音楽家のサバイバル術A way for musicians to survive

フリーランスで成功するための”10の秘訣”(全7回)

自己投資が出来る『フリーランスで成功するための“10の秘訣”』 Vol.6

8. 自己投資が出来る

皆さん、「投資」という言葉を聞くと何をイメージしますか?

もしかしたら、お金持ちの人が株や不動産を買い、さらに儲けるというようなイメージで、自分には縁のない世界だと思っている人も多いかもわかりませんね。

ですが、この投資というものは、本来音楽家にとってはとても身近なものではないかと思います。

投資をもっとわかりやすく言い換えると、

能力や収入を上げるために、お金や時間を使う事

ではないでしょうか。

親御さんはあなたにいくら投資してくれたか

そろそろ気付いた方も多いと思いますが、皆さんは既に莫大な投資をしてきているんです。

  • 楽器
  • 音大に入るためのレッスン料
  • 音大の学費
  • 勉強のために買ったCDや、通ったコンサートの料金
  • 練習に費やした時間

ざっと挙げてもこれくらいあります。もちろん、レッスンや音大に通うための交通費や、実家暮らしではない人は家賃などもですね。

若い人の多くは、その投資を親御さんがやってくれていたはずです。

一度冷静に、現在まで親御さんがあなたにいくら投資してくれたかを計算してみてください。

前回の記事で、お金の価値を理解する大切さを書きましたが、たとえばバイトをしている人は、自分の時給で考えた場合、どれだけ働かなければいけないかを計算してみましょう。

既に音楽で仕事をしている人も、単発の演奏料や月収で考えてみると良いと思います。

仮に自分に子どもがいた場合、同じだけのお金を子どものために投資出来ますか?

これを実感出来れば、もっと親御さんに感謝したり、今以上に頑張ろうと思えるのではないでしょうか。

卒業後によくある失敗例

投資は音大を卒業したら終わりではありません。やり続ける必要があります。

よほど恵まれた人以外は、卒業後は自分自身でやらないといけないはずです。

さらなるスキルアップのために通うレッスン料、コンサートやライブに通うお金、楽譜代、楽器の買い替えや、持ち換え楽器の買い足しにかかるお金、音楽制作ソフトの購入、パソコン代、一人暮らしの家賃、生活費など、挙げたらキリがないですよね。

学生時代に親御さんに頼りきっていた人は特に、投資の必要性への理解や計画性が甘すぎるため、卒業して援助がなくなった瞬間にどうして良いかわからなくなり、自滅していきます。

学生時代は練習時間が十分にあってうまかったけど、卒業して、上記のようなお金を自分で払わないといけなくなり、バイトを始めたら生活するだけで精一杯になり、練習も出来ずに下手になり、レッスンやコンサートなどにも行けないので、人との縁が切れ、結果、仕事もこなくなり、音楽家をあきらめる。

このような負のスパイラルに入ってしまった人を、僕はこれまでたくさん見てきました。

共通しているのは、このシリーズで書いてきた要素の何かが欠けている人なんですが、あえてひと言で言うと、周囲への依存度が高く、自立出来ていない人、正しいお金の使い道を知らない人です。

投資を成功させるための2つの絶対条件

僕は、投資の成功には2つの大きな法則と言うか、絶対条件があると考えています。

1、投資をする以上は、絶対元を取る意識で行動する

株にしても、不動産にしても、投資をする会社や物件の将来性などを見極め、伸びると思うから投資しますよね。むしろ元を取るのは当たり前で、それより儲けようと思うからこその投資です。

もちろん、必ず成功するとは限りませんが、最初から儲からないと思うものに投資する人はいません。儲からないものに投資するのは趣味です(浪費とも言います)。

若い音楽家の多くは、これまで親御さんがあなたに投資をしてくれていたという意識がないので(自分でお金を払っていないので)、絶対に元を取ってやろうという貪欲な想いが足りないように思いますね。

音楽を仕事にしていくためには、それくらいの覚悟が必要だと僕は考えます。

2、投資をケチると元は取れない

宝くじで高額当選をしている人って、3,000円で10枚とかではなく、何十万円、何百万円のお金を使っている人が多いですよね。

これに限らずですが、元を取っている人ってそれなりに大きい投資をしているんです。

たとえばサックス奏者は、アルトしか吹けない(持っていない)よりは、バリトンもあったほうが仕事になるかもしれません。

実際、ミュージカルやスタジオミュージシャンは(特にポピュラー系)、フルート(ピッコロも)、クラリネット(バスクラも)、ソプラノからバリトンまで全部出来たりします(ハリウッドのスタジオミュージシャンに至っては、オーボエ、ファゴットなどのダブルリードまでこなす人がいます)。

移動は電車は不可能なので、車も持っています。

なかなかの金額ですが、それだけ投資し、スキルも備わっているからこそ高い報酬が得られているのは明白ですよね。

経験という投資もある

僕の場合は日本で音大には行っていませんが、その分レッスン料やCD、ライブに通うお金にはずいぶん投資しました。そういう努力もあり、高卒、10代でプロになれたと思います。

22歳から2年間、千葉県の有名テーマパークでレギュラーをやらせていただきましたが、最初から一生続けるつもりはありませんでした。

若いうちにしか出来ない「経験という投資」をし、さらにこの2年間で貯めたお金は、その翌年のアメリカ留学にほぼすべて投資しました。

テーマパークの仕事をずっと続けるという選択肢もありましたが、僕は常にキャリアアップを考え、今もさまざまな投資を続けています。

僕に限らず、結局はそれを続けられている人が(フリーランスの)音楽家として残り、伸びていっているのではないでしょうか。

正しい投資をするためには、自分はまだまだ、もっとレベルを上げたいという謙虚な想い(Vol.1)、投資に充てるための時間を確保するタイムマネージメント(Vol.3)、効率良くバイトなどをするためのお金への理解、必要なところにピンポイントで投資するための「自分は何が出来て、何を補うべきなのか」を知る自分を見る目(Vol.5)、こういった事が必要になります。

やみくもに大金を使えば良いというものでもないですね。

決して簡単ではないですが、効果的な投資によって、将来の可能性を広げてください!

次回記事:Vol.7 音楽以外の能力をもち合わせている/音楽が好きである、信念がある
前回記事:Vol.5 自分の価値がわかっている/お金の価値がわかっている

音大生のための働き方エチュード

カウンセリング受付中

NPO法人ネクストステージ・プランニングでは若い音楽家向けに、本記事著者の藤井裕樹によるカウンセリングを受け付けております。詳しくはこちら

シェアのお願い

この記事が参考になった!勉強になった!という方は、ぜひお友達にもこの記事を教えてあげてください!

記事を書いた人

藤井裕樹
藤井裕樹(フジイヒロキ)

NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター。中学でトロンボーンを始め、大学には行かず19歳でプロになる。ジャズやポピュラー音楽を中心に、某人気テーマパークでの演奏や、有名ミュージシャンとの共演多数。詳しくは「ネクストステージ」へ羽ばたく若い音楽家の皆さんへ

HP: https://mtfujimusic.com/

音楽家のサバイバル術トップへ

Reccomend