音楽家のサバイバル術A way for musicians to survive

NSU経済・経営学部

音楽の仕事をするときはパッケージとサービスについて考えよう | NSU経済・経営学部 Vol.9

突然ですが皆さんは、「一風堂」というラーメン屋さんをご存知でしょうか?

九州の豚骨ラーメンチェーンですが、全国展開、海外展開もしている有名店なので、一度は食べに行った事があるかもしれませんね。

実は、なかなか面白いニュースを見つけたんです!

2019年の夏から、通常一杯750円から1000円程度で提供しているラーメンを、外資系高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」のルームサービスとして、なんと一杯3400円で提供されているそうです!

今回のブログのテーマは「パッケージとサービス」です。

前回、前々回の「ターゲット」や「5W1H」の復習も兼ね、とても良い実例ではないかと思い、今回取り上げてみました。

参考
音楽家に必要なターゲット戦略を身につけてますか? | NSU経済・経営学部 Vol.7
音楽家こそ5W1Hを用いたマーケティングを意識しよう | NSU経済・経営学部 Vol.8

パッケージの大切さ

まずは一風堂のオフィシャルページで、3400円のラーメンを見てみてください。皆さんはどう感じましたか?

【一風堂】2019年夏、「ザ・ペニンシュラ東京」のルームサービスにてラーメンを提供開始

僕がまず凄いと感じたのは、「パッケージの美しさ」なんです。

本文にも書かれている宝石箱のような木箱。なんかこのトッピングだけでお酒が何杯も飲めてしまいそうです(笑)。

もちろん通常の店舗で出されているものと同じではないんですけど、パッケージを変えるだけで「明らかな高級感」がありますよね。

音楽家のために書いているブログで、僕が何を伝えたいかと言うと、「いかにルックス、外見が大切か、それによって得られる金額が変わってくるか」という事です。

例えば楽器ケース。初心者が使う入門用楽器と、プロが使う本格的な楽器では、明らかにパッケージが違いますよね。

「ケースなんてどうせ買い替えるから、あんまりコストをかけず、その分安くしてくれないかな」なんて思ったりもしますけど、やっぱり中身と外見は比例させないと売れない(高級感を出せない、安物と差別化出来ない)のではないでしょうか。

飲食店の食器や楽器ケースだけでなく、スーパーはビニール袋だけど、デパートはしっかりとした紙袋など、身近なところに実例がたくさんありますよね。

音楽家の場合、さらに僕が伝えたいのは、「あなたという商品をより良く見せるために、パッケージやルックスにも気を配りましょう」というお話。

若い音楽家だけではないかもしれませんが、クラシックやジャズの奏者は、Jポップなどに携わる奏者と比べ、服装に無頓着な人が多いように思います(あくまで僕の私感です)。

クラシックの奏者の場合、本番はタキシードやドレスを着るのでまだ良いですが、ジャズは私服の場合も多いので、あまりにもみすぼらしい「普段着」の人もいます(それが良さだと言う人もいますが…)。

音楽家はどうしても「楽器の技術」のみに意識が行きがちですけど、一風堂のように、器を変えれば普段1000円で提供しているものに3倍以上の価値を付けられると考えたら、少し気にかけてみようと思いませんか。

あなたは自分の知らないところで、パッケージのために自分の評価を下げている、もしくは上げられていないかもしれません。

サービスの重要性

一風堂の例ですが、オフィシャルの記事を読んでいただければ分かるように、3400円の値段を付けられているのはパッケージだけの問題ではないですよね。

重要なポイントは、ただラーメンを提供しているのではなく、「非日常を演出するサービス」を提供している点ではないでしょうか。

まずは、前々回のブログで取り上げた「ターゲット」ですが、「日本を訪れる(日本文化に興味のある)富裕層の外国人の宿泊客」という、明確な設定があります。
では、「5W1H」にも当てはめてみましょう。

What→一風堂のラーメン
Why→極上のホテルで非日常を味わってもらいたいから。世界の「IPPUDO」のラーメンをもっと多くの方に食べていただきたいから
Who→日本を訪れる(日本文化に興味のある)富裕層の外国人の宿泊客
When→11:00~23:00
Where→ザ・ペニンシュラ東京
How(Much)→3400円
How→通常店舗とは異なる木箱でトッピングを提供。ルームサービスとしてスタッフが直接客室を訪れ、お客様の目の前でスープを注ぐ,etc.

いかがですか?

我々音楽家も、飲食やホテル業界と同じ、「サービス業」ですよね。

ザ・ペニンシュラ東京ほど富裕層向けではないにしても、コンビニやファストフードと比べたら、やはり「非日常の提供」ではないかと僕は思っています。

サービスを提供する際のパッケージや演出に気を配れば、同じ演奏技量の人と比べ(もしかしたらそれ以下であっても)、高いお金を取る事が出来る可能性は十分にあります。

自主公演の際のチラシ(これも立派なパッケージです)、衣装や譜面カバーの統一、MCの内容、ステージでの立ち振る舞いなど、ザ・ペニンシュラ東京の一風堂から学ぶ事はたくさんあると思いますね。

そのほか、ディズニーリゾートのようなサービス、ホームページやSNSの見せ方(これもパッケージ、外見の一部です)などが上手な企業や芸能人など、身の回りに良いお手本(もちろん反面教師も)はたくさん転がっています。

音楽以外からも、日々の生活でたくさんの事を学んでください!

参考
『夢を実現させるために、最も大切な行動とは?』 Vol.2

次回へ続く→

次回記事:音楽家だからこそ知っておきたいクレーム対応 | NSU経済・経営学部 Vol.10
前回記事:音楽家こそ5W1Hを用いたマーケティングを意識しよう | NSU経済・経営学部 Vol.8

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記事を書いた人

藤井裕樹
藤井裕樹(フジイヒロキ)

NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター。中学でトロンボーンを始め、大学には行かず19歳でプロになる。ジャズやポピュラー音楽を中心に、某人気テーマパークでの演奏や、有名ミュージシャンとの共演多数。詳しくは「ネクストステージ」へ羽ばたく若い音楽家の皆さんへ

HP: https://mtfujimusic.com/

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