたわら、大学のオーケストラ部に所属して大好きだったクラシック音楽を思う存分演奏できる喜びに浸っておりました。

もちろんただ純粋に楽しいばかりではなく、自分と同じく楽器や音楽を愛する多くの仲間たちからは常に良い刺激を受けることができましたし、また週3回あった合奏練習では、指導にいらっしゃる先生方の音楽性を間近で感じたり、プロの世界にまつわる様々なお話をお聞きしたりできたことも、それまで漠然と抱いていたに過ぎなかったプロに対するイメージを、より現実的で身近な選択肢の一つとして感じさせてくれたように思います。

もっとも当初はプロの演奏家になろうという明確な意思があったわけではなく、将来の職業としてはむしろ音楽と同じく大好きだった学問の道の方に進みたいなと思っていました。

プロの音楽家になる!決め手となったのは?

ところが、大学4年生の時に転機が訪れます。当時卒業に向けて自分の論文を書き上げる段階にあった私は、それまで楽器の練習に充てていた時間のほぼ全てを一転、研究活動の方にもっていく必要がありました。

もっとも初めは学問に全てを集中させることができるというある種の吹っ切れた気持ちでいられました。しかし次第に、楽器が思うように練習できないこと、またオーケストラ部の練習に100パーセントの準備をもって臨めないことへのもどかしさを強く感じるようになります。

この時初めて、私の中で、学問よりも音楽がまず先にあることに気が付いたのです。また同時に、ここに自分の進むべき道がはっきりと示されたように感じました。すなわち、職業としてオーケストラでクラリネットを吹くということです。

最初の壁 

大学3年生の時に購入した愛器トスカ。

ちょうどその頃、各地のプロオーケストラが相次いでクラリネット奏者のオーディションを開催しておりました。当然私もそれらを受験してみたのですが…、結果は全て不合格。

ところでオーディション会場には通常大きな控室が用意されていて、受験に来た人たちは自分の演奏順が来るまでそこで音出しをすることができます。私も自分の準備をしながら、聴こえてくる音に耳を傾けていたのですが、楽器の響きの違い、練習の曲の断片から分かる高い音楽性…、本当に自分と同じ目標を目指している人たちなのか疑ってしまうほど、みんな上手いのです。しかもそんな人たちが人数でいうと100人近くもその場にいるのです。もちろん合格の切符を勝ち取ることができるのはたった1人。「これはとんでもない世界に飛び込んだぞ…」率直にそう思ったのを覚えています。

しかし、そんなところで自信を無くしている場合ではありません。ここに来た以上、私にとっても、プロのオーケストラに入るというのが絶対に譲れない目標であることには代わりありません。しかし今のままではそこに届きません。ならばやるべきことはただ一つ。とにかくもっともっと成長するしかない!そう思った私は、新たに音楽学校に入って、一からクラリネットを、音楽を学び直す決意を固めます。

なぜいきなりフランスに?

ただ、ひとえに音楽学校と言っても、それが日本の音楽大学なのか、はたまた海外の学校に入るのか。そのどちらを選ぶのかが問題でした。

日本の恵まれた環境で、意識の高い同志たちに刺激を受けながら勉強する道も魅力的です。しかし一方で、私の中にはクラシック音楽の故郷であるヨーロッパで修行してみたいという気持ちもありました。両方を取る、すなわち日本の音大を卒業後に海外に渡るという選択肢もありましたが、その時点での自分の年齢を考慮に入れると、それでは時間が掛かり過ぎてしまうようにも思えました。そして熟考に熟考を重ねたのち、最終的に最初からヨーロッパで勉強することに決めたのです。

因みに具体的な行き先については、私の使っているクラリネットがフランス式の運指システムを採用していたこと、また兼ねてからCDなどで聴くフランス人奏者のスタイルに憧れていたこと、更には当時レッスンに通っていた先生がフランスにルーツのある方だったことなどから、自ずとフランス一択に定まりました。

(続く)

最後までお読みいただきありがとうございました。次回はいよいよフランス編「音楽好きには天国のような環境」(5/27更新予定)をお送りします!どうぞお楽しみに!

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