音楽家のサバイバル術A way for musicians to survive

はじめに

音楽は“ビジネス”だ!

僕は中1の時、吹奏楽部でトロンボーンを始め、中2でプロを志し、クラシックのトロンボーンのレッスンに通い始めました。

高校でもクラシックの勉強をし、芸大を目指していましたが、だんだんジャズやポップスに興味がわき、結果、音大には行かず、高卒でバイトを始め、個人的にジャズのトロンボーンの先生に師事、一般大学のビッグバンドサークルに潜り込み、経験を積んだ後、19歳でプロになりました。

その後、さまざまなライブ、某有名テーマパークでのパフォーマー、海外生活、Jポップアーティストのツアーサポートや、CD、CMのレコーディング、作編曲の仕事などをしながら、今年(2017年現在)で20年近い音楽生活になります。

参考:https://mtfujimusic.com/about/#modal

僕の世代で周りを見渡しても、音大にも一般大にも専門学校にも行かず、高卒でプロ活動をしているミュージシャンは一人もいません。それだけに「奇跡だね!」と言われたりします。

もちろん奇跡と言っても過言ではない、人生を変えるような素晴らしい出会い、経験もたくさんあったので、事実と言えば事実ですが、一つ自信をもって言えるのは、自分から前向きに動いた結果だ!という事です。具体的にはどういう事でしょうか?

大学の先輩後輩という関係から仕事がくるというルートがない分、ライブハウスに通い詰めて、自分のあこがれのプレイヤーと繋がりを作ったり、通常大学のカリキュラムで教えてもらえる事を自分で勉強したりと、人より自発的に動いていた自負はあります。

音楽で仕事をするためには演奏技術以外の能力も必要になります。たとえば、人を教える能力だったり、作編曲の能力、制作のためのコンピューターの技術などですね。

それ以外にも、これはある意味社会人としては当たり前の事ですが、コミュニケーション能力や、時間を守ったりという基本的な能力も必要になります。こういった事をバランス良く伸ばす努力をしていました。

これは厳しい現実ですが、演奏(のみ)をメインの職業とした場合、オーケストラのオーディションにでも受からない限り、いわゆる会社員のような待遇で給料をもらう事は出来ません。そんなオーケストラは、何年かに一度しか空きがない事もあり、仮に空いたとしても、そこに100人以上のプレイヤーがオーディションを受けに来るのです。

結果、ほとんどの人がフリーランスとなり、言い方を換えれば、自分が経営者、個人事業主となるわけです!

つまり、あなたは「社長」であり、芸能界で言えば「マネージャー」がやるようなスケジュール管理をし、時には「営業」をやり、自主コンサートの際には、チラシを作ったり、メールでDMを送るというような「広告宣伝部」がやるような仕事をこなし、そのうえで「作編曲や演奏」もするのです。こんなふうに考えた事がありますか?

こんなの音楽家、芸術家ではない!と思う方もいるかもしれません。ですが、「演奏だけで食える」ミュージシャンというのはほんのひと握りです。あなたはそんなひと握りの才能の持ち主だと胸を張って言いきる事が出来ますか? 本当に成功したければ、起業家、ビジネスマンになりましょう!

僕の友人や音大生に聞いてみても、音大では演奏技術を学ぶ事は出来ますが、残念ながらビジネスの部分を教えてくれる所はないようですね。実はこれが大きな問題なのです。

これはアメリカのデータですが、起業した会社の約80%が、5年以内に潰れると言われています。

この数字は、日本の音楽業界にも当てはまるのではないでしょうか?
たとえば、あなたの音大の先輩を思い浮かべてください。卒業して5年で、実家暮らしやバイトをせずに自立している人はどのくらいいますか? 学校にもよるとは思いますが、おそらく20%いるかいないかでしょう。先輩を見渡さなくても、これを読んでくださっているあなたが、残念ながら、既に80%の潰れる側にいるかもしれませんね(正直、もっと厳しい数字かもしれません)。

僕の同業者を見渡しても、ある意味楽器がうまいのは当たり前で、成功している人は100%に近いほど、起業家としてのバランスが取れています。逆に、楽器はうまいけど、いまだバイト生活から抜け出せないような人は、むしろ演奏以外の能力に問題があったり、考え方(意識)が良くない傾向にあります。

演奏以外の部分は、ちょっとした心構えの変化だけで改善出来る事もあります。ただ知らないだけなんですからね。ここで損をするのはもったいないと思いませんか?

僕は決して才能のあるひと握りのミュージシャンではありません。高卒というハンディもあり、このような事を人より考えざるを得ない(工夫しなければ生き残れない)状況にありました。

ですが、結果、ハンディはハンディでなくなり、むしろ「セールスポイント」になっています。前回のブログにも書いたとおり、正解は一つではありませんが、少しでも成功のヒントになるノウハウを皆さんにお伝えしていこうと思っています!

次回記事:『“音大に行きたい”と“プロになりたい”は違う』
前回記事:『このブログに“正解”は書いていません!』

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記事を書いた人

藤井裕樹
藤井裕樹(フジイヒロキ)

NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター。中学でトロンボーンを始め、大学には行かず19歳でプロになる。ジャズやポピュラー音楽を中心に、某人気テーマパークでの演奏や、有名ミュージシャンとの共演多数。詳しくは「ネクストステージ」へ羽ばたく若い音楽家の皆さんへ

HP: https://mtfujimusic.com/

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