音楽家のサバイバル術A way for musicians to survive
劣等感で悩む音楽家のあなたに贈る、自分らしく生きるための考え方
前回の記事では「プロフィールをいかに魅力的に書くか」という話をさせていただきました。
「なるほど、そういう書き方をすれば他者と差をつけられるのか!」
と感じてくださった方もいらっしゃると思いますが、
「どうせ藤井はエリートなんでしょ? 私たちと比べて魅力的なプロフィールが書けて当たり前じゃん!」
と思われた方もいらっしゃるかもわかりません。
「エリート」に見えるらしい僕のプロフィール
僕は初回の記事でも、自分は「凡人」だと公言しましたが、今までも僕のプロフィールを見て、それを疑う人が実に多く、エリートのように思われているところがあります。
↓ちなみにこれが、僕が公にしているプロフィールと、過去の主なお仕事の履歴です。
藤井裕樹プロフィール
どう思われましたか?
確かに、エリートと思われても仕方がないくらい、素晴らしい経験を数多くさせていただいたのは事実だと思います。
もちろん経歴詐称などはいっさいしていないので、書かれている内容はすべて事実ですが、プロフィールには書けない、もしくは書く必要がない「事実」が裏にはたくさんあります。
プロフィールには書けない、裏のプロフィールの話
プロフィールというのは、僕の演奏を聴いてくださる方や、お仕事で呼んでみたいと思ってくださった方が、「僕がどんなプレイヤーなのか?」を出来るだけシンプルに伝えるためのツールです。
そこに、僕の辛い過去の経験などは書く必要がないので、ただ書いていない、それだけです。
それでは、このブログ限定で、僕がどんな人生を歩んできたか、簡単に書いてみましょう。
『1979年、大阪の母の実家近くの病院で生まれる。
東京で暮らしていたが、まもなくして母が白血病を発病、入退院を繰り返していたが、僕の小学校入学の約1週間前に他界。
父は小1の僕と小3の兄を、仕事をしながら育てるのは困難と判断し、父の実家のある大阪で祖父母、伯母に預け、育ててもらう事になる。
当時の大阪の小中学校は荒れていて、いじめ、いじめられの両方を経験、家では、祖父は僕を可愛がってくれたが、祖母、伯母からは虐待のような仕打ちも受けた。
中2の時、このような状況から逃げ出したくて、上京、東京の父の所に一人で帰って来た。
東京での中学、高校の生活は順調だったが、高校卒業後まもなく父親がリストラに遭い、失業。
音大に行かないと決めたのは僕自身ではあるが、もし行っていたら中退だったかもしれない……。』
いかがですか?
少なくとも、僕が公にしているプロフィールと、実際歩んで来た人生には、かなり大きな違いがある事はご理解いただけたかと思います(繰り返しますが、どちらも事実しか書いていません)。
ちなみに、僕がアメリカ留学したのも、父親がリストラに遭った後の話です。
一度テーマパークの仕事で給料をもらえる現場に入り、2年間自分で稼いで貯金したお金と、留学先の学校からいただいた奨学金によるもので、親からの援助はほぼありませんでした。
裕福だから留学出来たのではありません。
僕が辛い過去を公開しない理由
では、なぜ僕がこのようなプロフィールをオープンにしてこなかったか?
それは、僕の仕事は
「同情をあおってお金をいただく仕事ではないから」
です。
過去の辛い経験は、プロフィールには必要ないんです。
我々は、夢を与える仕事なんです。
「エリート」に見える人の生き方
今回なぜ、ここまで自分をさらけ出したか、僕が皆さんに伝えたかったのは、
順風満帆な人なんかほとんどいない、人は多かれ少なかれ、何かしらの辛い過去を背負って生きているという事。
どんなにエリートに見える人でも、「絶対陰で苦労や努力をしている」という事です。
そして、そういう辛い経験を「不幸」と思うか、「幸せに変えていくか」はすべて「自分次第」だという事!
それを伝えたかったのです。
僕が「不幸」から摑み出した宝物
僕自身、小中学校のころは「なんで自分だけがこんなに不幸なんだろう?」と思っていました。
その時僕は「不幸」でしかありませんでした。
ですが、自分を不幸にしているのは「自分自身の心(気持ちの持ち方)」だと気付いたのです。
命の尊さに気付いた
母親が早くに亡くなっているという事実は決して幸せではありませんよね。
でも、そのおかげで、「命の尊さ、生きている事の素晴らしさ」には、周囲の同世代より早く気付く事が出来ました。
僕が今、「毎日悔いのないように生きよう、どうせなら楽しく生きよう!」と思えている原動力は、間違いなく「母親の死」によるものです。
それに早く気付けた自分は「ほかの人よりも幸せ」だったのです!
音楽の本質を体感した
いじめやいじめられが当たり前だったころも、吹奏楽部の友達だけは本音で語り合う事が出来、「音楽は裏切らない」という実感がありました。
僕が音楽を仕事にしている一番のきっかけは、きっとここにあると思います。
音楽の本質を、中学校で体験出来ていたんですよね。
指導力に繋がった
楽器の技術的な部分でも、僕はかなり苦労をしていると思います。
ですが、天才的に演奏出来てしまった人より、間違いなくたくさん奏法の研究や工夫をしているので、初心者の指導にはとても役立っています(音大の先生にも、本人は天才肌のため、奏法や身体の使い方をうまく説明出来なかったり、もっと酷い場合は「何でそんな事も出来ないの?」って言ってしまう人、いらっしゃいますよね…)。
成功者とあなたはそんなに変わらない
僕が仮に、両親が健在で、裕福な家庭でぬくぬくと育ち、たっぷりとお金をかけて英才教育をされ、奏法になんの問題もない天才だったら、きっと今の自分はありません。
成功しているアーティストさんのプロフィールを見ると、どうしても自分とは違う特別な環境に育ち、才能に恵まれた人のように感じてしまいますよね。
ですが、
今現在、自分の生い立ちや生活環境、楽器の技術などに負い目や劣等感をもっている方、勇気をもってください!
成功したアーティストさんたちと、あなたはそんなに変わらないはず
です。
違うとすれば、この記事に書いた「自分自身の気持ちの持ち方」ではないでしょうか?
僕の場合、結果的にこういう気持ちの持ち方が良い出会いを生み、その一つひとつが僕のエリートとも間違われるような素晴らしい経歴につながっているんです。
偶然、ラッキーと言えばそれまでですが、そのラッキーは自分自身が引き寄せているという自負はあります。
僕自身、まだ人生の折り返し地点にも来ていないので、これからの気持ちの持ち方で、より幸せにも、不幸にもなり得るでしょう。
ですが、これからも音楽を通じて、自分自身、そして自分の関わるすべての人が幸せになるような活動をしていきたいと思っています!
周囲への感謝も忘れずに…
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