現在ネクストステージ・プロジェクトでは、音楽家登録の際に、YouTubeで撮影した動画をお送りいただき、それを元に審査をさせていただいております(音楽家登録はこちら)。

このシステムを導入した2017年4月から、すでにたくさんの方にご応募いただき、大変嬉しく思っています。
お送りいただいた皆さま、ありがとうございました。

この記事では、

  • そもそもなぜ動画審査を行うのか?
  • 当事務所は動画審査で何を見ているのか?
  • 採用される為のヒント

をお伝えします。

指定条件を守れるかが大前提

中には「条件に合うお仕事があれば、すぐにでも演奏依頼をさせていただきたい」という方もいらっしゃるのですが、実は残念ながら、かなり多くの動画が、演奏レベル以前に、こちらが指定している応募条件を守っていません。

お願いしている条件は以下の通りです。

  1. 冒頭で口頭による簡単な自己紹介を入れること
  2. ジャンル又は雰囲気の異なる2曲以上(抜粋可)を収録すること
  3. 演奏曲は自分が売込みやすいジャンルを選ぶこと
  4. 全ての動画の合計を5分以内に収めること
  5. YouTubeで公開設定にし、当事務所HPの音楽家ページでも公開(埋込)できること=クライアント様への紹介動画としてもそのまま使えること(限定公開・審査のみの用途はNG)
  6. YouTube動画説明欄の記載内容:プロフィール、何分何秒から何の曲を演奏しているか、HP・ブログ・SNS等のPRサイトがあればそのリンク

※上記基準を満たさない動画は審査対象外とします。

【録音編集について】
※動画編集の技術を問うものではありません。
※スマートフォンによる簡易的な録画でもかまいません。
※編集が困難な場合は複数の動画に分かれてもかまいません。
※テロップ等の編集は無理にしなくてもかまいません。

審査は就活と同じ

音大を卒業してから、一般企業や(音楽の先生として)学校への就職を考えていない人の多くは、就活の経験がないと思います。
ですが、ちょっと想像してみて下さい。

例えば、エントリーシートや履歴書が企業側で指定されている場合、そのフォーム通りに記入していなかった場合、最初の書類審査に合格すると思いますか?

例えアルバイトの面接であっても、履歴書をきちんと書いていなかったら、厳しい経営者ならその場で帰らされるし、仮に面接はしてもらえても、採用される事はないでしょう。これが一般社会の「常識」です。

わざわざ「上記基準を満たさない動画はお受け出来ません」とまで注意書きをしているのに、その条件に合わない動画を送って来るのは、かなり「非常識」と言えるでしょう。

審査する側はどこを見ているのか?

普通こういう話はあまり表に出しませんが、ネクストステージ・プロジェクトは「若い音楽家の教育」も趣旨の一つですので、プロデューサーの立場から少し解説してみようと思います。

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1. 冒頭で口頭による簡単な自己紹介を入れること

多くの仕事では、曲目やメンバー紹介をしたり、例えば企業の周年パーティーであれば「◯◯様(→会社名や社長の名前,etc.)、創立◯年おめでとうございます」といった挨拶をする場合があるからです。

簡単に言えば、

きちんと人前で話せるか

を見ています。

「字幕」で自己紹介をしている人がいらっしゃいましたが、それでは意味がないのです(それ以前に、自己紹介がないのは論外ですが)。

仮に自己紹介をしていても、声が小さい、元気がない、暗いなど、ネガティヴな印象があるものは良い評価になりません。

2. ジャンル又は雰囲気の異なる2曲以上(抜粋可)を収録すること
3. 演奏曲は自分が売込みやすいジャンルを選ぶこと

当事務所で依頼を受ける90%くらいの仕事では、ディズニーやその他の映画音楽、Jポップ、ジャズなど、クラシック以外のジャンルの演奏も求められます。
動画にクラシックしか収録していない人は、基本的には仕事が来ないと思って下さい。

(例えばフルートの方に多いですが)ジャズとボサノバなど、クラシック以外で2つ以上のジャンルを送って下さっている方は、必要に応じてお仕事を依頼出来る可能性はあると思います。

4. 全ての動画の合計を5分以内に収めること

これを守っていない動画が驚くほど多いです。
先ほども書いた通り、どんなに上手くても、決まりを守っていない時点で、審査する前にアウトです。

依頼演奏は、あなたのリサイタルではありません!

