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吉田佐和子執筆記事

コロナ禍の苦境を乗り越えていく音楽家に必要なこと

こんにちは、クリタイターの吉田佐和子(@sawaclarinet)です。

コロナ禍で音楽業界は大きな打撃を受け、多くの音楽家が仕事を失い、収入が減少することになりました。

そんな中で、今こそ新しい音楽家の生き方が求められている・・音楽活動の中でも複数の収入源を持つことや、音楽以外の仕事と音楽活動を両立させて収入を得る働き方が今後はもっとスタンダードになると考え、1年前にこの連載「What’s new life style」をスタートしました。

去年の今頃のあなたと比べて、何か変わったことはありますか?

今回は連載最終回ということで、これからの音楽界を生き抜く上で音楽家に必要になる大事なポイントをまとめてみました。

音楽との生き方について考えよう


あなたは現在どのような仕事で収入を得ていますか?

わたしはというと、この1年間で演奏でいただく収入は減ったものの、演奏以外の音楽関係のお仕事での収入が増えました。

これは、コロナ禍で本番の予定がどんどんなくなっていったときに、「わたしが今できることで、周りの人に求められていることは何だろう?」という考えから様々なサービスを提供したことがきっかけでした。

参考記事:音楽活動をする中で身につけたスキルは必ず役立つ!

また、音楽との生き方についても色々と考えた結果、今わたしは沢山の本番で演奏したいという思いよりも、自分が本当にやりたい音楽だけを丁寧にやりたいということにも気付きました。

先月は福知山に小さなホールを建設する事業をすすめていくために株式会社Locatellを設立したのですが、今後は音楽事業として国内外のアーティストが出演するコンサートの企画やマネジメントを行いながら、地域活性化事業やプロデュース事業を展開していく予定です。

今後また何らかの影響により、音楽活動が思うように出来なくなったとき、あなたにどんな力があればこのような苦境を乗り越えていけると思いますか?

『自分にとって心地よい距離感で音楽と生きていきたいからこそ、音楽収入だけに頼りすぎない環境を整える』というのも、わたしは1つの生き方だと思います。

複数の収入源を持ってみよう

この連載では、今まで演奏活動と別の仕事を掛け合わせている人たちにインタビューしてきました。

音楽活動をする上で、どうやって活動資金を確保するのか?と考えたときに、音楽で安定した収入を得ることを考えると同時に、音楽以外の仕事で収入を得ることも可能ですよね。

あなたの望む音楽活動をするために複数の収入源を持ちたい人や、興味があることが複数ある人はきっと参考になることがあるはずなので、ぜひチェックしてみてくださいね。

テレワークと演奏活動を両立!ークラリネット奏者・髙嶋友実さん

演奏家と音楽療法士の仕事を両立!ークラリネット奏者・天木瑠里子さん

サックス奏者×freee株式会社で活躍!藤井一弥さん

マリンバ奏者と心理カウンセラーの仕事を両立!野元麻美さん

 

国や地方自治体からの支援情報を活用する

わたしは、どんな状況でも前向きな考え方や行動を起こすことこそが、状況を打開すると考えています。

今は出費を抑えつつ未来に役立つことに時間かお金を投資することが大切ですし、コロナ禍において金銭的に困っている場合、まずは国や地方自治体の補助金や助成金をしっかり活用しましょう。

今はYouTubeで申請方法を丁寧に解説してくれている税理士や行政書士の方がいらっしゃいます。音楽家の皆さんでお金に関わる情報をキャッチしたい場合は、YouTubeチャンネル『オンカク音楽家がお金に強くなる税理士チャンネル』がおすすめです。

今のような困難な時期は「どんな情報を持っているか」がとても大切です。

周りの音楽家仲間が行動していないから、自分も動かなくていいか・・と思っていませんか?もしそうであれば、こういうときは「行動をしている人」に自分から話を聞いてみたり、情報をとりにいくことが大事です。

もちろん対象に当てはまらない場合もあると思いますが、国や市町村が提供している情報をしっかりとキャッチして行動していきましょう。

申請書類を作る中で、音楽家として社会とのつながりについて考えることも出来るので、時間はかかるかもしれませんが、一事業者として今後の活動にも活かせる意味のある時間になるはずです。

あなたの能力を発揮できる環境を整えよう

最近いろんな音楽家の方々と接する機会があって感じたことは、『その人の能力が最大限発揮できるために適した環境がある』ということです。

その環境を整えるためには、まず、自分は何が得意で、何が不得意なのかをしっかりと認識する必要があります。

例えば、あなたは事務作業が不得意だったとします。

しかし、何かが出来ないことは決して悪いことではなく、大切なのは不得意な部分に対してアドバイスをくれる人に身近にいてもらうことや、苦手な業務を依頼できる人を探しておくことです。

例えば、「もっとお金があれば、自分の望む音楽活動を展開出来るのに・・」と思う人は、具体的にいくらの金額があれば、どんなことが出来て、どんな未来が訪れるのか?

それを喜んで買ってくれる人はどれくらいいるのか?ということを考えてまとめてみましょう。

その人が日頃どのような活動をしているのか?どんな人と繋がっているのかにもよりますが、SNSで発信したり、分かりやすい資料を作って協力してもらえそうな人に直接相談してみるのもいいかもしれません。

このコロナ禍で、音楽家の生き方は大きく変わりました。

社会との繋がりを見出せる音楽家とそうでない音楽家では、今後どのような展開をしていけるのか?明確な差を感じています。

さいごに

わたしは今年、3つの法人を設立することになりました。

前述した株式会社の他に、3月には故郷である京都府福知山市の文化シーンの発展に寄与することを目的に一般社団法人福知山芸術文化振興会を設立し、代表理事をつとめています。

また、6月には、また新たに一般社団法人を立ち上げる予定です。

1年前の今頃は福知山にホールを建てたい!という思いを自分のブログに執筆した頃で、まさか今年3つの法人を立ち上げるなんて思っても見なかったですし、人生本当に何が起こるか分かりませんね。

わたしにとってこの1年間は、演奏活動を諦めて方向転換をしたというわけではなく、わたしの能力をより発揮できる仕事が明らかになった期間だったと感じています。

「諦める」というとネガティブに感じてしまう人もいるかもしれませんが、もともとの語源には「明らかにする」という意味があります。

まさにこの1年間、そして特にこの数ヶ月で起こった出来事は色んなことを明らかにしてくれました。

参考:「諦める」ために研究する

上記のリンク記事の中で、筆者の方は英語に関わる仕事に就かれたものの、職種を変えられて、その中でご自身に合った英語との生き方を見出しておられます。

「音楽と生きていく」と一口で言っても、本当に様々な選択肢があり、その生き方の中に優劣はありません。

わたしはこの1年間の中で、より私らしい音楽との生き方が見つかったと感じています。

この連載を読んでくださった方々が、人生を共に歩んでいきたいと思う「なにか」と最も良い付き合い方を見つけられることを心より願っています。

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