音楽家のサバイバル術A way for musicians to survive

音楽家は自分で自分の未来を切り開く | NSU教育学部 Vol.12

新しい「令和」の時代が始まりましたね。
天皇陛下の崩御にともなう改元でない事もあり、予想以上のお祭りムードになっていると思います。

経済が回るのはとても良い事ですが、その反面、少子高齢化や待機児童、若者の年金未納による将来の国の財源確保の問題など、見て見ぬふりになっている部分も多いので、政治家の皆さんにはもう少し頑張っていただきたいのが正直なところです。

働き方改革という言葉がよく聞かれるようになってきたとはいえ、(部活動でのサービス残業も含め)公立の小中学校の労働環境は決して良いとは言えず、先生を目指す人も減り、質が下がっているようにも思います。

教育の質が低い国に未来はないと思うので、この点も政治家の皆さんには本気で向き合っていただきたいですね。

さて、今回は7ヶ月に渡って連載してきたNSU教育学部シリーズの最終回です。

最終回は、これまでの内容を復習しながら、タイトルにも書いた「自分で自分の未来を切り開く」事の大切さをお伝えしたいと思います。

教育は一方通行ではない

冒頭で、日本の政治の問題に触れました。これらの問題は国の未来を左右する重要な課題で、国民一人ひとりが自分事としてとらえ、みんなで変えていく必要があります(選挙に行く事も重要ですよね)。

ところが今の日本では、社会や政治といった周囲の環境を言い訳にして、自分自身で前向きに変わろうとしない人が多いと感じています。

文句が多い人ほど、その人自身は何もしない。

なぜこんな事になってしまうのでしょうか?やはりこれはこの国の教育のあり方に問題があると僕は思います。

まずは「義務教育」の問題。

教育の「目的」をきちんと伝えず、「手段」が先行しているため、受け身な子どもばっかりになってしまいます。

「カリキュラム」の問題も同じですね。

誤解を恐れずに言えば、先生はある意味台本を読んでいれば仕事になるし、子どももそれを黙って聞いていれば卒業出来ます。

基本的には「大人は与えるだけ、子どもは受け取るだけ」(一方通行)になってしまっているので、これを政治に置き換えても、「国がなんとかしてくれる、してくれないとおかしい」と考えてしまいます。

そして、自分の意見をはっきり言えない受け身な子どもが多いという事はつまり、その意見は陰口、文句でしかなく、結局世の中は何も変わらないのです。

NSU教育学部 Vol.1『目的と手段』

NSU教育学部 Vol.2『カリキュラム教育のメリット/デメリット』

グローバルな社会に対応するには?

日本は未だに「出る杭は打たれる」社会です。

欧米では、自分の意見をはっきり言えないと評価されないところが多いと思いますが、日本はその逆で、目上の人の言う事を素直に聞き、「出る杭」にならないほうが出世したりしますよね。

これからの時代、世界はもっとグローバルな社会になっていくのはほぼ間違いないのですが、このような「鎖国マインド」では、必ず世界に置いていかれます。それを教えない大人が多いので、若い皆さんには早くこの現実を知り、「自分から能動的に動く事」を強くオススメします!

NSU教育学部 Vol.3『日本と欧米の教育の違い』

NSU教育学部 Vol.4『欧米の教育の取り入れ方』

「自分から動く」というのは、決して「自分勝手な行動を取る」事ではありません。
「自分の行動、言動に責任を持って動く」という事です。

そのためには、「自分は何者なのか、何をやって社会と関わっていくのか」を知り、「自分と他人の関係を上手にコントロールする」必要があります。

自分を大切にしている人は、他人を大切にしています。
他人の人生ではなく、自分の人生を生きています。

NSU教育学部 Vol.5『自分と他人』

他人の人生を生きている人は、何か目的を成し遂げるための「辛抱」ではなく、「我慢」を強いられる人生になります。

Vol.1にも書いた「目的」を自分自身で明確にしていたら、無駄な我慢をする「手段」は取らなくても良くて、「辛抱」だと思えるようになります。あなたは辛抱と我慢の違いを明確に出来ていますか?

NSU教育学部 Vol.6『辛抱と我慢』

グローバルに関係なく身に付けるべきスキルは?

