ニュースNews

活動レポート生演奏の事例

演奏だけじゃない!?音楽家の仕事内容って?


こんにちは!ネクストステージ・プランニング(以下:NSP)スタッフの加松芽衣です。

NSPではコンサート企画や広報、マネジメント業務を行なっていますが、登録アーティストのピアニストとしても演奏活動をさせていただいています。本日はスタッフと演奏家、両方の目線から「仕事」としてステージに立つ際の舞台裏をお届けしたいと思います!

2021年秋にNSP奨学生3名が演奏させていただいた「Sunshine City Music Live」ですが、今年も9月17日(土)に池袋・サンシャインシティ噴水広場にて計3回のコンサートを行いました。

100名を超えるお客様に前後左右、頭上からも演奏を聴いていただき、刺激的で楽しいステージとなりました!

まずはステージの方向性を決める

フリーの演奏家として演奏依頼を受ける際、編成や持ち時間、演奏する曲目などある程度の条件は決まっている案件もあります。が、今回サンシャインシティでの演奏はというと、珍しいくらい「自由」でした!

といっても、場所や時間など背景から読み取るべき情報は最低限考慮する必要があります。

今回は休日の池袋サンシャインシティということで、観客の年齢層は幅広く、その中でもお子さん連れが多く集まる可能性が高くと予想しました。会場はショッピングフロアに囲まれた噴水広場ということで、椅子に座って聴く方もいれば、お買い物のついでに通りかかる方もいらっしゃいます。

コンサートホールではないので、静寂のなか、集中した観客の前で演奏するわけではない、ということも意識します。

それらを踏まえ、セットリストには誰もが耳にしたことのある曲を取り入れる(お子さんの知っている曲も含め)、1曲自体をあまり長尺にしない、MCを多めに入れる、服装は華やかに、観客が飽きないようトータルの尺を30-40分に収める、など当日の雰囲気を可能な限り想像して、ステージの方向性を決めていきました。これらを出演者全員で共有しておくことは、当たり前のことのようで、とても大切です。

編成に関しては、NSP音楽プロデューサーの藤井さんからご提案をいただき、NSP奨学生の佐藤萌子さん(バレエダンサー)、NSP登録アーティストの萩原可奈さん(フルート)とのトリオで「音楽とバレエのコラボレーション」ということで大枠が決まりました。

異業種同士でステージを創る時に意識したいこと

異業種同士でステージを創る際に普段より意識する必要があるのは「より言語化して伝える」ということです。

例えば、佐藤さんがスタミナ的にソロで踊り続けられる時間や休憩を挟むタイミング、くるみ割り人形の衣装チェンジや踊りやすいテンポ感など、同業同士なら説明する必要がないことでも、今回の場合「言わなくても分かるかな」で済まさずに、しっかり理由も含めお互い言語化しました。

各々が持っているスキルや、出来ること、出来ないことを把握したうえでステージの構成を決めていけば、自然と取捨選択が出来、必要な時にサポートもしやすくなります。

 

今期のNSP奨学生である佐藤さんとステージを創りあげるうえで、漠然とアイデアを出し合うのではなく、演奏家としてすでに経験のある私と萩原さんで土台を作り、そこに佐藤さんのバレエを融合させてくというプロセスを踏みました。

「音楽とバレエのコラボレーション」ということで、個々の良さだけではなく「融合した魅力」を観客に届けるため、佐藤さんの振り付けによるコンテンポラリーダンスを見所の一つとし、セットリストを決めていったのもポイントです。

MCは「自分の言葉」で

クラシックでも最近はMCを入れるコンサートも増えましたが、今回のようなエンターテイメント性の高いステージになると、MCはマストですね。自己紹介に始まり、曲がより楽しめるよう簡単な解説を入れたり、振り付けの意味や、見どころをお話しします。

MCをする時に大切なのは、原稿を読み上げるのではなく、重要なポイントや単語を点として頭の中に入れておき、その場の空気に合わせ「自分の言葉」としてお話しすることです。

回ごとに観客の人数や年齢層、盛り上がり(レスポンス高め低め)など、ばらつきがあります。その場の観客のリアクションに合わせ、パフォーマンスを調整できると、より一体感の生まれるステージを創ることが出来ます。

リハーサルでは動線も要確認

佐藤さんが山形在住、私と萩原さんは東京在住ということで、打ち合わせはZoomで行い、事前のリハーサルは前日の一度きり。(場所:としま区民センター スタジオB)

今回は慣れていない編成ということもあり、あらかじめリハーサル自体の流れを決めておいたので、限られた時間を効率的に使うことが出来ました。

楽器のみの編成とは違い、佐藤さんの衣装チェンジ(4回)は当日トラブルが起きないよう特に動線確認を入念に行いました。ピアノとフルートの演奏を聴き、コンテンポラリーの振り付けを佐藤さんがその場で調整していく様子が非常に興味深かったです!

いよいよコンサート当日

演奏で「仕事」をするというのは、ステージで良い演奏が出来ればOKというわけではありません。事前打ち合わせやメールのレスポンスはもとより、現場での挨拶や立ち振る舞い、スタッフさんとのコミュニケーションも大切ですよね。

音響チェックや動線確認など、限られた時間の中で進めることも多いので、相手が何を求めているのかを汲み取り、自分が伝えるべきことはしっかりハッキリと伝えることが必要となります。

この日は、11:00/14:40/16:00の3ステージ演奏させていただきました。

華やかな噴水と共に、フルートとピアノのデュオでスタートです。2階〜4階の観客の方々にもご挨拶。

前半はクラシック、後半は耳馴染みのあるポピュラー曲をメインに構成を組みました。

前半、佐藤さんはクラシックチュチュを身に纏い「くるみ割り人形」より3曲を披露。

バレエの衣装は、少しでも世界観が伝わるようクラシックチュチュだけではなく、演目に合わせてティアラを装着したり、チャイナ服を羽織ったりなど工夫を凝らしています。奏者2人はそれらがスムーズに見えるよう、MCや曲順でサポートを行いました。

佐藤さんは後半のコンテンポラリーダンスに向けて衣装チェンジへ、ここでフルートとピアノのデュオを数曲演奏します。

今回の見どころである佐藤さんオリジナルの振り付けを施したコンテンポラリーダンスは、久石譲作曲「あの夏へ」に合わせ、美しく静謐なダンスで観客を魅了してくれました。

普段コンテンポラリーダンスを踊る際、ほとんどは録音された音源を使うとのことで、生の音楽とだからこそ感じるお互いの呼吸や、そこで生まれる想いや感動が伝えられたかと思います。

NSPの今後の活動の柱

NSPは「若手の育成」や「音楽と社会の繋がり」を大切にしています。多くのジャンルで活躍するアーティストや、奨学生との繋がりがあるNSPだからこそ、今回のコラボステージが実現しました。

このような新しい企画やコンテンツの制作を行うことを活動の柱とし、今後も演奏家同士の繋がりを生みだしていきたいと思います。

終演後の出演者3名。またいつの日かコラボレーション出来るのを楽しみにしています!

「サンシャインシティ ミュージックライブ(2022年9月17日)」の再生リストも公開中です。

是非ご覧いただけると嬉しいです!

 

 

ニュース一覧へ

Reccomend