「イベント開演前の19:45〜20:00の15分間で、ウェルカム演奏をお願いします」というような依頼はよくあるのですが、指定した演奏時間にまとめる事も出来ない人を仕事に呼べると思いますか?

1時間以上あるライブ動画をそのまま送って来た人も結構いますし、「私のYouTubeチャンネルに動画が何本も上がっているので、それを見れば私の実力は分かります」とメールをして来た人もいます。

そんな長い動画を送って来られて、我々はどこで評価すれば良いのでしょうか?

1時間や2時間、全部観て(聴いて)もらえると思っているのでしょうか?

実際、審査をする際は、1時間に10組位は審査しています。
それでも50分かかります。5分程度にまとめていただかないと、大勢の審査なんて不可能なのは想像の範囲内ですよね?

「私の評価をたった5分の、しかも生演奏ではなく、動画で審査なんかされたくありません」

とクレームを付けて来た人もいますが、この人も社会のシステムが全く理解出来ていません。
企業の就活であっても、まず書類審査に通過しないと面接には進めませんよね。

ジャニーズやAKBなどのアイドル、つまり芸能界のオーディションも、よほど優秀で、スカウトされるレベルでない限りは全く同じだと思います。

最近では、ハリウッドの俳優のオーディションでも、まずはスマホで送るのが普通になって来ているそうです。

音大でクラシックしか勉強して来なかった人たちには受け入れ難い事かも知れませんが、これが今の時代の「社会の常識」なんですよ。

あなたが入試など、学校の実技試験で生演奏を聴いてもらえたのは、あなたの方が「高い授業料を払っている(もしくは、払ってくれる事になる)お客様」だからです。

学校があなたに「サービス」を提供してくれているんです。

卒業したら、今度はあなたがサービスを提供する側になるんですよ。

その事に早く気付いて下さい!

テレビCMはたったの15秒

皆さんの中で、テレビCMを観た事がない人はいないと思います。

CMは基本1本が15秒です。

その商品の良さを、たったの15秒で伝えないといけないのです。

前述して来たタイプの人は、

「CMをとりあえず1〜2時間分送っておいたので、観ておいてね。そうしたらこの商品を買いたくなるから!」

とか、

「たった15秒のCMで、実際にその商品を手に取る事もなく、その価値を判断されたくありません!」

と言っているのと同じですよね。

あなたは、こんな上から目線の企業の商品を買いたいと思いますか?

この行為がどれだけ非常識か分かりますか?

職業音楽家は芸術だけではない

音楽を職業にしていく場合、芸術家として「だけ」で生活が成り立つ人は1%にも満たないと思います。一部の天才だけです。

どんな人でも、ビジネスマン、エンターテイナー、エデュケーター(教育者)など、様々な面を持って活動していく事になります。言い方を変えれば、

これらのバランスを上手に取っている人が、仕事も上手に取れている

という事です。

以前もブログの中で書いていますが(音楽は『ビジネス』だ!)、

フリーランスで成功したければ、もっとビジネス感覚、一般社会人としての常識を身につけましょう!

その他の注意事項

※スマートフォンによる簡易的な録画でもかまいません。

これは、「動画を撮影するのに専門機器などを使用しなくてもいいよ、まずはスマホでも良いので気軽に送って下さい」という意図があります。

専門機器の方が音は良いに決まっていますが、購入にもお金がかかり、ハードルが上がってしまいます。
勿論、そういう機材をお持ちの方は使っていただいても構いません。

ですが、ここに書いてきたように、皆さんが思っている以上に、「楽器の音、演奏技術以外を見られている」事を意識して下さい(服装や身だしなみ、収録環境も見ています)

※曲によって複数の動画に分かれてもかまいません。
※テロップ等の編集は無理にしなくてもかまいません。

当事務所の審査目的は、動画の編集コンテストではありませんので、無理に頑張る必要はありません。

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同じレベルの人が2人いたら、どちらが採用されやすいのか

「スマホでも構わないし、編集もテロップも必要はありません」という条件は付けさせていただいています。

ですが、だいたい同じ演奏技術の人が2人いたら、どちらに仕事の依頼が行きやすいか想像してみて下さい。

この動画を作るために、我々に何かを伝えたいという「意図」が感じられ、一生懸命(編集なども)頑張っている人の方が印象は良いです。

あなたが本当に演奏技術だけで仕事が十分にあるならそれでも良いと思いますが、そんな方はそもそも当事務所に動画を送る必要はないですよね。

音大の同期に、あなたと同じ楽器の人は何人いましたか?