日本がいくら閉鎖的な社会とは言え、あまりに教科書通りで自分の意見が言えず、他人の目を気にして我慢ばかりしている人は、周囲から見て何を考えているか分からない人に映ってしまい、「信用」を得る事が出来ません。

信用を得られないという事は、人間関係的にも恵まれず、待遇の良い仕事に就く事も難しいと言えると思います。

NSU教育学部 Vol.8『信用』

ここまで書くと、ネガティブな人は絶望を感じているいるかもしれませんね。

人にはそれぞれ「性格」(尊重されるべき個性)があります。

必ずしもポジティブな人が有利で、ネガティブな人が不利ではありません。

まずは「自分がどのタイプなのかを自覚する事」です。

もしかしたら自分は常にポジティブ、ネガティブではなく、仕事にはポジティブだけど、恋愛にはネガティブとか、場面によって違う人もいるかもしれません。

ポジティブ、ネガティブに限らず、自分の長所、短所も理解していれば、良いところを伸ばし、苦手を補いやすくなりますよね。

目的を明確にしていれば、その手段として「短所の部分は諦める、使わない、人に頼む」といった選択もしやすくなり、効率が上がります(より「自分の人生」を生きやすくなります)。

NSU教育学部 Vol.9『ポジティブな人とネガティブな人』

このブログを読んでくださっている人の多くは、音楽に携わっている方だと思いますが、その能力は、多くの人を幸せにする可能性を持っています。前回の「情操教育」でも書きましたが、国語や算数だけでなく、音楽のような芸術、文化の教育を受けられるのは本来素晴らしい事ですよね。

マニュアル化された殺伐とした教育にならないため、皆さんのような感情豊かな若者を増やすためにも、音楽に関わる事を誇りに思ってください!

NSU教育学部 Vol.11『情操教育』

ただ、それを仕事にしていく、音楽で自立していくためには、音楽の技術以外にたくさんの事を学ぶ必要があります。

「自分で自分の未来を切り開く」には、人間力をともなって、そこから発する言葉のスキルも上げていかなくてはいけません。グローバル化したとしても、まずは「日本語で自分の意見を伝える能力」です。

NSU教育学部 Vol.10『日本語教育』

改めて書きますが、整った環境を用意してくれるのは周囲ではなく、あなた自身で整えていくものです。

ここに書いてきた事を実践出来れば、少々の事ではブレる事なく辛抱し、自分で良い方向に変えていく事が出来るのではないでしょうか。

政治のような大きな話でなくても、アルバイトなどの職場で「思っていたのと違った、こんなはずじゃなかった」と言ってすぐに辞めていく人が増えていると思います。

もちろん「目的」を明確に持ち、その「手段」と違ったと気付いてすぐに環境を変えるのは良い事なんですが(我慢する必要はないんですが)、そうではなく、「義務教育のように整った環境が社会に出ても当たり前」と思っている人が増えてきている事に危機感を覚えます。

こういう人は、別の職場に行ってもまた文句を言ってすぐに辞めます。そんな事を繰り返すくらいなら、自分の力で環境を変えるくらい責任を持って生きたほうが、人生が楽しいと思いませんか?

「自分で自分の未来を切り開く」のは決して簡単ではなく、僕も100%出来ているとは言えませんが、一人ひとりが今より少し意識する事で、社会は少しだけ良い方向に進んでくれるかもしれません。

僕自身、このような強いメッセージを出すのはそれなりの勇気、エネルギーが必要なんですが、あえてそれを実行する事で自分自身の成長につながっているとも感じています。

さて、NSU教育学部シリーズは今回が最終回ですが、まとめの中で、以下の「お金の教育」には触れませんでした。

NSU教育学部 Vol.7『お金の教育』(上)

NSU教育学部 Vol.7『お金の教育』(下)

これには理由があり、次回からの新シリーズで、お金を稼ぐ事や経済の事をもう少し深掘りしたいと思っているからです。ぜひ予習もかねて、このブログにも目を通してみてください。

→次回へ続く

次回記事:NSU経済・経営学部 Vol.1『お金を稼ぐ意識を見直そう』
前回記事:NSU教育学部 Vol.11『情操教育』

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記事を書いた人

藤井裕樹
藤井裕樹(フジイヒロキ)

NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター。中学でトロンボーンを始め、大学には行かず19歳でプロになる。ジャズやポピュラー音楽を中心に、某人気テーマパークでの演奏や、有名ミュージシャンとの共演多数。詳しくは「ネクストステージ」へ羽ばたく若い音楽家の皆さんへ

HP: https://mtfujimusic.com/

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