音楽家のサバイバル術A way for musicians to survive
“ネクストステージ”へ羽ばたく若い音楽家の皆さんへ
このたび、NPO法人ネクストステージ・プランニング(以下NSP)の音楽ディレクターに就任いたしました、藤井裕樹(フジイヒロキ)と申します。
NSPのホームページでは、音楽の道を目指す中高生や音大生、若い音楽家に向けた当ブログの執筆を担当させていただいています。
初回ですので、簡単に自己紹介をさせていただきますね。
藤井裕樹(フジイヒロキ)って何者?!
僕は中1の時、吹奏楽部でトロンボーンを始めました。
その後、紆余曲折あり(この部分に関しては、今後触れていく予定です)、現在はジャズなどのポピュラーミュージックを中心に、さまざまな現場での演奏活動や作編曲、講師としての活動などをさせていただいています。
また、東日本大震災後は、チャリティーコンサートなど、音楽を通した被災地の支援活動や、フィリピンの貧困地域の子どもたちの支援といったボランティア活動も行っています。
今年38歳(2017年現在)。
大学に進学せず、19歳でプロになった(初めてお金をいただいて仕事をさせてもらった)ので、20年近いキャリアになります。
プロになった後に短期間、アメリカに留学しましたが、最終学歴は高卒です。
心は今も10代のままのつもりなんですが(笑)、現実にはアラフォーと呼ばれる歳になってしまいました。
音大では教わらない、音楽家に必要な音楽以外の事
10代、20代で僕がお世話になったのは、ベテランの方だけでなく、当時30代、つまり、今の僕くらいの歳の素晴らしいプレイヤーがたくさんいらっしゃいました。
そんな方々から「音楽の技術」だけでなく、「いろいろなアドバイス」をいただいたからこそ、僕のような高卒の凡人が、何とかこの厳しい業界で20年近くもやってこられたのだと思います。
音楽以外の部分でつまずく音大出身者
自分自身、一生勉強は続くと思っていますが、レッスンなどで教える立場のお仕事もさせていただいていますし、現場で20代のミュージシャンと一緒になる機会も増えてきました。
そんな彼らを見ていると、すごく真剣に将来の事で悩んでいて、僕なんかのアドバイスでも必要としてくれる時があります。
20代前半で現場に呼ばれるミュージシャンの多くはとても優秀で、こちらが刺激を受ける事も少なくないのです。
しかし一方で「こういうところを気を付ければもっと仕事がつながるのに、惜しいな」と感じてしまう人がけっこういるのも事実です。
“こういうところ”というのは、ほとんどの場合、演奏以外の話なので「音大では奏法以外の事をほとんど教わらないのでは?」という気がしてしまいます。
実際、周りでプロとして活動している同業者や、音大生に意見を求めると、それは限りなく事実に近いようですね。
もちろん、一般常識などは音大以前、家庭内でのしつけや義務教育レベルの問題なのかもしれません。
しかし、一人の音楽家として自立するためには、時に音楽以外の内容のほうが大切になる場合が多くあります。
未成年を含む、社会に出る前の生徒を預かっている以上、音大は楽器の技術だけでなく、人として一人前にする手助けがもう少しあっても良いのかもしれません。
「自己プロデュース能力」を身に付けよう
しつけはともかく、特に「自己プロデュース能力」というものはもっと教えてあげたほうが良いように思いますね。
なぜなら、ほとんどの人は卒業後「フリーランス」になり、自分一人で人生を切り開いていかないといけないからです。
凡人が生き残る術
音大に行った人の多くは、オーケストラのプレイヤーを目指したり、ピアノや声楽ではソリストを夢見ている人が多いかもしれません。
でも、そんな希望どおりの人生を歩んでいる人が周りにどれだけ存在しますか?
才能があっても生き残るのはひと握りー自分は凡人だと思うあなたへ
これは、プロ野球やサッカー、芸能界でも同じ事です。
たとえば、甲子園で優勝するようなチームでも、プロに入って活躍するのはほんのひと握りです。
Jリーグに入れたとしても、本田圭佑選手のように、日本代表やヨーロッパで活躍出来る選手になるのはさらに狭き門です。
M-1グランプリで優勝しても、ほとんどテレビで見かけないお笑い芸人さんもけっこういますよね。
自分には才能があって、将来が約束されていると思う人は、このブログを読む必要はありません。
僕は間違いなく自分を「凡人」だと思っているのですが、凡人には凡人の生き方があります。
凡人のうえ、大卒の肩書きもなかったので、人より工夫や努力をしないと生き残れなかったのです。
自分は凡人だと思う方、安心してください。
世の中は才能のある人のみがうまく世間を渡っていけるほど単純でも、不平等でもありません。
必ずそれを埋める方法があるのです。
スポーツ界に学ぶ、非凡なる凡人
たとえばイチロー選手。
彼は高校時代、甲子園には出場していたものの当時はそんなに注目されていたわけではありませんでした。
プロへもドラフト4位での入団です。
1~3位が誰だったかは知りませんが(つまりもっと期待された選手がいたという事)、その3人よりもはるかにビッグになった事は誰もが認める事実でしょう。
彼の場合は天才で、開花が少し遅かっただけなのかな?とも思ってしまいますが、そこは本人にしかわからないと言うか、おそらく人知れぬ努力があったに違いありません。
サッカー日本代表の長友佑都選手は大学時代、補欠でスタンドの応援団として太鼓を叩いていたそうです。
キャプテンの長谷部誠選手も、自分はJリーグのチーム内でも目立った存在ではなかったと著書で語っています。
彼らの現在の活躍を見ていると、ちょっと勇気がわいてきませんか?
実はこのタイプのほうが、プロでは成功例が多いように思います。
後進につなぎたい、消える理由と生き残る術
実際、僕より楽器の技術が高く、音大卒という肩書きもあったけど、消えていった人はたくさんいます。
その人たちがなぜ消えていったのか、だいたい説明がつきますね。
知りたくないですか?
ところが残念ながら、音楽家には「能ある鷹は爪を隠す」タイプが多いのか、成功のノウハウはほとんど世の中に出てこないんですよね。
それは、今の音楽業界が「自分の事で精一杯」という人が圧倒的に多いからではないでしょうか。
わざわざライバルを増やす必要はないですからね。(スポーツのように白黒がハッキリしない性質もあるかもわかりませんが)
ですが、僕自身は、親が子どもを育てるのと同じで、先に生まれた人間が後進のために何かを残す事は「義務」に近いと思っています。
これがないと社会が崩壊してしまうんですよ。
ライバルが多い事は本来、自分のスキルアップのうえでは必要な事です。
周囲のレベルや意識が上がる事で、自分自身もより成長出来るという事を忘れてはいけません。
結果、業界全体が活性化され、将来自分に返ってくるのです。
僕が生き残ったノウハウをすべて書きます
僕は自分が「成功した」とまでは思っていませんが、とりあえず20年「生き残った」「消えなかった」ノウハウは、このブログですべて書こうと思っています。
そんなものは墓場までもっていけないですからね。
それで僕の仕事をおびやかす人が出てきたら望むところです(笑)。
このブログを通して、読者の方が一人でも多く「ネクストステージ」に進むきっかけを作る事が出来れば、僕はとても嬉しいです!
それでは、よろしくお願いいたします!