その中であなたは飛び抜けた存在でしたか?

そして、あなたの先輩や後輩、他の音大に、どれだけ仕事を欲しがっている人たちがいるかを想像してみて下さい。

そんな方々が、当事務所に動画を送って来て下さっているのです。

どうやったら目に見えないライバルに勝てるか、もっと工夫してみて下さい!

グループ登録のメリット

1つヒントを出しますが、当事務所の場合、

個人で登録されるより、グループで登録される方がチャンスが広がるかも分かりません

生演奏の事例」を見ても分かると思いますが、当事務所の登録の目的は、クラシックのリサイタルを開催するような人材募集ではありません。

企業(クライアント)様から頂いたご依頼内容に答える演奏を提供するのが主な活動、演奏内容になります。

「だいたい○万円の予算で、○○な雰囲気のBGMをお願いします」

とか、

「○人くらいで、○○な雰囲気の演奏をお願いしたいんですけど、いくらかかりますか?見積もりをお願いします」

といったご依頼がほとんどです。

もしも静かな音量のBGMをご要望の場合は、弦楽四重奏や木管アンサンブルをご提案させていただくかも分かりませんし、「ちょっと大人な雰囲気で」というご要望であれば、ジャズのグループをご提案出来るかも分かりません。

こちらとしては、クライアント様にご提案しやすい商品のストックが欲しいのです!

個人よりも、明らかに売りやすい(宣伝しやすい)事がお分かりになりますか?(人を物のように例えて申し訳ないのですが、職業音楽家が提供しているのは「商品」なんです)

個人同士を寄せ集めたグループよりも、普段から一緒に活動しているメンバー同士の方が、初対面の様な緊張感もなく、気心が知れた仲で、お互いの役割もよく分かっている(自分はトップ弾きだとか、サイド向きだとか,etc.)ので、演奏のクオリティーが高い場合がほとんどです。

クラシックのアンサンブルでも、ポップスの曲も取り入れてライブハウスで活動しているグループは、曲のレパートリーも幅広く、当事務所の仕事に向いています(自分たちでアレンジも出来る場合は、リクエストに答えてくれる可能性も高いので、重宝されます)。

自分は人前で喋るの苦手であっても、得意な人とチームを組んでおけば、あなたはMCをやる必要はありません。

正直なところ、このご時世に、予算が大きく、大編成を求めて下さるご依頼は少ないです。実は、2人だとちょっと物足りない、4人は呼べないという依頼が結構あります。

その割に、弦楽4重奏やサックス4重奏、金管5重奏など一般的で、売り譜なども多く、対応しやすいのですが、3人という依頼にはなかなか答える事が出来ません。

個人的意見としては、3人組ユニットは、結構狙い目ではないかと考えています(同じ楽器同士ではなく、ピアノ、ヴァイオリン、フルートといったグループもアリです)。

もちろん、王道の編成がNGという話ではありませんよ。
ただ、競争率が高いのも事実です。自分たちのグループのパフォーマンスに自信があれば、どしどし動画を送って来て下さい!

必要なのは練習だけではありません!
もっと学ぶべきスキルがたくさんあります!

「どんな商品だと買ってもらいやすいのか?」
というようなマーケティング思考は、その中でも重要な要素ではないでしょうか?

僕のブログ(音楽家のサバイバル術)にそのヒントがたくさん書いてありますので、よく読んで、もう一度今の自分の在り方を見つめ直してみてはいかがでしょうか?

やや厳しい内容になりましたが、ネクストステージ・プロジェクトでは、やる気のある若い音楽家を全力でサポートさせていただきますので、今後も「魅力あるPR動画」をお待ちしています!