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留学で何ができるの?具体的な活動内容のご紹介!

こんにちは。第2期NSP奨学生の、原あいらと申します。

今回は連載・第2回目としてイタリア現地から音楽院の様子とロックダウン以前の活動について詳しくお話していきますね。

音楽院のレッスン内容

(マントヴァの街の風景)

それでは私の所属する国立マントヴァ音楽院大学院オペラ科のレッスンについて、さっそくご紹介したいと思います。

一週間のうち、実技のレッスンは自分の専科の先生による発声のみのレッスン、コレペティトール* によるレッスン、専科の先生とコレペティトール両者同時のレッスン、演技付きのオペラレッスンがあります。
(*「歌劇場などでオペラ歌手やバレエダンサーピアノを弾きがら音楽稽古をつけるコーチを言う。」Wikipediaより引用)

専科の先生とコレペティトールの3人でのレッスンでは、コレペティトールのピアノ伴奏に合わせて歌い、専科の先生から発声・音楽性を含め総合的な指導をしてもらいます。

そのため、週の初めに専科の先生の発声のレッスン、週の中頃にコレペティトールのレッスン、週の終わり頃に両者合わせてのレッスンというふうに組まれることが多いです。

イメージとしては、専科の先生からは声のことについて多く学び、コレペティトールの先生からは音程・リズムの正確さを学ぶという感じでしょうか。

 

その他、必修の合唱、古楽、近代音楽、アンサンブル、選択科目のピアノ伴奏法やピアノ以外の楽器による副科があります。

座学もあり、音楽史などが必修です。また、教師を目指すための教育学や、語学の教科もあります。
私は大学院課程なので、卒業論文も執筆します。

日本の音楽大学と学べる教科の種類はほぼ同じです。ただ、コレペティトールによるレッスンがあるのはイタリアに来てから初めて経験しました。歌の専科の先生とコレペティトール、二人三脚で自分達のクラスを作り上げるという雰囲気があり、信頼関係を感じます。

クラス内でのクリスマス会や食事会など、楽しいイベントも経験しました。
こちらでは、ワインやパルミジャーノ・レッジャーノなど(チーズの一種)を贈るのが喜ばれるようです。

現地の演奏活動について

(コンサートの様子)

音楽院では、年間に多くのマスタークラスが開催されており、在学生は大抵、無料で受講することができます。ただし、選抜や先生の推薦が必要な場合が多いので、私も毎回気を引き締めて挑んでいます。

学校が主催のコンサートも、もちろんたくさんあります。

そして、これが留学の魅力的なところだと思うのですが、外部機関からの演奏依頼も、音楽院を通して(もしくは音楽院の先生方からの紹介で)来ます。
先生が、劇場の関係者であったり、音楽院自体が劇場と提携していたりします。
レッスン後には劇場の稽古場に連れて行ってもらって目の前で歌手たちの稽古を観ることが出来たりも。

留学してすぐの2019年は、まだコロナ禍前で、音楽院の同じクラスの先輩が数名、とある劇場のオーディションを受けていました。

劇場オーディションと言っても、公募されているものではなく音楽院の先生からの招待制のようなものです。ある日、音楽院の専科の先生のレッスンに指揮者と劇場関係の方が来ていて、おそらく事前に伝えられていた3人の先輩方の声を聴き、一人がその年のオペラ『椿姫』のフローラ役の機会を与えられていました。
私もコロナの前には、多くの演奏会の機会をいただきました。

(ただ、悲しいことに、2020年の2月以降、ロックダウンでほぼキャンセルに。私はイタリアとドイツ公演でソプラノソリストに選ばれていましたが、無事に開催されたのはイタリア公演のみで、無念にもドイツ公演は中止となってしまいました…。)

「次は私にもきっと、先輩たちのようなオーディションの機会が!」と楽しみにしていましたが、その機会は未だに戻ってきていません。

とは言え、欧州の劇場で歌える機会がもらえるのは、留学するからこそです。そのチャンスがある事こそ、留学に大きな魅力と意義があると私は思っています。
学生として学びながらも、プロとして大きな舞台に上がれるなんて、素晴らしいことだと思いませんか?

一刻も早く、以前のような状況に戻る日が来る事を心から願うばかりです。

今留学を考えていて、将来オペラ歌手になりたい人や、声楽を学んでいる人に、留学先で経験できることを今回はお伝えしました。
私は自身が声楽なので自分が経験した事を書いていますが、もちろん器楽専攻の学生にも演奏会の機会など同じことか言えるのではないかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。次回は「ロックダウンになった後のイタリア」(9月9日更新予定)をお送りします!どうぞお楽しみに!

(続く)                                                 

 

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